
※このエッセイは、杉山幸一郎個人の見解を記すもので、ピーター・ズントー事務所のオフィシャルブログという位置づけではありません。
タイムスリップ / 木の風船
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今回はグラウビュンデン州クールの街にある、«ローマ遺跡のためのシェルター»を紹介しようと思います。
このピーターズントー設計による小さな遺跡博物館は、スイスアルプス観光拠点の一つであるクール駅から徒歩圏内にあり、無料で見学することができます。そんなアクセスのし易さから、最も多くの人が訪れたことのある、ズントー建築の一つではないでしょうか。
建築家が自身の設計事務所を立ち上げて間もない頃に設計した初期プロジェクトを見ると、それまでに経験を積んで培ったきた、しかし表現する機会がなかった自身の建築に対する言葉、その全てが湧き出すように現れているのを目にすることができます。
もっと言えば、同じ建築家のその後のプロジェクトと比べて、後で振り返ってみれば、洗練されすぎていない原石のような意志や力強さが垣間見えることが多いのです。
このローマ遺跡のためのシェルター (以下シェルター)が竣工したのは1986年。以前紹介したデビュー作である木造アトリエとほぼ同じ時期になります。
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木造アトリエはカラマツの線材が縦方向を強調するように取り付けられて、建物の顔を作っていました。
一方でこちらは、日差しを遮るように水平方向に走るルーバー。つまり、角度を持って取り付けられた水平材が外に向けた表情をつくっています。内部から眺めれば、直接光を避けて内部の遺構を守りつつ、ルーバーに反射した間接光が内部に取り込まれて、室内をほのかに明るくしています。














