


トラフ建築設計事務所が設計した、福岡市の店舗「Hirotaka 福岡店」です。
大型複合施設の商業フロアにあるジュエリー店です。建築家は、“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとし、“柔らかさ”や“艶やかさ”を基準に素材・色彩・形態を決定しました。そして、“懐かしさ”と“新しさ”が全体に広がる空間を作り上げました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
福岡・天神の新たなランドマーク「ONE FUKUOKA BLDG.」にオープンした、ジュエリーブランド「Hirotaka」の九州初となる直営店であり、国内10店舗目となる店舗の内装計画。
約40㎡の正方形に近い区画に、“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとした空間を構築した。
素材や色彩の選定には、柔らかな光沢をもつ真鍮、染色を施した木部、艶のあるアイボリートーンの塗装などを用い、什器のフォルムには丸みを与えることで、どこかレトロフューチャーな印象を漂わせている。
中央には、複数のボリュームを積層させた彫刻的な什器を配置。正面には、オランダのデザイナー、ディルク・ファン・デル・コーイによる再生プラスチック製の照明「The Fresnel」を設置し、柔らかな光が空間全体に広がるよう計画した。
背面には、民族的な盾を想起させるヴィンテージのオブジェを据え、静けさと象徴性を備えたアクセントとしている。鏡面仕上げの真鍮や木、光を受けて際立つ縁取りが重なり合い、まるで“現代のトーテム”のような佇まいを見せる。
床には吸音性のある圧縮フェルト調のカーペットを敷き、共用部の硬質な石貼りから一歩足を踏み入れた瞬間、空気の質がふわりと変わるような感覚を生み出す。
天井近くまで立ち上がるミラーや、壁の出隅に仕込まれた間接照明が空間の輪郭をやわらかく浮かび上がらせる。どこか懐かしく、同時に新しさを感じさせる空気が、空間全体に静かに広がっている。