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ヴィンセント・ヴァン・ダイセンが完成させた、ベルギー・プールスのワイナリー「Winery VV by Vinetiq」の写真

ヴィンセント・ヴァン・ダイセンが完成させた、ベルギー・プールスのワイナリー「Winery VV by Vinetiq」の写真が10枚、公式サイトに掲載されています。

吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、三重の、既存住宅の改修と増築「西坂部の家」と論考「生きのびるための折衷主義」
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、三重の、既存住宅の改修と増築「西坂部の家」と論考「生きのびるための折衷主義」 photo©坂下智広

吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、三重の、既存住宅の改修と増築「西坂部の家」と論考「生きのびるための折衷主義」です。

西坂部の家は1984年、当時4人だった核家族のために建てられた住宅である。建築物と畑と工作物がパラパラと並ぶ市街化調整区域の風景の中に建っている。築35年を経て、元の家族と新たな家族が共に暮らす家へと更新することになった。
これはその増築と改修のプロジェクトである。
外壁はモルタルリシンとトタン、屋根は瓦、アーチがついた玄関ポーチ、南に3間で北にはタイル貼りのキッチンと水回り、飾り格子のついた階段、そして仏壇、死者の気配。
建築家の作品でも築年を誇る古民家でもない普通の住宅の、即物としての逞しさに圧倒される。
築年を経た木造の情報量は生かし、かつそのテクスチャーに頼りすぎず、どうやって新しい文脈に接続できるだろうか。
計画の伏線は、一方で生まれて来る新しい命があり、一方で死者がある、そういう重層的な時間の中に生きることである。特に便利な場所でもないけど、人が生まれて死んできたこの場所でやっぱり生きていくという地に足のついた選択は美しいなと思う。
だから新しい家と同時に古い家もまた必要なのだ。

建築家によるテキストより
10+1websiteの最終号が公開。五十嵐太郎×鷲田めるろ、南後由和×貝島桃代、青井哲人×連勇太朗の3つの討議記事を掲載。

10+1websiteの最終号が公開されていて、五十嵐太郎×鷲田めるろ、南後由和×貝島桃代、青井哲人×連勇太朗の3つの討議記事を掲載しています。2019年9月に今年度での更新を終了することを発表していました。

乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体による「京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転」の実施設計概要がPDFで公開

乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体による「京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転」の実施設計概要がPDFで公開されています。パースや図面が多数掲載されており計画を知ることができます。2017年9月のプローザルでの設計者決定時の提案書はこちらにまとめています

 京都市立芸術大学(以下「京都芸大」という。)及び京都市立銅駝美術工芸高等学校(以下「銅駝美工」という。)は,明治13年に日本初の公立の絵画専門学校として創設された「京都府画学校」を起源とし,建学以来140年にわたり,国内外の芸術界や産業界で活躍する人々を輩出するなど,日本のみならず世界の文化芸術の発展に貢献してきました。

 本市では,両校が世界へ向けてより一層の飛躍を果たすため,京都の玄関口である京都駅東部の崇仁地域へ移転整備するとともに,この地域が「文化芸術都市・京都」の新たなシンボルゾーンとなることを目指しています。

 この度,「基本設計」に基づき,建築物等の詳細にわたる仕様の決定,工事発注に向けた図面の作成等を行い,「京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転整備実施設計」として概略を取りまとめましたので,御報告します。

真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトによる、神奈川・平塚市の事務所「平塚のピタットハウス」
真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトによる、神奈川・平塚市の事務所「平塚のピタットハウス」 photo©リップルデザイン

真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトによる、神奈川・平塚市の事務所「平塚のピタットハウス」です。

不動産会社のオフィス。1フロア約140㎡の既存ビルの3フロアを計画した。

一階がラウンジ、2階が事務所、10階が社長室。
各階の要素を整理し、一階の空間から情報を極力減らし、人と接するための余白の場を計画した。
打ち合わせはもちろん、カフェやシェアスペースなど新たな展開にも対応可能な場を目指した。

既存の空間に、人の居場所を囲う「器」を置くようなイメージで計画した。

寒色のコンクリート打ち放し壁に対し、「器」は温かみのある暖色で、鏝ムラのある左官仕上とした。
180mmというモデュールの高低差を設け、1080mmを最高高さとした。

机や椅子やカウンターに適した高さを想定し、かつ、囲われていて落ち着く高さをスタディーした。

建築家によるテキストより
長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・目黒区の事務所「ライゾマティクス オフィス」
長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・目黒区の事務所「ライゾマティクス オフィス」 photo©長谷川健太

長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・目黒区の事務所「ライゾマティクス オフィス」です。

ライゾマティクス社の増床に伴う移転計画、既存の恵比寿オフィスはスタジオ機能に特化し、経営・マネージメント・プログラミング・デザイン機能を本計画の場所、中目黒オフィスに移転するということで計画した。2つの個室、3つの会議室が必要とされた一方、様々なクライアントの出入りが予想されることから会議室同士の動線の分離が必要となり、2つある入り口の一方を大会議、もう一方を中会議室・個室群へつづく動線とすることで分離を図った。
ご要望として、オフィス然とした内装を払拭したいというものだった。ただ、最上階であることから天井躯体面に断熱が施されており、天井も抜けないことから床をOAフロア表しとした。床のスチールに合わせて、棚も素地のスチールラックとし、その床の印象を部屋全体に波及させるように計画した。

建築家によるテキストより
「新しい建築士制度の概要」のPDFを国土交通省が公開 隈研吾とK2LDアーキテクツが、シンガポールの「Founders’ Memorial」設計国際コンペに勝利。提案の画像も公開

隈研吾K2LDアーキテクツが、シンガポールの「Founders’ Memorial」設計国際コンペに勝利していて、提案の画像も9枚公開されています。
以下はその提案の動画。

The submission by Kengo Kuma & Associates in collaboration with K2LD Architects has been selected as the winner of the international architectural design competition for the Founders’ Memorial. The competition, launched in January 2019, attracted a strong response of 193 submissions from local and foreign firms.

The design concept originates from the idea of a path, a journey tracing the legacy of Singapore’s founding leaders to honor the past and to inspire the present and future. The design aims to be a living memorial, owned by each new generation of Singaporeans, with spaces for the celebration of milestone events and slopes that can be ascended, with a vision to the future the changing skyline of Singapore.

More than a singular building, we envision a garden: a place for all to gather close to nature. The Founders’ Path, as a central spine, defines the new topography with memorial slopes emerging from the landscape. Multiple paths and canopies extend into the garden, creating a seamless journey that invites visitors to reflect, learn and share while contemplating amidst the lush surroundings.

“The Founders’ Memorial, a new kind of monument.”

ヘルツォーグ&ド・ムーロンが内外装を手掛けるユニクロの店舗が銀座に5月オープンし、さらに藤本壮介のデザイン監修によるユニクロ店舗が4月に横浜にオープン
ヘルツォーグ&ド・ムーロンが内外装を手掛けるユニクロの店舗が銀座に5月オープンし、さらに藤本壮介のデザイン監修によるユニクロ店舗が4月に横浜にオープンヘルツォーク&ド・ムーロンが内外装のデザインを担当した「UNIQLO TOKYO」のイメージ画像。
ヘルツォーグ&ド・ムーロンが内外装を手掛けるユニクロの店舗が銀座に5月オープンし、さらに藤本壮介のデザイン監修によるユニクロ店舗が4月に横浜にオープン藤本壮介がデザイン監修している「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」のイメージ画像。

ヘルツォーグ&ド・ムーロンが内外装を手掛けるユニクロの店舗が銀座に2020年5月オープンし、さらに藤本壮介のデザイン監修によるユニクロ店舗が2020年4月に横浜にオープンするそうです(ただし、コロナウイルスの影響で、各店舗のオープン日が変更になる可能性があるようです)。

5月15日には、日本を代表する繁華街である銀座のマロニエゲート銀座2に、新しいグローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO」をオープンいたします。プリツカー賞や世界文化賞を受賞したスイスの建築ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンに、内装および外装のデザインを依頼し、LifeWearを体現する店舗を作り上げました。再開発が進む銀座エリアのお客様の流れを変える、ユニクロの重要な店舗の一つになると考えています。

リリーステキストより。

4月10日に、横浜ベイサイドにオープンする「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」は、ジーユーとの合同店舗です。日本を代表する建築家の一人である藤本壮介氏に、「ユニクロとジーユーの店舗でありながら、公園でもある」新しい店舗のコンセプトメイキング、およびデザイン監修をしていただきました。ファミリーでのご来店が多いユニクロやジーユーならではの発想で、お子様も安心して遊べる、地元のお客様の憩いの場となることを目指した店舗です。

リリーステキストより。
小田真平建築設計事務所+アトリエロウエによる、大阪・高槻市の、百貨店内の生花店「フローリスト蘭蘭」
小田真平建築設計事務所+アトリエロウエによる、大阪・高槻市の、百貨店内の生花店「フローリスト蘭蘭」 photo©山内紀人

小田真平建築設計事務所アトリエロウエによる、大阪・高槻市の、百貨店内の生花店「フローリスト蘭蘭」です。小田は島田陽建築設計事務所 / タトアーキテクツ出身の建築家。

百貨店の一角に位置する生花店のインテリアデザインである。
百貨店では、他の店舗が営業しており、工事特有の騒音や臭い、搬出入に制限があり、長期にかけての工事も考えられず、短期間での施工が求められた。

建築家によるテキストより

ビニル床シートを採用するにあたり、ビニル床シートでしかできないこと、ビニル床シートだからこそ出来ることを考えた。

敷かれたビニル床シートが立ち上がり、床が隆起したように、そのまま繋がり作業台となる。
その天板は床材と同様、汚れに強くハードな作業を行うことができる。

什器はホームセンターでも手に入るような物販棚の支柱と構造用合板を使い、搬入組立てが容易にできるようにボルトを使用、工期の短縮を試みている。

建築家によるテキストより

同質の素材がひしめいている百貨店の各店舗の中で、どこにでもあるような見慣れた材料を工夫して使うことで、百貨店らしくない異質の店舗となることを目指した。

建築家によるテキストより
2019年度のJIA日本建築大賞を、古澤大輔の自邸「古澤邸」が受賞

2019年度のJIA日本建築大賞を、古澤大輔の自邸「古澤邸」が受賞しています。
古澤邸については、以下の動画で様子を詳しく見ることができます。

公開された結果は以下。

【優秀建築選2019 JIA日本建築大賞・JIA優秀建築賞】
2019年度のJIA日本建築大賞及びJIA優秀建築賞が、3月8日(日)に審査委員及び現地審査に選ばれた6作品の関係者によるプレゼンテーションと質疑を経て、下記の通り、決まりましたので、お知らせいたします。

【JIA日本建築大賞】(1点)
「古澤邸」
設計者:
古澤大輔(リライト_D/日本大学理工学部建築学科)

【JIA優秀建築賞】(3点)
「新潟の集合住宅Ⅲ/ザ・パーク一番堀」
設計者:
細海拓也(細海拓也一級建築士事務所)
江尻憲泰(江尻建築構造設計事務所)

「コート・ハウス」
設計者:
松岡聡(一級建築士事務所松岡聡田村裕希)
田村裕希(一級建築士事務所松岡聡田村裕希)

「須賀川市民交流センター tette」
設計者:
佐藤維(株式会社石本建築事務所)
十河一樹(株式会社石本建築事務所)
畝森泰行(株式会社畝森泰行建築設計事務所)

【JIA新人賞2019】
JIA新人賞2019が、1次審査、公開審査、現地審査を経て、3名の審査委員よる最終審査の結果、下記の方が受賞されましたので、お知らせいたします。

審査委員:青木淳、宮本佳明、武井誠

【JIA新人賞2019】(1名)
中山英之(株式会社中山英之建築設計事務所)
「弦と弧」

西沢大良による、母校の高校生に向けて自身の経験を綴ったテキスト「天職との出会い方」

西沢大良による、母校の高校生に向けて自身の経験を綴ったテキスト「天職との出会い方」がPDFで公開されています。2016年8月24日 に掲載されたものですが、非常に素晴らしい内容なのでご紹介いたします。

山田紗子による東京・世田谷区の自宅兼事務所「daita2019」の、高野ユリカが撮影した写真

山田紗子による東京・世田谷区の自宅兼事務所「daita2019」の、高野ユリカが撮影した写真が41枚、山田のサイトに掲載されています。高野ユリカは、ホンマタカシに師事した写真家です。

この家の設計をしながら、私は数年前に訪れたルワンダの森を思い出していた。それはルワンダ、コンゴ、ウガンダの三ヶ国の国境となるビルンガ火山群の森林で、そこには野生のマウンテンゴリラの群れが日々その広大な森の中を自由に移動しながら生活していた。地元の人の案内で、ある一つの群れに追いついた時、彼らはちょうど、森の中にぽっかりと空いた柔らかな茂みに腰を下ろし休憩していた。子供たちは木の上の方に上って遊んだり、大人たちの間を駆け回っていたが、大人たちは銘々に心地良さそうな草の中にすっぽりと納まり、毛づくろいをしたり草や木の皮をバリバリと食べていた。それはまるで家の風景だった。彼らは鬱蒼と茂る木々の中に居場所を見つけ、即興的に家を作っていた。壁や屋根があるわけではないが、木々や背の高い草、それらに絡まる蔦植物、地形の凹凸がつくる多くの線の重なりと見え掛りが、住人の存在を包み、家となりうる快適な密度を作っていた。これは、ゴリラの森のヴァナキュラー建築である。

東京の小さな住宅地の一角に、このような家があったらどうだろうか。むき出しの生活が、重層する線材とさまざまな奥行きをつくりだす物によって柔らかく包まれ、日差しや通りを行き交う人の視線から少し遠のくような家を作れないか。そのためにはまず、家の中も外も徹底的に線を多く浮き出させようと考えた。構造材は露出させ、材と材の接合部分や貼り合わせ部分も断面部に見えるようにした。家と庭の間には壁をつくらず、すべて窓サッシや建具で組み立てた。木の角材や鉄骨部材、単管パイプの柱や梁、筋交いなどのストラクチャーに加えて、階段のささらや手摺、窓のサッシ枠、家具やカーテン、本、衣服などの雑貨、樹木や植物の鉢植え、自転車、ジョウロ、ショベル、さらには住人の映像制作の仕事に関わる膨大な図書やビデオテープ、DVDなど、さまざまな生活の風景をつくるものを溢れ出させた。そうして建物の外から中に至るまで、多くの線材が織り込まれるように重層して、その中でそれぞれの住人が自由気ままに生活し、腰を落ち着ける環境を見つけられるようにした。

庭には果樹や香草、野菜など食用となる植物や、剪定の際に切り花として活用できるものを多く選んだ。鋼製パイプで構成されたフレームの中に、生活空間の延長であり、収穫のためのプラットフォームともなるテラスを広げ、定期的な枝葉の剪定を必要とする樹木の周りに階段を設け、道路沿いの蔓植物が伸びるフェンスに沿ってキャットウォークを走らせている。家の内部では構造体と物がお互いの存在を打ち消すことなく共存しているように、家の外部においても、構造体と植物が共に密度を作り上げていくように計画した。

構造はコストやメンテナンス性、また将来の増改築の可能性から、室内部分は木造、屋外部分は鉄骨造にしている。単管パイプはクランプによって簡単につけ外しが可能なため、出入口を変えたり、手摺にしたり、植物の支柱にしたり、物を干したり吊るしたり、と日々の生活の中の要求に合わせて形を変えていくことができる。建物と庭の境界面は、それぞれの部屋の要請によってアルミサッシ、木製サッシ、鋼製サッシを使い分け、さらに引き違い窓、滑り出し窓、片開き窓、ジャロジー窓など大小さまざまな開口が並ぶ。それらサッシの開閉によって、家が庭へ流れ出し、庭が家の中に入り込み、二つの風景が重なり合って、ゴリラの森のような心地よい住空間を作り出している。

【特集:“山”と“谷”を楽しむ建築家の人生】富永大毅によるレビュー「選べない仕事の先に切り開かれる建築家の新しい作家性」

アーキテクチャーフォトではユウブックスから出版されたインタビュー集『“山”と“谷”を楽しむ建築家の人生(amazon)』を特集します。

それにあたり、岸和郎さん(WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS)、三井祐介さん(日建設計)、富永大毅さん(TATTA ※旧富永大毅建築都市計画事務所)、橋本健史さん(403architecture [dajiba])にレビューを依頼しました。

異なる世代・立場・経験をもつレビュアーから生まれる言葉によって、本書に対する新たな見え方が明らかになると思います。
その視点を読者の皆様と共有したいと思います。
(アーキテクチャーフォト編集部)

【特集:“山”と“谷”を楽しむ建築家の人生】富永大毅によるレビュー「選べない仕事の先に切り開かれる建築家の新しい作家性」

選べない仕事の先に切り開かれる建築家の新しい作家性

text:富永大毅

 
 
建築家が憧れられない時代に教えること
大学の非常勤などで学生に建築の設計を教えるとき、さて、このうちの何人が建築の設計で生きていくことになるだろうかということがいつも頭をよぎる。

自分が大学生の頃の最初の授業で、この中で建築家になれるのは1人いればいい方ですと、いきなり釘を刺されたことを思い出すからかもしれない。

その時に僕はきっと、「それなら人より頑張るしかないか」と思ったはずで、だから先生のあの一言は正しかった、有難かったと今も思っているし、結果としてうちの学年からは建築の設計で独立をした人が4-5人出ることになった。就職氷河期世代だったせいもあったと思う。

話が逸れた。
フレッシュな学生たちを目の前にして僕は、全員を建築家に仕立てよう!などと思って教えているわけではない。かと言って正直そんなに建築家になられると小さいマーケットなんだから困る、という自分の小さな器が僕を抑制しているというワケでもない。建築家志望の学生が減った現状において、建築家として建築の設計を教えることの意味と、それをどう教えたら最終的に建築設計を目指さない学生にとっても実のあるものになるかについて、最近は常に戦っている。

せっかく建築学科に入ったのに、他の人と同じように大学4年の春になると黒いスーツを着て、小さな差異を比べられて病むこともある、あの恐るべき就職活動に流れていって欲しくない。もっと大げさな言い方をすれば、建築家という人種が失われるのを食い止めようとしている。
お会いしたことはないが本著編集の矢野さんも、インタビュアーの山﨑さん西田さん後藤さんもきっと同じ思いなのだろうと思う。

 
踏み出す力と諦める力
『“山”と”谷”を楽しむ建築家の人生』は7人の建築家が登場し人生の紆余曲折を語るインタビューを書籍化したものである。

この手の書籍は既にたくさんあるが、この本が他のそうした本と一線を画しているのは、全員がナチュラルに従来の古い“建築家”像から脱却したような活動、キャリアを持った人たちだというところにある。
正直に言うと、ロールモデルとするにはちょっととんでもない人たちばかりかもしれない(笑)。永山さんは子育てをしながらどんどん仕事受けちゃうスーパーウーマンだし、佐久間さんは営業を学ぶために保険マンについて行っちゃうし、谷尻さんは編集部に持ち込みに行っちゃうし、森田さんは左官の技術を学びにヨーロッパに行っちゃうし、みな型破り過ぎる。

詳細はぜひ読んで確かめて欲しいが、共通しているのはみんな全く失敗を恐れずに一歩踏み出す力が凄いのと、半ば諦め的に現状をポジティブに変換してしまうところである。端から、仕事がなくてもまあ仕方ないか、じゃあ海外へ旅に行けるな!みたいな感覚しかないことに驚く。

高野ユリカが、アルヴァ・シザの建築をテーマに撮影した一連の写真

高野ユリカが、アルヴァ・シザの建築をテーマに撮影した一連の写真が、高野のウェブサイトに掲載されています。右スクロールで写真を」閲覧できます。
高野はホンマタカシに師事した経歴をもっています。こちらのページには高野のインタビューが掲載されていて、建築を撮影するときのスタンスについても語っています

最も注目を集めたトピックス [期間:2020/3/10-3/16]
最も注目を集めたトピックス [期間:2020/3/10-3/16]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:【集計期間】)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 「広島中央警察署本通交番庁舎」設計プロポの結果と提案書が公開
  2. 高知の「四万十町文化的施設」設計プロポの結果と提案書が公開
  3. Buttondesign / 村上譲・菊田康平による、東京・中野区の住宅「白鷺の家」
  4. 【特集:“山”と“谷”を楽しむ建築家の人生】岸和郎によるレビュー「ブルネレスキとの再会」
  5. 島田陽 / タトアーキテクツの建築展「:REORGANIZATION」の会場写真
  6. 昭和設計による、和歌山・紀の川市の、福利厚生機能と倉庫を併せ持つ施設「T-RUNWAY」
  7. 坂茂建築設計が2019年に完成させた、スイス・ビールの「オメガ・スウォッチ本社 (スウォッチ本社/Cité du Temps/オメガファクトリー)」の新しい写真
  8. ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による連載エッセイの最新回「建築の立面図について」
  9. 島田真弓+寺田和彦 / MIGRANTが設計し施工の多くを施主や有志と行った、長野・白馬村の「MOUNTAIN HUT」
  10. 隈研吾が、「インスタ映え」の建築設計への影響などについて語っているインタビュー「21世紀は“インスタ映え”建築 隈研吾が“求められる建築”を語る」
  11. MVRDVによる、台湾・台南市の、街の中心部にある元ショッピングモールを変形した、水場を中心とするパブリックスペース「Tainan Spring」の写真など
  12. 長坂常 / スキーマ建築計画がデザインした、暖簾(のれん)「NOREN」
  13. 杉山幸一郎による連載エッセイ ”For The Architectural Innocent” 第3回「建築の輪郭。質量と仕上げ。」
  14. 妹島和世が1994年に完成させた、長野の「森の別荘」の継承者を募集中
  15. 日建設計 / 谷口景一朗+茅原愛弓+康未来による、東京・港区の「荒川ビル」
  16. 荒尾宗平 / SIDES COREによる、大阪市の、美容室とアイラッシュの併設店舗「LAND」
  17. 荒尾宗平 / SIDES COREによる、広島の店舗「BAKE CHEESE TART ekie広島店 / Cheesetart Shop」
  18. 村田純 / JAMによる、中国・北京市の、宿泊施設・工房・ギャラリー機能を持つ「瞑想と創造のための空間」
  19. トラフが建築の設計監修と展示計画を含む内装設計を手掛けた、東京・町田市の「Snoopy Museum Tokyo」の写真
  20. アトリエ・ジャン・ヌーベルの設計で2018年に完成した、フランス・マルセイユのオフィスビル「Marseillaise Tower」

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