SHARE 高木貴間+設計舎による”HOUSE K”
photo©宮本誠也
高木貴間+設計舎が設計した北海道の住宅”HOUSE K”です。
以下、建築家によるテキストです。
「内」と「外」がネジれた空間
この住宅では、バリヤフリー、開放的で内に広がる空間をクライアントは求めていた。ただし外観は家型としてほしいという条件だった。その訳は家型の立ち並ぶ集落のような町並みが好みだということであったが、まわりはハウスメーカーの家が立ち並ぶごく普通の住宅地であった。
外観を家型とし、屋外に対して大開口で開いて屋内を屋外のように解放的にする事は北海道での寒さを考えると最適解では無いように思えた。
つまり「内」(=温熱環境的に閉じる)でありながらも「外」と感じられるような風景にまとめられたものをこの住宅で表現できないかと考えた。
屋内を開放的にするという与件は、部屋を家型にすることに直結する。家型の部屋を分散させれば、集落のような風景を見出すことができる。
家型とは屋内と屋外を自明にすることができる記号であり、集落とは屋外の記号に他ならない。家型や集落といった記号によって「内」と「外」がネジれた風景が出現すると考えた。
検討の結果、少なくとも3つ以上の家型が並べば家が郡になり「内」と「外」の関係性が生まれる可能性が広がるようだった。
その全体を包むように大きな家型を被せれば全体の温熱環境としては屋内とすることが可能である。
最終的には「内」と「外」がねじれた風景を、6個の家型と全体を覆う大きな家型を拠り所にして作り上げた。
6個のうちの1個の家型は、家型にかたどられた屋外テラスとした。屋内には屋外の記号である集落のような風景が広がる。このような操作が「内」と「外」の定義を曖昧化するように機能して、そこからネジれが表出してくる。
器としては内部としての大きな家型を基準にして作っているが、人のアクティビティが入ったときに、そこが「内」であったり「外」であったりするような感覚にスイッチする。そこから、ネジれの起こる生活空間が表現されてくると思う。