


伊原慶 / TA+Aと和久田幸佑 / 和久田幸佑建築設計事務所が設計した、高知・土佐町の「湖と山と弧 さめうらテントパーク全体整備」です。
森林公園のキャンプ場の整備計画です。建築家は、景観と渾然一体となる“場所性”を求め、山々と連続して湖をフレーミングする二枚屋根を持つ“炊事棟”などを設計しました。また、規格合板を用いて予算と工期の中で“60mm厚”の軽やかさを実現しています。施設の公式ページはこちら。
高知県土佐町にあるさめうら森林公園キャンプ場のリニューアル整備計画である。中心的な役割を担えず置き去りだった旧炊事棟を建替え、急勾配だった構内道路は迂回路を整備した。
“湖の駅”として段階的に域内を整備する過程で、園内の既存景観に手を加える手立てを探していた際、遊具や鳥居が広大なフィールドの中に点在し各々の近傍に場所性が生み出されていることに気付いた。
建築が立ち現れ、その内部に機能を与えるという事ではなく、一つの事物として園内で振る舞いながら、同時に炊事ができる場所性が自然景観と渾然一体となるように設計を進めた。
互い違いにズレを生じた2枚の屋根は、外部として空間に架かる要素であり、地盤面から僅かに上部を円の中心とした“弧”を描く。
ある時は周囲の山々と連続する風景として同調し、別の視点では渇水時に湖から現れる波型の山肌や山々をフレーミングする屋根として、また下から見上げた際は軒裏の部分が大きく見え木々や雲と連関する。眺める場所や季節で異なる印象や性質を持つ場所となる。短工期と限られた予算を満足するため、12mm厚の3×6版の規格材合板をそのままの形で3枚積層し湾曲させる最小限の手立てを施し屋根の強度を担保した。経年変化を考慮して9mm厚の合板で両側から挟み、軒裏に6mm厚のラワン合板で仕上げ、総厚60mmの軽やかな屋根とした。













