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マリオ・ボッタへの日本語で読めるインタビュー記事 佐久間達也空間計画所による、神奈川・横浜の住宅(寝室)「Assembly for the Bedroom」
佐久間達也空間計画所による、神奈川・横浜の住宅(寝室)「Assembly for the Bedroom」 photo©鳥村鋼一

佐久間達也空間計画所が設計した、神奈川・横浜の住宅(寝室)「Assembly for the Bedroom」です。

一般的に内部空間は床、壁、天井の三種の仕上げ面が90度の角度で折れ線を成して組み立てられている。その折れ線上には廻り縁や巾木が施され境界線があらわされていることが多い。そしてこれら仕上げ面は断熱材や配線、鋼製下地や木下地、躯体といった下地を覆っている。仕上げ面で囲われた空間は三種の面に分節されているともいえるし、そうではなく空間を象るひとつながりのパッケージととらえ直すこともできる。改装ではプランの変更を要望されていたのだか、ここでは既にある天井や壁、床を撤去して新たな天井・壁・床を作る際に、空間の仕切りを変えるだけではなく、天井と壁の関係に別の関係性を与えてみた。天井と壁の入り隅を曲面で連続させると、天井面と壁面の境界線がどこか言い表すことが難しくなる。この天井と壁の区別を曖昧にする操作は局所的に行っているため、曲面の異質さが対比的に際立つことになる。分節のルールのなかに未分節のかたちを混在させ従来の構成原理を崩して、空間に彩りをもたらす。

【ap job更新】 株式会社KAPが、構造デザインのスタッフを募集中
【ap job更新】 株式会社KAPが、構造デザインのスタッフを募集中
【ap job更新】 株式会社KAPが、構造デザインのスタッフを募集中 新徳山駅ビル(写真:建築写 中村啓太郎)

 
アーキテクチャーフォトジョブボードに新しい情報が追加されました

株式会社KAPの、構造デザインのスタッフ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

KAPでは構造デザインをやりたい人を募集しています。
・計算だけでなく意匠を活かして建築全体が良くなるようなデザインをしたい。
・合理的で感性にも訴える作品を模型でスタディしながら設計したい。
・新しい構造を実験で検証しながら実現したい。
・建築だけでなく橋梁やランドスケープなど土木の構造設計もしたい。
・私たちの社会にとって建築はこうあるべきという建物をつくりたい。
そんな方のご応募を待っています。

詳しくはホームページもご覧下さい。
http://kapstructure.wixsite.com/engineers

■業務内容
個人住宅から、庁舎等の公共建築や再開発プロジェクトまで、さまざまな種類の構造設計を手がけています。社会的にも意義のある多くのプロジェクトを、基本的には設計から現場監理まで一貫してプロジェクトに取り組みます。明快な構造設計の思想に立脚しつつも、感性を大事にして建築全体が良くなるような設計を得意とした事務所です。
また設計過程で構造模型を作ることも特徴です。構造模型を作ることによって実際の空間をより具体的にイメージできる、常に側に置いておくことでふとしたときにアイデアが生まれる、初めての人にプロジェクトを説明するときに一目瞭然となる、など色々と良いことがあります。何よりこれから実際に作る建築が小さいながらも形になるということはとても楽しいことです。

戸川賢木 / SAKAKIAtelierによる、静岡の住宅「井とロ」
戸川賢木 / SAKAKIAtelierによる、静岡の住宅「井とロ」 photo©橘薫
戸川賢木 / SAKAKIAtelierによる、静岡の住宅「井とロ」 photo©橘薫

戸川賢木 / SAKAKIAtelierが設計した、静岡の住宅「井とロ」です。

夫婦+子供2人の為の住まいである。主人は庭師を生業としている。北道路4mに接道する比較的整形された敷地である。道路は袋小路であり通過交通は殆どない。山も川も近くに存在するが、近隣の密集からそれらを感じるのは難しい立地と言える。庭師である主人はここに住まいとしての機能の他に、仕事道具を収納するスペース、小さくても集客力をもった庭を要望した。建物にも集客力が求められる。そして厳しいコストコントロールも求められた。

【特集:建築家のためのウェブ発信講義】成瀬・猪熊建築設計事務所 猪熊純によるレビュー「ウェブと、その作り手をデザインする本」

書籍『建築家のためのウェブ発信講義』を特集するにあたり、辻琢磨さん(403architecture [dajiba])・猪熊純さん(成瀬・猪熊建築設計事務所)・高橋寿太郎さん(創造系不動産)にレビューを依頼しました。

本書では建築家の世界を「学問としての建築」「ビジネスとしての建築」という視点で語っています。レビュー企画を行うにあたり、これらの視点を体現していると以前より感じていた方々に依頼することで、本書籍の多様な見方が浮かび上がるのではと思いました。

辻さんには「学問としての建築」を体現している立場として、建築家をサポートする活動で注目を集める高橋さんには「ビジネスとしての建築」として、そして、住宅にとどまらず公共・商業など幅広く活動する猪熊さんは、その両方を架橋する視点でのレビューを期待し依頼しました。

執筆頂いたレビューは、建築人としてのそれぞれの立場と実践からの正に「生きた言葉」と言ってよいものになっています。本書籍を理解するための補助線として閲覧いただければ幸いです。
(アーキテクチャーフォト編集部)

【特集:建築家のためのウェブ発信講義】成瀬・猪熊建築設計事務所 猪熊純によるレビュー「ウェブと、その作り手をデザインする本」

 
ウェブと、その作り手をデザインする本

text:猪熊純

 
 
 本書は、若手で建築を生業にしている人なら、もはや誰もが知るサイトとなったアーキテクチャーフォトの運営者、後藤連平さんによる、ウェブ発信の教科書である。

 「パラダイムシフトは、情報革命から起こる」という話がある。産業革命はなぜ起こったか、ということについて様々な切り口から説明がなされているが、グーテンベルクの活版印刷こそが、それまでとは全く異なる量の情報の流通を生み、知識層を増やし、産業革命にまで繋がった、という考え方だ。ウェブは、このマスメディア主体の形式を根底から変える新しい情報伝達だ。後藤さんは、建築業界という場所で、まさにこれを体現してみせたパイオニアだ。

 運営が始まって10年、様々な建築専門誌が無くなってゆく中、アーキテクチャーフォトはそれと反比例するように成長をとげた。twitter・facebook・ウェブサイトの連鎖から生み出される情報は、「見ない日がない」といっても過言ではない、インフラのようなメディアとなった。私たちが普通に受け入れるようになっていたこの状況は、もちろん勝手に起こったことではない。後藤さんが「継続に勝るものはない」と語っているように、そもそもウェブによる発信は、日常になってしまうほどの連続性によって効果を発揮するものなのだ。私たちは、アーキテクチャーフォトが無ければ、それを認識することすらできなかったのではなかろうか。本書は、そんな彼が私たち建築家に教えてくれる、新しい時代の情報発信のあり方だ。

 とはいっても、本書は「どうやって発信すべきか」といったことだけが書かれたハウツー本とはちょっと違う。「個性と強みを活かした発信をしよう」「継続に勝るものはない」「信頼される発信を心がける」といった切り口から発信目線の平易な言葉で解説が進むものの、実はその裏には「そもそもあなたは、建築家として何が売りなんですか」という問いが並走している。後半の実践編でも同様だ。それぞれの建築家の情報発信の手法が、いかに彼らの活動にふさわしいものになっているか、具体的に丹念に分析されている。そこに隠されているのもまた、「己を知らねば情報発信はできない」という事実である。

最も注目を集めたトピックス [期間:2018/4/16-4/22]

アーキテクチャーフォト・ネットで、先週(期間:2018/4/16-4/22)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページ右下の「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


1、SANAA、藤本壮介、坂茂・松田平田、SUEP、日建・タカネが、新香川県立体育館設計プロポで一次審査を通過

2、乾久美子による、宮崎・延岡のJR延岡駅前複合施設「エンクロス」の写真など

3、谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEが、広島でホテルの経営を手掛けることに

4、365+1studio / 小島弘旭による、東京・目白の、改修(DIY)可能とし物件価値を回復した賃貸住宅「目白の間抜け」

5、勝野大樹 / 建築研究所フォーラムが一般競争入札で実現した、長野・伊那の「パノラマオフィス伊那」

6、2018年の日本建築学会による各賞が公開。日本建築学会賞(作品)は「該当作なし」。

7、大西麻貴+百田有希 / o+hが、自身が設計した東京の住宅「house h」について解説している動画

8、戸川賢木 / SAKAKIAtelierによる、静岡の住宅の部分改修「R+hasso」

9、谷尻誠が、施工会社「21世紀工務店」を設立したことを公開

10、吉岡徳仁が、カルテル社のためにデザインした椅子「MATRIX chair」

11、舘鼻則孝のディレクション、Button designの設計による、東京・赤坂の店舗「COURTESY」

12、多田正治アトリエ+近畿大学佐野こずえ研究室による、イベントのための会場構成『「貸本+茶屋」@神川桜覧会2018』

13、BIGが計画している、スイスの、ジグザグにつくられた屋根がスキー用のスロープになっているホテルの画像

14、長坂常 / スキーマ建築計画による、京都・南禅寺の店舗「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」の写真

15、森美術館で行われる建築展「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」のPR動画

16、【特集:建築家のためのウェブ発信講義】403architecture [dajiba]・辻琢磨によるレビュー「社会に接続せよ」

17、スティーブン・ホールの設計で完成した、アメリカの、バージニア・コモンウェルス大学の現代美術研究所の写真

18、吉岡徳仁が、Glas Italiaのためにデザインした「Starlight – Glass Table」と「Starlight – Mirror」

19、手塚貴晴が、自身が設計して竣工した番町教会について書いたテキスト「時を超えて」

20、著名建築写真家のイワン・バーンのサイトがリニューアルしていて、多数の写真が閲覧可能に


過去の「最も注目を集めたトピックス」はこちらでどうぞ

「蟻鱒鳶ル」で知られる岡啓輔と萱原正嗣による書籍『バベる!』

「蟻鱒鳶ル」で知られる岡啓輔と萱原正嗣による書籍『バベる!』がamazonで発売されています

「蟻鱒鳶ル」で知られる岡啓輔と萱原正嗣による書籍『バベる!』がamazonで発売されています。

2005年、着工。現在も建設中。200年もつコンクリートで、「蟻鱒鳶ル」をつくる男の意志と記録、そして未来。

谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEが、広島でホテルの経営を手掛けることに

谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEが、広島でホテルの経営を手掛けることが報じられています

谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEが、広島でホテルの経営を手掛けることが報じられています。fashionsnap.comが伝えています。
同事務所は、2017年3月に不動産事業「絶景不動産」を2017年4月に飲食店「社食堂」を、2018年4月に施工会社「21世紀工務店」を始めるなど、設計を起点として、その周囲にも活動の幅を広げています。

施主と一緒に施工も行う建築ノウハウ等を収録した書籍『ともにつくるDIYワークショップ リノベーション空間と8つのメソッド』の中身プレビュー

施主と一緒に施工も行う建築ノウハウ等を収録した書籍『ともにつくるDIYワークショップ リノベーション空間と8つのメソッド』の中身プレビュー

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河野直+河野桃子+つみき設計施工社の編著による書籍『ともにつくるDIYワークショップ リノベーション空間と8つのメソッド』をプレビューします。出版社はユウブックスです。

現在まで250回以上のDIYワークショップを実施し、自分の居場所を仲間や家族と「ともにつくる」楽しさを発信する、つみき設計施工社の河野直、桃子の両氏。
初の著作となる本書では、「ともにつくる」ためのノウハウや作品を紹介している。
効率的な人員配置、安全への配慮、時間通りに進まない場合の対応など、大人数で進める現場ならではの工夫のほか、左官壁塗り、床張り、タイル貼り、ペンキ塗りなどの施工プロセスやキレイに仕上げるコツなど、DIYをサポートするプロとしての仕事方法を多数盛り込んでいる。またSNSの利用やエリアのキーマンを計画に巻き込みながら、古いビルをリノベーションし満室のシェアアトリエへと変えた記録など貴重な情報も。

DIYブームの昨今、自分の手で住まいづくりを楽しみたいというクライアント、仲間を集め、低予算でリノベーションならではの味のある洒落た空間を実現しようというシェアアトリエやショップオーナーなどのクライアントをもつ設計事務所・工務店にはぜひ手にとっていただきたい。

中身のプレビューは以下からどうぞ。

建築分野でも注目されるゴードン・マッタ=クラークの展覧会が、東京国立近代美術館で開催

ゴードン・マッタ=クラークの展覧会が、東京国立近代美術館で開催されます

建築分野でも注目されるアーティストのゴードン・マッタ=クラークの展覧会が、東京国立近代美術館で開催されます。会期は2018年6月19日~9月17日。

アメリカのアーティスト、ゴードン・マッタ=クラーク(1943-78)のアジア初となる大回顧展。大学で建築を学んだマッタ=クラークは、美術へと活動の舞台を移すと、1970年代にニューヨークを中心に活躍しました。35歳で病死するまでの短い活動にも関わらず、今なお多くのアーティストに影響を与え続けています。
マッタ=クラークは、取り壊し前の建物の床や壁の一部を取り去り、ありふれた日常をまったく新しい空間と時間へと変容させる「建物切断(building cuts)」のプロジェクトで当時の美術界に衝撃を与えます。また、美術・音楽・ダンスのためのスペース「112」の運営やアーティストによるレストラン「FOOD」の経営に関ったり、グラフィティなどのストリート・カルチャーにいち早く注目したりと、時代の空気を鋭敏に読み取りながら新しいアーティスト像を提示しました。
彫刻、写真、映像、ドローイングなどから、1970年代を代表するこのアーティストの全貌にせまります。

黒川智之による、神奈川・横浜の離れ「三ツ池の蔵」の写真 2018年の日本建築学会による各賞が公開。日本建築学会賞(作品)は「該当作なし」。 book『リノベーションの教科書: 企画・デザイン ・プロジェクト』

書籍『リノベーションの教科書: 企画・デザイン ・プロジェクト』がamazonで発売されています

書籍『リノベーションの教科書: 企画・デザイン ・プロジェクト』がamazonで発売されています。
出版社のサイトで誌面を5枚見ることができます

リノベーションを学び、設計やプロジェクトに取り組むための入門教科書。住宅や学校、商業施設などの建物単体から地域レベルまで、計画手法を事例とともに解説し、調査・設計・現場・運営の実践ポイントも充実。講義テキストとしてはもちろん、学生から実務者まで、初めてリノベに取り組む人の手引きとして最適の1冊。

木村吉成が、木村松本建築設計事務所による京都の住宅「house HS」の設計プロセスを解説している動画 大西麻貴+百田有希 / o+hが、自身が設計した東京の住宅「house h」について解説している動画 多田正治アトリエ+近畿大学佐野こずえ研究室による、イベントのための会場構成『「貸本+茶屋」@神川桜覧会2018』
多田正治アトリエ+近畿大学佐野こずえ研究室による、イベントのための会場構成『「貸本+茶屋」@神川桜覧会2018』 photo©多田正治+富田彩夏(近畿大学)
多田正治アトリエ+近畿大学佐野こずえ研究室による、イベントのための会場構成『「貸本+茶屋」@神川桜覧会2018』 photo©多田正治+富田彩夏(近畿大学)

多田正治アトリエ+近畿大学佐野こずえ研究室による、イベントのための会場構成『「貸本+茶屋」@神川桜覧会2018』です。

旧・神上中学校の教室内に桜覧会(*)のイベント「貸本+茶屋(**)」のための空間をつくった。
木造校舎のノスタルジックな雰囲気を塗りつぶすことなく、いかに新しい空間をつくるかということがテーマのひとつだった。
そこで、床にかわる6mx3.3mの大きさのもうひとつの水平面をつくることで、古い教室そのままに様々なアクティビティが生じるよう試みた。
水平面には、一部高くなっていたり長方形平面で凹んでいるところをつくっており、それにより座卓や椅子、机、本棚、舞台などとして使われる曖昧で多様な水平面となった。

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