


唯島友亮建築設計舎+木組による、千葉の住宅「勝浦の家」です。
房総半島の東、太平洋の地平線を見わたせる澄みきった風景がひろがるこの家の敷地は、海からの暴風がダイレクトに建物をおそい、既存の家の瓦や雨戸が嵐のたびに吹きとばされてしまうほどの、猛烈な風雨がふき荒れる場所でもあった。
「風雨に対して強く、それでいて自然にむかって開かれた、光と影に満ちたすまいをつくりたい。」
そんな建主からの要望をうけて、ここでは厳しい風雨をうけとめる防御的なかたく閉ざされた外殻と、おおらかに開かれた明るい内部とが、ひとつの屋根の下に共存するありかたを模索した。
大工の手刻みによる小屋組みは、架構の要素をぎりぎりまで削ぎ落としたミニマルで原初的な構成とし、垂木のせいの半分を天井内に隠して軽やかにならべることで、おおらかな秩序と凛とした緊張感をあわせもった空間がうまれることを期待した。
また、梁と垂木の規則的な架構のリズムに、板厚に変化をもたせた天井板の小さな凹凸の反復を重ね合わせることによって、木漏れ日の射す深い森の中のような、淡い陰影に満ちたやわらかい幾何学模様をぼんやりと頭上に浮かびあがらせることはできないかと、試行錯誤をくりかえした。
この場所では、小手先の意匠や新しさは、激しい風雨にいとも簡単にふき飛ばされてしまう。だからここでは、自然の試練に耐えて建ちつづける建築の根源的な骨格を、おなじように過酷な自然に晒されてきた名もない古びた建物たちのなかに探すこと、そして、そこに刻まれた小さな秩序や幾何学の跡をみつけることを、強く意識しながら図面を引いた。












