2025年 日本建築学会賞(作品)の受賞者による講演「作品を語る」の動画。伊藤博之と日建設計の江副敏史・多喜茂・髙畑貴良志が登壇。2025年7月に公開されたもの。
受賞作品の、伊藤博之による「天神町place」の写真と図面はこちらに。日建設計の江副敏史・多喜茂・髙畑貴良志による「高槻城公園芸術文化劇場」の写真と図面はこちらに掲載されています。




栫井寛子+徳永孝平 / atelier SALADが設計した、鹿児島市の住戸改修「HOUSE F」です。
標準的な間取りの既存を改修する計画です。建築家は、“近代の象徴”から“現代の価値”への更新を求め、“外部のような内部、内部のような外部”の空間を中央に配する計画を考案しました。そして、中庭・リビング・縁側でもある多様な場として機能させました。
51C以降、2DKの集合住宅が標準とされ、それは、家族形態や社会の様相を表わす近代化の象徴でもあった。
「HOUSE F」は、そのような2DKの計3部屋を一体的に改修し、近代の象徴を、現代の価値へとアップデートすることを目指した。
外部のような内部、内部のような外部を空間の中央に配した。
ここでは、
1. 床を下げ、天井を開放することで、FLから上下方向の広がりをつくったこと
2. 木と白で穏やかに整えた空間に、躯体の荒々しい表情が対比的に存在すること
3. 外部バルコニーから連続した豊かな植栽を計画することによって、中庭でもあり、リビングでもあり、縁側のようでもある多様性のある空間がうまれた。
大梁の存在を感じさせないよう、構造体を空間に取り込むことを考えた。
大梁下の有効2,000mm、既存天井高2,400mm、の2通りの天井高を組み合わせて様々な居場所に抑揚をつけ、連続する空間の豊かさを生み出している。例えば、エントランスやホール、キッチン、水回りは2,000mmに抑え、リビング・ダイニングや寝室は2,400mmとした。リビングから低い廊下を通って寝室へ移動することで、空間性の変化を感じられる計画とした。一方で、突板による仕上を、高さ2,000mmに統一することで、統一感と全体性を担保している。




ピーター・ズントーとSOMが設計した、アメリカの「デイヴィッド・ゲフィン・ギャラリーズ」が完成しました。
ロサンゼルス郡立美術館の新本館として計画されました。建築家は、キャンパス全体の活動の中心として、ギャラリー空間を持ち上げて地上レベルを様々な屋外活動の場とする建築を考案しました。2026年4月のグランドオープンを予定しています。
こちらはリリーステキストの翻訳です(文章自体は2025年3月に公開されたもの / 文責:アーキテクチャーフォト)
LACMA、2026年の新しいデイヴィッド・ゲフィン・ギャラリーズ(David Geffen Galleries)の盛大な一般公開に向けた2025年の計画を発表
ロサンゼルス郡立美術館(LACMA)は本日、2026年4月に常設コレクションの新たな拠点として開館する新デヴィッド・ゲッフェン・ギャラリーズの開館の準備を進める中で、2025年夏から一般の人々が複数の施設を見学し始めることができるようになると発表しました。プリツカー賞を受賞した建築家ピーター・ズントー氏が設計したこの建物の主要な建設工事は2024年末に完了し、LACMAは主要な運営機能の移転を開始しました。このプロセスが進行する中で、屋外彫刻の設置や飲食・小売スペースのオープン、特別なプレビューイベントによって、建物とその周辺が次第に活気づいていきます。
デヴィッド・ゲッフェンの多大な1億5,000万ドルの寄付に敬意を表してその名が付けられたこの新しい建物には、ロサンゼルス郡が1億2,500万ドルを投資しており、ウィルシャー通りをまたぐ形で建設されています。浮かぶような階段やエレベーターにより、通りの北側と南側の両方から展示レベルのギャラリーへアクセスすることができます。北ウィングは、理事および理事会共同議長であるエレイン・ウィン(Elaine Wynn)の5,000万ドルにのぼるリーダーシップ的寄付に敬意を表して、「エレイン・ウィン・ウィング」と名付けられています。この寄付によって、新しいギャラリー建設のための「ビルディング・LACMA」キャンペーンが立ち上げられました。ギャラリーの南ウィングには、まだ名称が付けられていません。
「ゲッフェン・ギャラリーズは、驚くほど美しい建築作品であると同時に、LACMAのキャンパス全体にわたるダイナミックな活動の中心でもあります」と、LACMAのCEO兼ウォリス・アネンバーグ館長のマイケル・ゴヴァン(Michael Govan)は述べました。「理事会共同議長であるエレイン・ウィンによる2016年の多額の寄付の誓約は、新しいLACMAを支援しようとする多くの人々にとって、非常に意義深いきっかけとなりました。また、LACMAの理事であるスティーブ・ティッシュ(Steve Tisch)氏にも感謝しています。同氏の寛大な支援により、LACMAはロサンゼルスのすべての人々が楽しめる、誰にでも開かれた親しみやすくアクセスしやすい空間をキャンパス内に創出することができています。私たちは、近隣からも遠方からも訪れる来館者の皆さまが、今年でもこの素晴らしい建物の持つ魅力を体感し始めることができることに、胸を躍らせています。2026年のグランドオープニングを盛大に迎えるにあたり、準備を本格化させていきます。芸術が持つ癒やしの力を活かしながら、私たちはまた、前例のない最近の火災から立ち直ろうとしているロサンゼルスの精神的な癒やしの一端を担いたいと願っています」

“デザインホテルの変遷と最近のトレンド”をテーマとしたセミナーが、パナソニックの主催で開催されます。
国内外のデザインホテルに関する書籍も執筆する、寶田陵が講師を務めます。参加費無料(要事前申込)。会場は、東京・新宿区のリビングデザインセンターOZONE。開催日時は、2025年8月7日(木)17:30~20:00。イベントの申込ページはこちら。【ap・ad】
寶田 陵氏が語る 国内・海外のデザインホテルの変遷と最近のトレンドについて
講師はthe rangedesignINC. 代表取締役 寶田 陵さん。
寶田 陵さんは今まで、数多くのホテルの設計を手がけています。ご自身の勉強の目的で、著名な国内外のホテルに宿泊し、客室のスケッチを行い、「実測 世界のデザインホテル」という書籍を出版されたほどです。
今回は国内外のホテルを知り尽くした寶田さんに、デザインホテルの変遷と最近のトレンドについて、お話いただきます。
以下に、詳細な情報を掲載します。


中村拓志&NAP建築設計事務所の、設計スタッフ(新卒・既卒・経験者 / 建築英語優遇)と 秘書兼広報 募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
【NAP建築設計事務所スタッフ募集のお知らせ】
NAP建築設計事務所では、目黒新オフィスへの移転とともに、さらなる業務拡大を目指して、新しい仲間を募集しています。経験者、新卒を問わず幅広く募集しておりますので、ぜひお気軽にご応募ください。【私たちの特徴と強み】
・国内外で進行中の多彩なプロジェクト
現在、事務所には43名の設計スタッフと3名の広報・事務スタッフが在籍し、国内外で40以上のプロジェクトが進行中です。海外案件の比率は25%に達しています。私たちは、設計監理にとどまらず、企画、商環境コンサルティング、デザイン監修、インテリア・家具デザインまで幅広く手掛け、革新的で総合的な建築を追求しています。・次世代型設計スタイルへの挑戦
働き手に負担の多い模型制作を廃止し、ルミオンやHMD を活用したスケール把握の導入、さらにはAI技術を活用してCG制作を省略するなど、効率化を図りながら、設計の本質に時間と労力を注ぐ次世代型の設計スタイルを進化させています。【新オフィスでの働き方】
・デザイン性と機能性を兼ね備えた執務空間
新オフィスは、ABW(Activity Based Working)を実現させる為、バーラウンジやリラックススペース、集中スペース、オープンな会議室などを設け、スタッフそれぞれが自分で状況に合わせて最適な場所を選ぶことができる環境となります。また、自由曲線のカウンターやラウンジスペースを設置することで、スタッフ同士のコミュニケーションが自然と生まれる環境を整えています。スタッフが気軽に利用できるNAP BARには、サンドイッチやミルク、コーヒーやハーブティー、ビール、ナッツやスナック、ドライフルーツなどが用意され、自由に手に取ることができます。打ち合わせスペースはシックで居心地の良いインテリアでお客様をお迎えします。【スタッフの働きやすさを大切に】
・ライフステージに寄り添うサポート
人間らしい豊かで幸福な生活は暮らしの達人であるべき設計者の基盤と考えています。そのため、残業時間を削減する効率的な働き方を実践し、有休休暇の取得率向上にも取り組んでいます。結婚や子育てを支える手当(結婚手当2万円/月、子供手当2万円/子供1人あたり)も充実しており、スタッフの半数以上が結婚手当と子供手当を受給しています。・職場を超えた楽しみも充実
オフィスのキッチンにシェフを招いた食事会、フットサルやテニス、野球などのレクリエーション活動を通じて、リフレッシュできる場も提供しています。


建築設計を軸に不動産や宿泊運営まで手掛け、“のびやかな建築”を志す「株式会社Fuu」の、建築設計と不動産兼運営のスタッフ(経験者) 募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
Fuuでは、事業拡大と新規プロジェクトに伴い、建築設計・不動産・宿泊運営に関わる幅広い職種で新たなメンバーを募集しています。
【Fuuについて】
建築を軸に、土地探しからのびやかな建築を創造する。
土地探しから不動産売却、宿泊運営までを行うチームが揃っています。持続可能なリゾートを実現するために、環境に配慮し、地域貢献を意識したプロジェクトを進行できるように力を入れております。様々なプロジェクトが控えており、事業拡大も伴い、私たちと一緒に成長し、デザインを考えてくれる新規メンバーを募集いたします。国内外のプロジェクトを楽しみながら、美意識を持って、前向きにものづくりに取り組める素敵な方との出会いを楽しみにしています。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にご一報ください。【進行中・予定プロジェクト】
・リゾートホテル(沖縄を中心として、全国で複数案件進行中)
・レジャー施設(プール、サウナなど)
・海外プロジェクト(インドネシア・フィリピンなど)



ネリ&フーが設計した、中国・上海の飲食店「ザ・インプリント / ブルーボトルコーヒー コロンビア・サークル・カフェ」です。
既存建物を転用した活気ある複合施設内での計画です。建築家は、“暮らし”の本質を再考させる存在を目指し、“家庭らしさ”を暗示する空間を志向しました。そして、家の“原型的な屋根”を“不在の形態”として表現した天井を考案しました。
こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
ザ・インプリント
ブルーボトルコーヒー コロンビア・サークル・カフェ
上海のコロンビア・サークルは、1920年代に外国人向けのカントリークラブとして始まり、1950年代には11棟の建物が加わったことで工業団地となり、そして最も最近では2016年にOMAによって改修され、現在では上海で最も成功した都市再生プロジェクトの一つと見なされる、活気ある複合用途の拠点へと生まれ変わりました。コロンビア・サークルの南側区域では、公共の文化活動スペースが重視されており、ブルーボトルコーヒーは、コミュニティ文化という自社のブランド価値を体現するカフェの設計をネリ&フーに依頼し、人々がコーヒーを通じてつながり、交流するよう招くカフェを設計しました。ネリ&フーは、都市のペースに合わせて周囲のものが常に移り変わり変化していく状況の中で、「生活する」ということの本質を見つめ直すために、暗示的な家庭らしさ、すなわち「家」の痕跡を表現することに着想を得ました。
レイチェル・ホワイトリードが自身の作品「the connection between architectural absence and memory」で主張しているように、かつて存在した建物の不在の形態は、「痕跡」の視覚的再現として用いることができ、それは人が自分の家に抱く愛着の感情を呼び起こします。ネリ&フーは、原型的な屋根の不在の形態をかたどった白い吊り構造を使用しており、それはあたかも型を使ってその場に家を鋳造したかのようで、表面には波板の屋根排水のラインの痕跡までもが刻まれています。その下には、再生粘土レンガと漆喰による連続した表面が広がり、仕上げが剥がされた家の姿が現れます。そこには、建物の接地跡のかすかな輪郭や、表面および隣接するファサードに残る痕跡までもが露わになっています。たとえその建物が物理的な世界から姿を消していても、それが私たち一人ひとり、あるいは集団の記憶の中に残した痕跡は、郷愁や記憶を呼び起こす源となります。


竹内巌 / ハル・アーキテクツの、新たなスタッフ(経験者・既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
私達のアトリエでは各計画を丁寧に検討し、各々の建築に独自の空間、時間軸を生み出す事を目指しています。
その為、形態に加えて内面的で目に見えない感覚も大切にしており、コンセプトに応じた形態や空間など、デザインをする範囲は多様です。
現在、住宅から集合住宅、商業建築、オフィス、インテリア、リノベーション等の計画に携わっており、スタッフにはそれらの計画を最初から最後迄担当する事で、建築を部分的な理解に止めず総合的に把握し活躍してもらう事としています。
設計監理の経験者に加え新卒及び若手建築士を募集します。建築計画のスタートからゴールまで、すべてを経験することができます。設計以外にも、プロジェクトのマネジメントや、さまざまな企業との仕事を通して、コミュニケーションマナーも学べます。
スタッフは自分の担当プロジェクトを持ち、設計・監理・デザインを行う中で、各個人の個性を発揮するチャンスを与えられます。
オフィス環境は大きな森を望む景観の中で、とてもアットホームで、自分の仕事に責任を持つ限り、自由に仕事をするチャンスを与えられます。世界中の建築家の本がたくさんあり、知識を増やすために自由に使うこともできますので、前向きな姿勢と元気のあるチームを作りたいと考えています。
(スタッフ:アンタラ・バス・パンデー記)代表:竹内 巌
一級建築士。1960年・東京都生まれ。’83年・法政大学工学部建築学科卒業。’90年・リチャード・ロジャース・パートナーシップジャパン入所。’91年・アーキテクト・ファイブ入所。2000年・城戸崎建築研究室勤務を経て、ハル・アーキテクツ設立。




OMA / クリス・ヴァン・ドゥインによる、中国の「JOMOO本社」です。
高層ビル群と森林に覆われた丘陵に挟まれた敷地での計画です。建築家は、“二重性”のある環境の受容を意図し、基壇とタワーを融合させた“連続的で彫刻的な形態”の建築を考案しました。また、国の都市拡張を担ってきたタワーの類型の再解釈も意図されました。
こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
OMAが設計したアモイのJOMOO本社が完成
2025年7月8日、アモイ — OMAは、中国最大の衛生設備メーカーであるJOMOOの初のオフィスキャンパスであるアモイのJOMOO本社を完成させました。市の中心業務地区の端に位置するこの新本社は、すでに使用が開始されており、JOMOOがグローバルブランドへと変革を遂げる上での重要な節目となっています。
この建物は、対照的な二つの環境の交差点に位置しています。一方には都市の高層ビルが密集し、もう一方には森林に覆われた丘陵があります。このデザインは、基壇とタワーを融合させた連続的で彫刻的な形態によって、この二重性を受け入れ、従来のオフィスのタイポロジーを再解釈しています。
OMAのパートナーであるクリス・ヴァン・ドゥイン(Chris van Duijn)「JOMOOの新本社の完成は、私たちの事務所が過去10年間に中国で設計してきた一連の高層プロジェクトの第一弾です。杭州、アモイ、深センといった急速に成長する都市に位置するこれらのプロジェクトは、周囲の都市環境との新たな関係性を探求し、中国の近年の都市拡張を形作ってきた主流のタワータイポロジーを再解釈しています」
白いセラミックのストライプで構成されたファサードと、公共機能と企業機能を統合したプログラムを持つJOMOO本社は、職人技とハイテク生産の両方を反映しており、それらはいずれも同社の使命の一部であり、アモイの過去と現在の文化の特徴でもあります。




保坂猛が設計した、東京・港区のオフィス「ECD 地球中心デザイン研究所 超環境配慮型内装工事」です。
環境配慮の徹底も意図した計画です。建築家は、企業コンセプト“地球中心”の体現を求め、“古代からの地図”を印刷した15台のテーブルを中心とする空間を考案しました。また、既存部材の数量調査を行って“ほぼ全ての再利用/再生”も実現しました。
TBWA HAKUHODOが設立した新会社「ECD(地球中心デザイン研究所)」のオフィス内装計画。
設計から竣工まで環境配慮を徹底し、既存オフィスの建材や家具の再利用、再利用できないものは「産業廃棄物マニフェスト」を徹底管理し再利用100%を達成、超環境配慮型内装工事を行った。
この条件下で「地球中心」をコンセプトに地球のことを考えるための空間デザインを行った。
ECDの会社コンセプト「地球中心」を元に「地球について考えるための空間と時間をもつオフィス」を計画。
古代からの地図をガラスに印刷して製作した15台のガラステーブル「THE EARTH TABLE」が並ぶ「地球の間」は、ガラス天板の地図が床面に写像として浮かび上がる。
自然光の変化により写像の濃さが変化する地球を感じる空間である。夕方になると45mの水平窓辺空間が青く点灯する「ブルーカウンター」は、宇宙空間から見た地球のサーフェイス(アースリム)を彷彿とさせ、毎日の決まった時刻に地球について考える時間を与えてくれることを願い計画した。
大人数のイベントに対応する「シロクマホール」にはTHE EARTH TABLE製作時の端材を用いて廃材再生士により製作されたシロクマが佇んでいる。
環境負荷を最小限とすべく、施主・設計・施工が三位一体で「解体時の廃棄物やCO2排出量をできる限り減らす、超環境配慮型の内装工事」に挑戦した。
まず、既存を全て拾い上げ「発生材数量調書」を作成(ガラス、自動ドアや引戸、タイルカーペット、ライダク、家具、家電など全て)、
この中で
[再利用1]:新オフィスで可能な限り再利用
[再利用2]:新オフィスで再利用できないものは、他の場所で再利用
[リサイクル]:再利用できないものは、資源としてリサイクル「産業廃棄物マニフェスト」を徹底管理
により、建材ほぼ100%、家具・設備100%再生/再利用することに成功した。




佐藤充 / SATO+ARCHITECTSが設計した、宮城・仙台市の「中山の家」です。
林縁の雛壇状に造成された敷地での計画です。建築家は、擁壁を“副産物”ではなく“生活に寄り添う‘壁面’”と捉え、建築との“親密な関係”の構築を志向しました。そして、擁壁を跨ぐように建築を配置して其々に暮らしに寄与する様々な役割を与えました。
敷地は、1960年代に山を切り開き宅地造成された住宅地と山林のエッジにある。
もともと山林の一部だった斜面地を数年前に切土と3枚の擁壁によって雛壇状に造成された敷地であり、接道レベルに駐車場、擁壁上の平地に建築を配置するという定型化された建ち方が真っ先に想像される。
それは、私たちが無意識のうちに土木と建築を一切関係しあうことなく切り離して風景を捉えているからに他ならない。
「南光台東の家」を設計した際に、擁壁の崩壊メカニズムとその上に建つことの危うさについて把握していたことから、80坪という比較的ゆとりのある敷地に対し、安全に計画可能な敷地面積は、ごく僅かであることが見て取れた。
そこで、擁壁を宅地造成による「副産物」としてではなく、生活に寄り添う「壁面」と捉え、擁壁と建築が親密な関係を構築することで都市の風景、そこでの体験を豊かなものに変えることができないだろうか、と考えた。
2段目の平地を構成する擁壁の底盤を避けてヴォリュームを配置し、道路レベルの平地から立ち上げたヴォリュームと擁壁を跨ぐように上部で接続させた。上下2つの基礎と既存擁壁を刺し筋で接合し、せん断力の伝達を担保することで一体性を確保し、さらに3つの地面のレベルに合わせて3枚のスラブを配置し、全ての生活空間に雛壇状の地形との関係性を持たせている。
擁壁が成す微かな角度を手掛かりに、前面道路から1枚目の擁壁は、内外に貫入し、空間の流れを生むとともに、建主の趣味の観葉植物やサーフボードのメンテナンススペースとなり、2枚目の擁壁は、物干しスペースや家事の合間の気分転換を図るユーティリティーテラスを構成し、さらにレフ板として太陽光を北側から回折させ住まいの奥まで陽光を導く。



トラフ建築設計事務所が設計した、福岡市の店舗「Hirotaka 福岡店」です。
大型複合施設の商業フロアにあるジュエリー店です。建築家は、“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとし、“柔らかさ”や“艶やかさ”を基準に素材・色彩・形態を決定しました。そして、“懐かしさ”と“新しさ”が全体に広がる空間を作り上げました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
福岡・天神の新たなランドマーク「ONE FUKUOKA BLDG.」にオープンした、ジュエリーブランド「Hirotaka」の九州初となる直営店であり、国内10店舗目となる店舗の内装計画。
約40㎡の正方形に近い区画に、“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとした空間を構築した。
素材や色彩の選定には、柔らかな光沢をもつ真鍮、染色を施した木部、艶のあるアイボリートーンの塗装などを用い、什器のフォルムには丸みを与えることで、どこかレトロフューチャーな印象を漂わせている。
中央には、複数のボリュームを積層させた彫刻的な什器を配置。正面には、オランダのデザイナー、ディルク・ファン・デル・コーイによる再生プラスチック製の照明「The Fresnel」を設置し、柔らかな光が空間全体に広がるよう計画した。
背面には、民族的な盾を想起させるヴィンテージのオブジェを据え、静けさと象徴性を備えたアクセントとしている。鏡面仕上げの真鍮や木、光を受けて際立つ縁取りが重なり合い、まるで“現代のトーテム”のような佇まいを見せる。
床には吸音性のある圧縮フェルト調のカーペットを敷き、共用部の硬質な石貼りから一歩足を踏み入れた瞬間、空気の質がふわりと変わるような感覚を生み出す。
天井近くまで立ち上がるミラーや、壁の出隅に仕込まれた間接照明が空間の輪郭をやわらかく浮かび上がらせる。どこか懐かしく、同時に新しさを感じさせる空気が、空間全体に静かに広がっている。




ネリ&フーによる、上海の店舗「インサイド / アウトサイド ジスファン&ウーヴン・ムーンライト」です。
系列の2つのブランドの店舗を隣接して計画しました。建築家は、“人間の根源的な空間”を探求し、より“原始的な存在の状態への回帰”を呼び起こす空間を志向しました。そして、製品と呼応する“木造の小屋”と商品を輝かせる“洞窟の住居”を考案しました。
こちらは建築家によるテキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
インサイド / アウトサイド
ジスファン&ウーヴン・ムーンライト
上海で初の旗艦店をデザインしてから4年、ネリ&フーは再びジスファンと協力し、盤龍天地開発(Panlong Tiandi development)内にある2つの店舗のデュオを創り上げました。隣接する2つの空間は、ひとつはジスファン・ブティックのため、もうひとつは姉妹ブランドのウーヴン・ムーンライトのためのもので、それぞれが独自性を持ちながらも、互いに対話をしています。ジスファン・ブティックは内部に木造の家を含み、ウーヴン・ムーンライトはコンクリートの住居であり、それぞれが異なるブランド・アイデンティティと多様な空間的要件に合わせて作られています。
ジスファン・ブティックのデザインコンセプトは、すべての建築の基本的な原型とされるロジエの「原初の小屋(Primitive Hut)」に着想を得ています。装飾や様式を取り払った原初の小屋は、人間と自然界との関係を築き、シェルターの役割と自然とのつながりの両方を提供します。これは、リネン素材を日常生活と自然の文字通りの「糸」として捉えるというブランドの精神と一致しています。挿入された木造の構造体は、住まい、居住するための精神的な空間を形成すると同時に、製品を展示するための非常に機能的な要素でもあります。ホワイトオークは自然の木目と色をそのまま残し、床には手作りのセラミックタイルを組み合わせています。これらの温かみのある素材が、リネン製品の質感と調和しています。上部の傾斜屋根は空間の高さを最大限に活用し、人々がこの広々とした聖域を楽しめるようにしています。一方で、ファサードから差し込む柔らかな光と切り取られた眺めが、外のにぎやかな商業通りとの穏やかなつながりを生み出しています。

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2025/6/30-7/6)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- 安藤忠雄とアントニー・ゴームリーによる、韓国の「グラウンド」。美術館の庭園地下に埋設されたアートスペース。美術館体験の拡張を求め、7体の彫刻を内包した“パンテオンも想起させる”ドーム状の空間を考案。彫刻・建築・自然と鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつける
- 藤本壮介による、森美術館での展覧会の会場写真。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開
- ファラによる、ポルトガル・ポルトの住戸改修「oasis under a building」。“穴の空いた靴下”のような“反転したガラスの家”。ひとつとも複数ともいえる空間で構成。天井は“明るい空”のように機能させる
- 青木淳+品川雅俊 / AS、小堀哲夫、仙田満 / 環境デザイン研究所、日建設計が参加する、滋賀の「守山市民ホール大規模改修」プロポの公開プレゼンが開催
- 山路哲生建築設計事務所による、東京・世田谷区の「代田の家」。住宅街の“当たり前の再編集”も意識した計画。奥行の深い土地で“広がり”を獲得する為、短辺方向の壁面の代わりに“ブレース”を吹抜などに配する建築を考案。時代と呼応する“斜めの大黒柱”としても位置づける
- ピタゴラスイッチ等の創作で知られる、佐藤雅彦の展覧会の入場チケットをプレゼント。横浜美術館で開催。多様な作品の創作プロセスを紹介し、その独創的な“作り方”を紐解く内容。ピタゴラ装置の実物も展示
- ネリ&フーによる、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」。既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設。全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案。元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出す
- 藤本壮介建築設計事務所による、沖縄・石垣島のヴィラ「NOT A HOTEL ISHIGAKI『EARTH』」が開業。約3000坪の敷地にたった一棟のみ建てられた建築。“円形のフォルム”と緑化された“すり鉢状の屋根”が特徴。プール・サウナ・ジムなどの機能も内包
- ネリ&フーによる、台北市の集合住宅「ザ・ラティス」。新旧の建物が混在する地域。“時代を超えた美学”の体現を求め、同国の格子を再解釈した“カテナリー曲線のスクリーン”をRCグリッドの中に配する建築を考案。対照的な素材を調和させ繊細なバランスを実現する
- 大阪・関西万博の、若手建築家が設計を手掛ける全20施設のパース画像とコンセプト(前編)。前編では、休憩所・ギャラリー・展示施設・ポップアップステージの10施設を紹介
- 佐藤尚巳建築研究所による、群馬・高崎市の「ハルナイノベーションセンター」。山裾にある商品開発の拠点施設。近隣の山並みから着想した切妻屋根を持ち、高窓から日光が入り“どこにいても自然が感じられる”建築を考案。雁行した平面は内部空間に“流れ・溜まり・適切な分節”をもたらす
- リナ・ゴットメによる、大阪・関西万博の「バーレーンパビリオン」。“海をつなぐ”をテーマに計画。同国と海の繋がりを伝える施設として、“伝統的な船の製造技術”の参照に加えて“日本の木組の技術”も融合させる建築を考案。持続可能性を考慮して殆どの材料を再利用可能とする
- 阿曽芙実建築設計事務所による、兵庫・淡路市の「dots n / 農園付き住居」。農業希望者に体験機会を提供する為に市の施設として計画。新しさと懐かしさのある“ここだけの風景”を主題とし、田の字型平面で寄棟と換気塔を特徴とする建築を考案。屋根や壁などに地域の“土の素材”も用いる
- MADによる、オランダ・ロッテルダムの美術館「フェニックス」。歴史的な倉庫を転用した施設。“移民”に関する美術館として、困難な物語と同時に未来への希望も伝える存在を志向。“旅”を象徴する約500mの“反射仕上げの螺旋階段”を中央に据える建築を考案
- 相坂研介設計アトリエによる、埼玉の「本庄の医院・住宅」。医院の改築と院長の居住部分を独立させ新築する計画。医院は、元の造形を活かした“塗分け”を行うと共に機能や動線の改善を実施。住宅は、将来のデイサービスへの転用も考慮した“木架構”が特徴の建築とする
- フォスター+パートナーズによる、大阪・関西万博の「サウジアラビアパビリオン」。国の魅力を伝える場として、町や都市を探訪する体験を想起させる存在を志向。迷路の様な曲がりくねる路地を探索する空間構成を考案。ローカルアーキテクトとして梓設計も参画
- 蘆田暢人と川上聡による、大阪市の「長源寺の庫裡」。親と子の二世帯が暮らす住まい。法規や住替えの与件に対し、庭を囲む様に平屋の親世帯と三階建の子世帯を配置する構成を考案。。自由な内部空間を実現する“リブフレーム”構造は世帯間の視線交錯の回避にも寄与
- 藤本壮介による、森美術館での展覧会の入場チケットをプレゼント。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開
- ザハ・ハディド・アーキテクツによる、アラブ首長国連邦の「ハリド・ビン・スルタン・シティ」。砂漠に隣接する敷地に都市を造る計画。砂丘の流動的な形状からも着想を得て、“線形のオアシス”を中心として7つの半円形の住宅街を配置する構成を考案。各施設の配置や日陰の創出などで歩行移動を主にする
- 竹中工務店による、VS.での「たてものめがね まちめがね展」。建築や街への人々の関心の向上も意図した展覧会。面白さの“理解しやすい形での発信”を目指し、“縮尺:スケール”を切口とする計画を考案。“一間ブロック”で日常を切り取った“等身大になる部屋”などを作る
ピーター・ズントーとSOMの設計で竣工した、ロサンゼルス・カウンティ美術館の新本館の動画です。2025年6月に公開されたもの。正式なオープンは2026年を予定しているようです。
磯崎新が設計した「旧大分県立大分図書館 / アートプラザ」(1966年竣工) の現在の様子を紹介する動画です。大分市の制作で2025年7月に公開されたもの。