

桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSが設計した、北海道・札幌市の、集合住宅の一室の改修「25°」です。
壁や天井といった内装を施す代わりに、高さや幅の違う5つの大きな家具を分散して配置した。
大きな家具は、RCの既存躯体に対して 25°に角度を振って配置されることで、三角形状の小さな居場所がつくられる。三角形平面は一辺を長くもつことができるので、収納や机の幅を十分に確保したり、小さいながらも広がりを生むのに効果的な形状である。入口が狭く奥に広がる囲われた書斎や、オープンで広がりのある子供のスタディスペースなど、 変化に富んだ居場所がつくられる。
大きな家具と呼んでいるさまざまな形状の箱は、設備配線を覆い隠すという内装の役割も果たす。それぞれが本棚や飾り棚、AV機器やおもちゃ収納、DJブースであるだけでなく、コンセントや照明スイッチ、LANや音響機器コードなどあらゆる設備が統合されている。天井高さや面積を確保するために躯体を現して設備配管などを露出するという多くのリノベーション設計に見られる定型化した手法を避け、空間の中に独立して立ち現れる新しい内装のかたちを目指した。