



日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史が設計した、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」です。
地域との関係に向き合う企業の工場の改修計画です。建築家は、“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案しました。そして、現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作りました。施主企業の公式サイトはこちら。
秋田県湯沢市は、精密機器部品メーカーOrbrayの創業者が最初に生産拠点として選んだ土地であり、長年にわたり地域住民が働き手として支え、高度な職人技によって世界に誇る製品が生み出されてきた。しかし、現在では過疎化の課題に直面し、企業と地域の関係も変革の時期を迎えている。
Orbray [TRAD]は、このような状況下で老朽化した生産拠点の段階的な移転計画の第一歩として構想された。女性が働きやすい職場環境を意識しつつ、働く人々の姿を間近に見ることができる見学通路や地域住民にも開放される食堂空間を設けることで、企業と地域の新たな接点を創出する。
従業員は地域住民との交流を通じて自らの仕事に誇りを持ち、地域住民は地元から世界へとつながる技術に触れることで、「湯沢市が世界に誇れる場所」を見出すことができる、そのような施設が求められていた。
このプロジェクトは、設計期間が短く、且つ非常に短い工期と低コストが求められた。
そこで、「塗装色の塗分けのみでデザインされた見学者動線」「採光のための食堂の大胆な天井の折上げ」「工場パレット材のアップサイクルによる巨大な居場所スペースの創出」「食堂のためにデザインしたオリジナル家具を湯沢市のふるさと納税返礼品として登録する」など、現場で次々と即興的なアイデアが生まれ、迅速に具体化されていった。
















