



洲崎洋輔建築設計事務所が設計した、千葉の「三井化学袖ケ浦センター リニューアル」です。
研究開発拠点の改修計画です。建築家は、既存の“開放感のある労働環境の未来への継承”を意図し、天井面の素材の選択などで“内外の環境の連続”を体感できる空間を構築しました。また、工期を細かく分けて利用者の意見を汲取りながら完成させました。
三井化学の研究開発拠点として、約1000人の社員が勤務する袖ケ浦センターのリニューアルプロジェクトである。
施設は都心からアクセスの良い臨海部に位置し、国内外から訪れる研究者によって未来のより良い暮らしをつくる素材や技術がここから生まれている。建物は竣工後35年が経過し、手狭になった施設の整理や、現代のワークスタイルにそぐわない空間に対しての調整が求められた。
その一方で、成熟した外部環境による“建築と環境の均衡のとれた風景”が敷地には広がっていた。これから時代の研究拠点として、社内外の人の交流の活性化を図り、分野の垣根を超えて化学反応を起こす開かれた場所を目指して、エントランスや社員食堂といった共用空間のリニューアルを行うこととなった。
はじめに、若手社員を中心に未来の研究所を考えるワーキンググループを設け、日々働く場所の在り方のディスカッションを何度も実施し、建物要望についての深い考察を深めた。その後、建築家を主体に、空間利用の具体的なシミュレーションを重ね案の具体化を行った。
建築操作としては、都心では体験できない開放感のあるワークスペースを未来へ継承する為、既存建築の特徴である水平に広がる開口部に注目し、主に天井面を質感ある素材で構成することによって、利用者がより視覚・感覚的に内外の環境が連続する空間体験ができる交流空間を計画した。
大規模な改修にあたり、工期を分け細かな改修をローテーションすることで、関係者の原寸大での空間の理解度を深め、実際に体験した利用者の意見を汲み取り “みんなの研究所”の在り方を探求できるサスティナブルな改修となった。