



加藤直樹 / N.A.Oが設計した、神奈川・中郡の「HOUSE-U」です。
多くの物を持つ施主の為に計画されました。建築家は、所有品を活かす“物”と“空間”が“渾然一体”となる状態を目指し、不整形平面や様々な素材で“ズレ”や“違和感”を生む設計を志向しました。そして、“生活”の介入で活性化される空間を作る事が意図されました。
計画地は、古い家屋があった広い敷地を二区画に分譲した一区画である。
北側と南側に二面接道した変形敷地であり、隣地や道路との高低差がある状態であった。特に南側道路向かいの隣地が地盤面から約2.5m程高いため、日射への影響が懸念された。加えて北側道路が敷地への主出入口になるのだが、地盤面から約1.2m程低い状態にあり、擁壁などのコスト面の懸念もあった。
施主からはその二点の懸念事項を払拭する計画とすることと間仕切りのない広い空間を設けることが主の要望とされていた。
間仕切りがない広い空間を設けたいという要望は「モノを自由にレイアウトしたい」という理由からだった。
施主夫婦は多くのモノを所有していた。その時に出会った良いモノを長く使う主義なのだと私は感じていたのだが、そのせいかモノ同士の統一感はあまりない。しかし、不思議とまとまりがあり、非常にセンスの良いモノで溢れていた。現在のセンスの良いモノも残り続けながら、新たに豊かな多くのモノが少しずつ増えていく未来が想像できた。
そのモノを活かすような空間を思案すべきだと考えた。かといってホワイトキューブのようなモノが主役になりすぎるプレーンな空間ではなく、モノと空間が渾然一体となっていくような構成を目指し、ベースとなる建築側に“ズレ”や“違和感”を敢えて設えた。平面形状が不整形であったり、シンメトリーのようでアシンメトリーであったり、マテリアルや色などの切り替えに統一感を持たせないことなどだ。

















