
隈研吾に、万博のパビリオン建築について聞いているインタビューが、大阪・関西万博の公式サイトに掲載されています。建築への不要論や炎上し易さにも言及されています。

隈研吾に、万博のパビリオン建築について聞いているインタビューが、大阪・関西万博の公式サイトに掲載されています。建築への不要論や炎上し易さにも言及されています。




トラフ建築設計事務所が設計した、東京・渋谷区の店舗「Whisky Bank Shibuya」です。
センター街に位置するウィスキー販売店です
。建築家は、棚を空間全体を包み込むように配置し、琥珀色の瓶のライトアップで通行人の視線を引寄せる計画を考案しました。また、時を経た鉱物を用いたテーブルは熟成された商品との親和性も考慮されました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
ジャパニーズウィスキーを中心に世界中の厳選されたボトルを取り揃える、高級ウィスキー販売店 「Whisky Bank」の関東初となる路面店の内装計画。渋谷のセンター街という若者の文化の発信地に位置し、間口2.7m・奥行6.5mという限られた空間が設計対象となった。
喧騒に包まれる周囲の環境、そして建物上階の存在感から一歩引くように、ファサードには柔らかく描かれた大きな円弧を採用。既存の黒い外装との対比により、落ち着いた佇まいを生み出している。
ライトアップされた透き通る琥珀色のボトルが、通りを行き交う人々の視線を引き寄せる。商品棚はシルバーの構造体で構成され、天井まで伸びて空間全体を包み込むように配置。その構造体と既存躯体の間には意図的に隙間を設け、浮遊感を演出している。
中央には、試飲用テーブルとして天然石の塊を据えた。このオニックスの一種である石材は、数千年の時を経た鉱物であり、長い時間をかけて熟成されるウィスキーと親和性を物語る。周囲のメタリックな色調の什器との対比により、空間の重心として存在感を放つ。
壁一面に並ぶウィスキーボトルは、棚の上下および前後から光を当てることで、ラベルだけでなくウィスキー本来の琥珀色が引き立つように設計。背景のベージュとの組み合わせにより、光と色の奥行きが生まれている。
足元には茶色のフェルト状カーペットを敷き、硬質な路面から足を一歩踏み入れた瞬間に、来訪者に柔らかな安心感をもたらす。



和順陽と和順菜々子が設計した、東京・世田谷区の住戸改修「光を纏う部屋」です。
設計者とテキスタイルデザイナーの夫婦の自邸です。建築家とデザイナーは、明るいが型ガラスで景観が享受できない与件に対し、カーテンで光を拡散して“様々な要素を抽象化する”計画を考案しました。その結果として、浮遊感が生まれ柔らかい雰囲気で空間が満たされます。
東京都世田谷区に位置する築45年・専有面積約53㎡の中古マンション住戸のリノベーションで、建築設計者とテキスタイルデザイナーの夫婦が住まう自邸の計画である。
3面採光かつ最上階の明るい部屋だった。
しかし、ほとんどの窓には近隣の視線を遮断する型板ガラスが使われており、景観の享受は期待できなかった。
そこで考えたのが、乳半アクリルのように光を拡散するカーテンで外周部をぐるりと覆うことを発端とした、空間の要素を「ぼかす」というアイデアだ。
市販のナイロン生地で製作した白いカーテンは半透明で背後のものは見えないが、光をやわらかく透過しぼかして拡散する。
梁型の出っぱり、古びたアルミサッシ、ポツ窓のレイアウト、中古マンションの冴えない部屋たらしめる要素はすべてカーテンで隠した。カーテンを梁の手前に設け窓との距離を離すことで、外光が拡散されぼんやりとした光が生まれた。この操作により内外の関係や建築的な要素がぼかされ、曖昧で抽象的なインテリアとなった。
築45年の住戸の有り様に向き合い、自邸として心地よく過ごせる空間を求めて辿り着いたこれらの工夫は、環境的な要素 / 建築的な要素 / 生活感のある要素を抽象化する行為である。
さらには、外周部に設けたぼんやりと光るカーテンにより部屋の境界は曖昧になり、空間の奥行きが消失し、浮遊感が生まれ、やわらかくあたたかい空気に包まれているような雰囲気で空間が満たされた。
この空間に身を置くと、主役は建築ではなくその場に漂う心地よい空気感、すなわちアトモスフィアであることを実感できるであろう。


約50年にわたり文化財修理等を手掛け、労働環境の向上にも取り組む「株式会社 文化財保存計画協会」の、建築設計と土木造園設計のスタッフ(経験者・既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
【会社紹介】
当協会では、国指定文化財をはじめとした地域の大切な文化財を未来に繋ぐために、私たちと協働していただけるスタッフを募集いたします。歴史的建造物や遺跡に関わる仕事は、一般的な新築設計に比べその保存や活用に制約があり知識や柔軟性が求められますが、過去から未来に繋がる文化財に関わることができる大変魅力的な仕事でもあります。
当協会は文化財の保存と活用のトップランナーとして、地域の文化的環境の向上のために実績を重ねて参りました。近年は、文化財が持つ価値を活かした残し方・使われ方がより注目され、その手法も多様化しています。次の100年に繋がる文化財のあり方を共に考えていくメンバーをお待ちしております。入社後は、企画・設計業務から監理までプロジェクトの一連の流れを担当いただきます。いくつかのプロジェクトを経験後、ご自身が主体となって実施できるようサポートしていきます。
指定文化財は自治体所有が多く、また補助事業など公共工事に準ずる作業が求められる案件が多いことから、公共工事の設計積算監理に携わった経験があると業務に入りやすいですが、その経験なく当社に入社、活躍頂いている社員も多くいます。
文化財特有の補助事業の仕組みから書類作成まで丁寧に指導いたします。
当社は昭和54年創業以来、約50年にわたって多くの建造物や史跡、名勝など文化財修理等に関わっており、在籍25年を超える社員も多く在籍しています。
また全社員における女性社員の在籍率も約4割と高く、結婚や出産などライフステージが変化しても、働き続けられる環境・制度づくりによって産休育休取得はもちろん、時短勤務も可能で柔軟な働き方を実現しています。
事情があって退職後、また復帰される社員がいることも当社の働きやすさをあわらしているかと思います。




永山祐子建築設計による、大阪・関西万博の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」です。
女性をテーマとしジェンダー平等を目指す施設です。建築家は、自身設計のドバイ万博日本館のファサードのリユースも試み、解体・運搬・保管・再構築に関わる様々な問題を乗り越えて実現しました。また、次のリユース先も決定済で設計も既に開始しています。施設の公式ページはこちら。
Women’s Pavilion in collaboration with Cartierは女性をテーマとしジェンダー平等を目指すパビリオンである。
日本で男女雇用機会均等法が制定されたのは1985年。私がドバイ万博日本館の公募に参加した2018年のタイミングで、サウジアラビアでは女性の自動車運転がはじめて認められたことに驚き、中東での女性活躍の現状がどうなっているのかに深く興味があった。日本館の提案書の中で、女性を含めオールジェンダー、オールジェネレーションが語らう場となることを提案した。
今回のパビリオンには、2020年のドバイ万博から2025年大阪・関西万博につなげる試みとして2つの要素がある。
1つ目は、ドバイ万博から始まった女性の社会貢献に光をあてた館の継承だ。
ドバイ万博で創設された「ウーマンズ パビリオン」の名前と強い意志を引き継ぎ、大阪・関西万博では、Cartier、内閣府、経済産業省、2025年日本国際博覧会協会によって共同出展されている。2つ目は、ドバイ万博日本館のファサードのリユースである。連続した2つの万博で同じ部材が転用されるのは万博史上初の試みといわれている。ドバイ万博日本館のリユースはもちろん万博予算には入っておらず、万博の資材が国から民間を渡っていくのは非常に難しい。
リユースを見越した解体、そして運搬保管の協力者を自力で探すところから始まった。大林組が国の資産である資材を競り落とし、丁寧な解体を担い、ドバイから大阪までの運搬保管は山九が協力してくれた。
そしてカルティエがその資材を使って大阪・関西万博でウーマンズ パビリオンを作ることに共感してくれたことで今回のリユースが実現した。
1970年の大阪万博から使われているこの構造システムは、長年の間に確立されていて、リユースが可能な技術だ。だが、リユースに際して、ボールジョイントのパズルは、想定していた以上に困難だった。まずはドバイ万博の終了とともに丁寧に解体し、40ftコンテナ1個半に収めて、大阪の倉庫に運んだ。チューブ約 6,000本、ノード(結節点)約2,000個の製品確認を行い、大林組のビジュアル工程管理システム「プロミエ」を使うことによって明快にどの部位にどのパーツが使われているかを把握した。
全く違う敷地の形に、建物の適材適所に前万博のパーツを移植した。部材の移植では、エンジニアリングのArupが専用ソフトを作成し、新規部材を作らないというルールのもと、既存の部材を緻密に組み替えていくことで全体を再構成していった。
構造解析を行なって、構造的に成立していることを確認しながら細かい移植を計画。この作業には約3ヶ月を要した。
困難は続いたが、リユースというストーリーを超えて新しい表現を得られたことを実感している。この建築の部材はすでに次なるリユースも決まっていて、その設計を進めている。

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2025/5/5-5/11)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。



青木淳がキュレーターを務める、第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の展示「中立点」の会場写真です。
生成AIと人間の関係をテーマに実施されました。キュラトリアルアドバイザーとして家村珠代、出展作家として藤倉麻子・大村高広・木内俊克・砂山太一が参加しています。日本館の公式サイトはこちら。
キュレーターを務める青木淳によるステートメント
幾何級数的なデジタル技術の進化のなか、ごく近い将来、生成AIが私たちの社会、環境、あるいは私たちの内面をも、まったく異なる様相に変えてしまうのではないかという不安が、現在、全世界を覆っています。とくに日本は、SNSなどデジタル技術の普及のなかで、ポリティカルにコレクトで、ただミスや欠点がない、最大公約数的で凡庸な社会に向かって突き進んでいるように思われます。
たしかに生成AIから返ってくるのは、既存データの総合から導き出されたもっとも間違えの少ない回答で、私たちはついついそれを「正解」と捉えがちです。しかし、その先に待っているのは、人間が生成AIに従う、生成AIが人間に代わって主体となる社会でしょう。しかし、日本には、「間」という観念の歴史があります。「間」とは、古来、日常的な意味での「あいだ」である以上に、2つの事物の応答(対話)が孕むテンションであり、そのテンションのふるまいがひとつの虚なる主体として潜在するという観念でした。この伝統に倣うなら、主体を人間に置くのでも、生成AIに置くのでもなく、そのあいだの虚なる「中立点」つまり「対話」に主体を措定することに賭けてみる価値があると考えられますし、ここで提案するのもまさにその試みの実践です。人間も間違えるし、生成AIも間違える。その間違えと間違えとのやりとりのなかから、それらどちらにも属さない創造的な「つくること」が生まれるのではないか。まだ生成AIが揺籃期にあるうちに、生成AIとの生産的な付き合い方を確立し、それを今後の生成AIの進化の方向付けに役立てられないか、というのが狙いです。
今回は、「日本館」そのものをその試みの対象とします。生成AIを「日本館」を構成する複数の部位に憑依させ、それら生成AIとのギクシャクした対話のなかから、「日本館」をフィクショナルに、またアクチュアルに「改装」することを通して、人間と生成AIの「中立点」という主体を浮かび上がらせようとするものです。
青木淳がキュレーターを務める、第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の展示「中立点」の動画です。
キュラトリアルアドバイザーとして家村珠代、出展作家として藤倉麻子・大村高広・木内俊克・砂山太一が参加しています。日本館の公式サイトはこちら。
キュレーターを務める青木淳によるステートメント
幾何級数的なデジタル技術の進化のなか、ごく近い将来、生成AIが私たちの社会、環境、あるいは私たちの内面をも、まったく異なる様相に変えてしまうのではないかという不安が、現在、全世界を覆っています。とくに日本は、SNSなどデジタル技術の普及のなかで、ポリティカルにコレクトで、ただミスや欠点がない、最大公約数的で凡庸な社会に向かって突き進んでいるように思われます。
たしかに生成AIから返ってくるのは、既存データの総合から導き出されたもっとも間違えの少ない回答で、私たちはついついそれを「正解」と捉えがちです。しかし、その先に待っているのは、人間が生成AIに従う、生成AIが人間に代わって主体となる社会でしょう。しかし、日本には、「間」という観念の歴史があります。「間」とは、古来、日常的な意味での「あいだ」である以上に、2つの事物の応答(対話)が孕むテンションであり、そのテンションのふるまいがひとつの虚なる主体として潜在するという観念でした。この伝統に倣うなら、主体を人間に置くのでも、生成AIに置くのでもなく、そのあいだの虚なる「中立点」つまり「対話」に主体を措定することに賭けてみる価値があると考えられますし、ここで提案するのもまさにその試みの実践です。人間も間違えるし、生成AIも間違える。その間違えと間違えとのやりとりのなかから、それらどちらにも属さない創造的な「つくること」が生まれるのではないか。まだ生成AIが揺籃期にあるうちに、生成AIとの生産的な付き合い方を確立し、それを今後の生成AIの進化の方向付けに役立てられないか、というのが狙いです。
今回は、「日本館」そのものをその試みの対象とします。生成AIを「日本館」を構成する複数の部位に憑依させ、それら生成AIとのギクシャクした対話のなかから、「日本館」をフィクショナルに、またアクチュアルに「改装」することを通して、人間と生成AIの「中立点」という主体を浮かび上がらせようとするものです。

建築家・北川原温の展覧会「北川原温 時間と空間の星座」の入場チケットを抽選でプレゼントいたします。
同氏設計の中村キース・ヘリング美術館などで開催されます。創作の源を“星”、建築を“星座”に見立て、模型や資料を通じて方法論や生成の過程に迫る内容です。会期は、2025年6月7日~2026年5月17日まで。展覧会の公式ページはこちら。
入場チケットプレゼント企画の応募締切は、2025年5月30日(金)13時まで(お申込みにはGoogleアカウントが必要になります)。こちらのフォームからご応募ください。厳正な抽選を行い当選された方にはメールにてご連絡いたします(メール送付を当選発表にかえさせていただきます)。
「北川原温 時間と空間の星座」は、中村キース・ヘリング美術館を設計した建築家・北川原温(1951-)の美術館における初個展です。
北川原氏は、渋谷の映画館《ライズ》(1986)で都市の虚構性を建築に表現し、その後も独創的な建築を生み出し続け注目を集めてきました。
本展では北川原氏の創作のソースを「星」、建築を「星座」に見立て、その方法論や生成の過程を探ります。《中村キース・ヘリング美術館》を構成する6つの要素「さかしまの円錐」「闇」「ジャイアントフレーム」「自然」「希望」「衝突する壁」を軸に、模型や資料を通じて建築のプロセスを紹介。
さらに、隣接するホテルキーフォレスト北杜では五感を通じた体験型の展示、JR小淵沢駅では八ヶ岳山麓のプロジェクトと地域の魅力を紹介します。
本展を通じて、《中村キース・ヘリング美術館》をはじめとした北川原建築を歩むことにより北川原氏の「宇宙」に迫る体験を提供します。
以下に、詳細な情報を掲載します。




黒崎敏 / APOLLO Architects & Associatesとニコラ・ガリッツィアが設計した、東京・港区の住戸「MORANDI」です。
家具ブランドとの協働で計画されました。建築家は、代表製品であるシステム収納を“建築の核”とし、各部屋を繋げた壁面に“シームレスに収納を連続”させる構成を考案しました。また、シークエンスの創出や公私の分割も収納のデザインや配置で行われました。
抑制された美意識を象徴するイタリア家具ブランドのモルテーニ。
その高いクラフトマンシップとミニマムなデザインはAPOLLOとも共通点が多く、黒崎とモルテーニのアーキテクト&プロダクトデザイナー、ニコラガリッツィアが協働して空間をつくる計画がスタートした。場所は港区赤坂のタワー型分譲住宅、185㎡の高層階の一室。モルテーニの特徴と言えばクロゼットに代表されるシステム収納。今回はモルテーニの細胞とも言えるシステム収納を「建築の核」つまり空間の「構造(ストラクチャー)」として表現した。
ウェルカム空間を兼ねたファミリールームにはリビングからダイニング、キッチンまでシームレスなシステム収納の連続が見られ、独特の舞台性を生み出している。
ナチュラル色のサンライズオークの収納扉材とダークオークの天井材のコンビネーションで空間にはキレの良いコントラストを創出。またアートや照明には真鍮色でアクセントを加え、水回りの床や壁に使用したシルバートラバーチンやチェッポストーン柄のセラミックタイルによりイタリアンラグジュアリーの空間を表現した。
収納に沿って歩くことで生まれるシークエンス。収納そのもので空間を切り結んだり、パブリックからプライベートまで、空間の全てを収納が支配するストーリー。
その構成は、建具で空間を柔らかく切り結ぶ日本文化にもどこか類似しており、日伊のライフスタイルの共通性が見事に立ち現れているといえよう。



黒川紀章の“中銀カプセルタワー”をテーマとした展覧会が、ニューヨーク近代美術館で開催されます。
タイトルは「中銀カプセルタワーの多様な人生(The Many Lives of the Nakagin Capsule Tower)」です。建築に加えて50年間に渡る様々な使われ方にも焦点を当てる内容となります。
会期は、2025年7月10日~2026年7月12日です。本記事では、展示に関連する写真や資料の画像も掲載します。
こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
ニューヨーク近代美術館は、2025年7月10日に中銀カプセルタワーの50年の歴史に焦点を当てた展覧会を開催します。
「中銀カプセルタワーの多様な人生(The Many Lives of the Nakagin Capsule Tower)」展では、ニューヨーク近代美術館のコレクションから完全に修復されたカプセルが展示されます。
ニューヨーク近代美術館は、1972年から2022年まで東京・銀座に存在した、日本の建築家・黒川紀章(1934年~2007年)による画期的なプロジェクト、中銀カプセルタワーの50年間の存続期間に焦点を当てた展覧会を開催します。「中銀カプセルタワーの多様な人生」展は、2025年7月10日から2026年7月12日までニューヨーク近代美術館のストリートレベルギャラリーで開催され、カプセルA1305とともに、建物の変化し続ける、予想外の用途を示す約45点の関連資料が展示されます。これらの資料には、1970~72年に作られた本プロジェクト唯一の現存模型、オリジナルの図面や写真、販促用の印刷物、アーカイブ映像や音声記録、元居住者へのインタビュー、そして建物全体のインタラクティブなバーチャルツアーが含まれます。通勤するビジネスマン向けのマイクロ住居として宣伝されたこの建物は、相互に接続された2つのコンクリートと鉄骨のタワーから成り、各ユニットにはプレハブ式の設備とソニー製のカラーテレビが完備された、1人用の「カプセル」が140個設置されていました。かつて建物の最上階に設置されていたカプセルA1305は、他の保存されたカプセルから回収された可能な限り多くのオリジナル部品によって完全に修復されており、オプションとして提供されていた音響機器一式も含まれています。このカプセルは、2022年に建物が解体された後、オリジナルの状態に修復されたわずか14個のうちの1つであり、2023年にニューヨーク近代美術館によって収蔵されました。ニューヨーク近代美術館の会員は、特別なアクティベーションイベントの際にカプセル内部に入る機会を得ることができます。「中銀カプセルタワーの多様な人生」展は、建築・デザイン部門のアシスタント・キュレーターであるエヴァンゲロス・コツィオリス(Evangelos Kotsioris)と、キュレーター・アソシエイトのパウラ・ヴィラプラナ・デ・ミゲル(Paula Vilaplana de Miguel)によって企画されました。

パナソニックが運営する、東京・新橋のライブオフィス“BRIDGEHEAD Shimbashi”を会場に「『現し』を考える。展 ver.2.0」が開催されます。
スキーマ建築計画出身の西原将が企画監修を手掛ける、“現し”をテーマとした展示会です。現し天井のレギュレーションをデザイン・設備・法規などの視点でまとめた、“現し天井標準化マニュアル”も公開されます。初日にはトークイベントも実施されます。開催日は、2025年5月26日(月)~31日(土)。参加費無料です。また、2025年5月26日(月)に行われるトークイベントには、西原将とTANKの柴田祐希と中尾文哉が登壇します(要事前申込 / 締切:2025年5月23日17時)。トークイベントへの参加申込はこちらのページから。【ap・ad】
2024年12月に開催しましたver.1.0の際に未完成だった部分を完成させ、現し天井のレギュレーションをデザイン、設備、法規などの視点でまとめたものと、「現し」をテーマにパナソニックの既製品をHACKした作品による展示です。
一概に現し天井といっても、配線の処理や、照明器具の取り付け方法、エアコンや換気設備の設置方法、配置計画、法規など、天井がある場合に考える必要がなかったことまで考える必要性が出てきます。
そこで、パナソニックの電気、照明、空調換気の専門家のチームと、シンプルで美しく、快適な「現し」空間をどのように作っていくかということを考えてきました。
「現し」のデザイン
「現し」の環境
「現し」の法規と、3つのテーマで「現し」についてまとめ、さらに「現し」のHACKというテーマを追加しています。
2025年3月にスピンオフ企画としてパナソニックの電材をHACKして作品を制作し、展示するという企画を行い、そのなかで、もの(既製品)から何ができるか考えることが重要だと思いました。
既製品の体系の中で何ができるかを考えることは、既製品そのものの潜在的な魅力を引き出し、新たなものにつながる回路を見出すことになります。その思考は、既製品の組み合わせで現し天井の標準化を作るという中でも重要ではないかと考え、今回も現しに関係する電材を用いてHACKした作品を制作展示しています。
構成的に考え、即物的にも考えることで、「現し」を多角的に知るきっかけになればと思っています。
スタジオパルマコン 西原将
以下に、展示会と関連イベントの詳細を掲載します。




アプロポス・アーキテクツ(Apropos Architects)による、大阪・関西万博の「チェコパビリオン」です。
“人生のための才能と創造性”をテーマとした施設の計画です。建築家は、身体と心の動きの接続を意図し、芸術作品が展示された“260mの螺旋状通路”を備えた建築を考案しました。また、ファサードのガラスは伝統の伝達と共に動的な視覚体験も創出します。施設の公式ページはこちら。
こちらは建築家によるテキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
展示物としての木とガラスで作られたパヴィリオン
2025年大阪万博におけるチェコ共和国のナショナルパヴィリオンの建築は、「生命のエネルギー」と「絶え間ない発展」という理念を反映しています。このデザインを手がけたのは、螺旋のモチーフを用いた設計を行うアプロポス・アーキテクツスタジオです。来場者は、建物の周囲を取り巻く全長260メートルの通路を通って進み、徐々に4階分の高さまで上がっていき、展望屋上にたどり着きます。このダイナミックな動きは、時間の経過や個人の成長だけでなく、個人および社会の発展をも象徴しています。
2025年の万博は55年ぶりに大阪に戻ってきます。アプロポス・アーキテクツによるガラスの螺旋を備えた半透明のパヴィリオンは、1970年の日本におけるチェコパヴィリオンへの繊細なオマージュとなっています。
海沿いの遊歩道とメイン大通りが交差する目立つ場所に位置するこのパヴィリオンは、それ自身が建築的なショーピースです。上方に向かって広がり、まるで地球の重力に逆らうかのようなシルエットと、透明なガラスのファサードによって、この建物は人々の注目を集めます。プレート状のアートガラスで作られたこのファサードは、チェコの豊かなガラス工芸の伝統に言及するだけでなく、独自の展示空間も創出しています。移りゆく自然光のおかげで、内部の雰囲気は常に変化し、展示に動的で独自の視覚体験をもたらします。
パヴィリオンを訪れる人々は、ギャラリーの通路を進むことで身体的に関与するだけでなく、展示の芸術的内容を吸収することで、内面的な活力も高めていきます。このパヴィリオンの建築は上方への動きや身体的な活動を促し、一方で展示は精神的な内省を喚起します。両者が一体となることで、身体と心の動きをつなぐ空間が生み出されています。
最上部、地上12メートルの高さには、ゆるやかなスロープがあり、広々とした展望デッキへと導きます。その先には特徴的な屋上の「クラウン」があり、そこにVIPラウンジが設けられています。ここからは、穏やかな海のパノラマが広がるだけでなく、ガラスの天窓を通して講堂を真下に見下ろす息をのむような眺めがあります。




川口裕人 / 1110建築設計事務所が設計した、兵庫の「あわじ島のドッグヴィラ」です。
海と山があり建替えも進む地域に建つ貸別荘の計画です。建築家は、周囲の視線等を防ぐと共に遠景の自然への接続も求め、中庭形式を採用しつつも“型を弱める”設計を志向しました。そして、多様な規模の部屋が接続する“ネックレス”の様な構成を考案しました。施設の場所はこちら(Google Map)。
淡路島に建つドッグラン付きの貸別荘の計画。
淡路島北部では、近年急激に進む再開発によりエンターテインメント性の高い施設が次々と姿を現している。敷地周辺にはまだ従来の淡路島らしい風景が残ってはいたが、計画当初、道路向かいにあった倉庫が竣工時には撤去されるなど、今もなお目まぐるしい変化が起こっている。
そんな不確実な周辺環境と時代の変化に対して、一方的に拒絶するのでも無批判に受け入れるのでもない中庸な建築の在り方を目指し、「変わりゆくものと変わらないもの」を注意深く観察することで形態や素材を導き出した。
外形は強い潮風を受け流す軒のない屋根壁一体の納まりとし、材質は塩害に強いガルバリウム鋼板を選択、色調は周辺の街並みを、屋根勾配は遠景の山並みを参照している。
北側=開発側から見ると赤褐色の壁のみが見え、南側の淡路島らしい風景と色調が調和し、逆に南側から見ると中庭の杉板が垣間見え公園の緑や山並みの自然と調和する。正面から見た階段状の分かりやすい形状は視点移動による動的な変化を持たせることで現代の淡路島の様相を仄めかしている。
この地域は海と山の距離が非常に近く、限られた平地に建物と道路が密集し、周辺建物からの視線や車の騒音が飛び交う状況であった。そこで、道路からなるべく距離を取りながら、建築によって守られた中庭形式のドッグランを確保する配置計画としたが、豊かな自然環境の中で「内に開き、外に閉じる」という強い構図が不自然にも思えたので、「コートハウスを弱める」方法を模索することにした。
まず、前面道路側 / 中庭側という裏表が生まれないように道路側にもなるべく大きな開口を配置し、中庭側との開口に挟まれた細長い空間を「厚みのある境界」として扱い、外の状況を中庭やその奥の寝室にまで静かに浸透させた。
また、海沿いの今後の開発状況が不確定であるため、海方向にだけ開くのではなく、むしろ、遠くの公園の桜並木や鉄塔、小さな橋、星空などの多様な風景と出会えるよう、また同時に周辺からの視線や騒音だけをマスキングできるように、各部屋の大きさや開口寸法を調整した結果、厚みも高さも異なる多様なスケールの部屋が数珠繋ぎとなり、動線に沿って一周するネックレスのような構成が生まれた。



小阿瀬直+山田優+大嶋励 / SNARK Inc.が設計した、東京の「三鷹の家」です。
公園に近い住宅街の狭小地に建つ住まいです。建築家は、限られた容積の中で“快適”を求め、天空率を用いた後退の回避で“街の空地の風景”を居住空間に導入しました。また、中央階段に家具の機能を付与して動線のみならず“居場所”にもしています。
井の頭恩賜公園近くの住宅地にある敷地面積44.58㎡の狭小住宅の計画である。
限られた容積の中で快適な居住空間を最大限に実現することを目指した。特に2階のLDKは家族が過ごす時間が長いため、天井を高く設計し開放感を重視した。
隣地の住宅が道路斜線制限により道路からセットバックして建つのに対し、天空率を利用して制限を緩和することで、居室を道路側へ寄せて配置することができ、隣地セットバック部分の街の空地の風景を取り込み、周辺環境との関係をつくりだした。
プランの中央に配置した3階まで続く階段には本棚や小さな窪みの飾り棚を設け、家具としての機能を加えている。階段そのものが単なる動線ではなく「居場所」となり、上下階を繋ぐ関係性が生まれるように設えた。
各階の繋がりを意識しながら、家全体を一体的に感じられる住宅である。


“デザイン性・事業性・社会性”でまちを豊かにする「UDS株式会社」の、建築企画職(2025年新卒・既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
UDSは「デザイン」と、事業性と社会性を実現するしくみ=「システム」でまちを豊かに楽しくすることを目指す組織です。
「デザイン性」と「事業性」、「社会性」を兼ね備えたまちをよりよくする「新しい選択肢の提案」に、企画、設計・施工、運営が連携して取り組む独特のスタイルで活動しています。このたび、さらなる挑戦・事業拡大のため、プロジェクトデザイナー職を募集します。
後半のチーム紹介記事を読んで頂いた上でご応募ください。【メンバーからのメッセージ】
UDSでは多様なプロジェクトに関わることができます。
多様なメンバーも一緒に働いており、社会に求められていることと自分のやりたいことを自分の意思を持って実現できるプラットフォームのような場所です。
また、妄想から実装まで、プロジェクトの0から100まで幅広く関われるので、自分のスキルアップにも繋がる場所です。
例えば、困難な状況も楽しみながらクリエイティブに解決することができる、そんな新たなメンバーを探しています。【配属先チームについて】
2023年に設立された、UDS事業企画部の新チーム「SDU(システムデザインユニット)」。
将来のUDSの中核を担うリーダー候補として、プロジェクトの「妄想」「構想」「伴走」「実装」まで一連の業務に関わり、経験を積んでいただくことを想定しています。
「あったらいいな」というあたらしい選択肢をクライアントと共に妄想し、実装していくチームです。
メールマガジンでも最新の更新情報を配信中

