加藤直樹 / N.A.Oが設計した、東京・八王子市の住宅「HOUSE-N」です。
この住宅には、2つの課題があった。1つ目は「コスト」である。土地・建物を合わせて2900万と予算に大きな制限があった為、敷地選定の段階から全体のコストバランスを見極め、計画を進めていく必要があった。敷地は、ロケーションを売りにしている高台に面した新興住宅分譲地だが、冷静に見るとそのロケーションがそれ程魅力的ではない。それならば、敢えて高台に面していない価格を低く設定している区画の中で、日照条件や法的条件が有利な敷地を選択した。
2つ目の課題は「距離感」である。クライアントは、家族同士の距離感を大切にしており、非常にオープンな家庭環境であった。単純に個室がそれぞれ用意されているのでは閉じ過ぎている。だからといって全てをオープンなワンルームのようにしてしまうのも乱暴過ぎる。この家族にとって心地良い距離感を保つ為には、どのような空間構成が望ましいのかを思案するべきだと考えた。
土地を1100万で購入した為、1800万で建物の計画を進める必要があった。そこで、まず、設計の初期段階にコストの観点から建坪を25坪以下と制限を掛けた。やや狭小寄りになったこの住宅に広がりを持たせる為、7枚の床レベルをランダムにスキップさせた2階建のワンルームのような構成としている。