川島範久による、ギャラリー兼用住宅「Yuji Yoshida Gallery / House」。2017年7月30日に内覧会も開催。

( )

Photo at random

川島範久による、ギャラリー兼用住宅「Yuji Yoshida Gallery / House」。2017年7月30日に内覧会も開催。

architecture, feature

yygh-01

yygh-000
all photos(C)長谷川健太

川島範久が設計した、ギャラリー兼用住宅「Yuji Yoshida Gallery / House」です。2017年7月30日にオープンハウスも企画されています(PDF)。

 南浦和に建つ築43年のRC造マンション一室のギャラリー兼用住宅へのリノベーション。このギャラリーは、常に一般に開かれるものでもなければ、販売を目的にしたものでもなく、自分が大好きなものに囲まれて生活や仕事がしたいというプライベートな思いからスタートしたものである。一方、趣向の近い知人が見に来ることもあれば、そのような人たちにAirbnb用スペースに宿泊してもらいコレクションを楽しんでもらうこともあるようなセミ・パブリックな側面も持つ。
 オーナーのコレクションは古道具が中心で、骨董品や現代陶芸、現代アートもある。彼のモノの多くはまだ価値が定まっておらず、ある人の目にはゴミとしてしか映らないかもしれないものもある。しかし共通して、「他者(自然)が偶発的に生み出す美しさ」が彼によって見出されたモノたちである。(ゴミとしてしか映らないかもしれないのは、それが資本主義社会における「商品」ではないからである。)

※以下の写真はクリックで拡大します

yygh-00

yygh-04
コレクションが配置されたギャラリー内観。収納棚の背板を半透明ポリカーボネート板とし、ギャラリー側には麻製の半透明布を配した。住居・客間に入った光は収納棚を通り、やわらかい光(適度な暗さ)となってギャラリーに届く。この収納棚はコレクションの見え方を自然光の移ろいによって変化させる「現代の障子」のような存在として機能している。

yygh-05

yygh-06

yygh-07

yygh-08

yygh-09

yygh-10
住居スペースはギャラリーを取り囲むようにL字型に配され、収納棚を境界として空間が切り替わる。ギャラリーとのレベル差は220 mm。

yygh-11
リビングダイニングから寝室方向を見る。バルコニー側の窓に面して設置されたコンパクトなワンルームであり、窓からの光が収納棚を通してギャラリーに届けられる。

yygh-12

yygh-13
客間内観。共用廊下側の窓に面して配置。Airbnbとして利用し、友人や海外からのゲストにコレクションを楽しんでもらうための空間。

yygh-14

Plan+Section

yygh-16_Activity Diagram

yygh-17_Before_Plan
70年代に普及した「中LDKプラン」の派生形の「続き間プラン」。構造壁や柱が内部に落ちておらずフレキシビリティが高かった。

yygh-18_
住居・客間の床レベルを上げ、給排水スペースを確保。天井も下げ、床壁天井に内側から断熱補強(ウレタン吹付)を施した。窓は断熱サッシ・断熱遮音ガラス(線路が近い敷地のため)カバー工法で変更し、断熱ブラインドを配した。断熱・遮音性能の向上に加え、熱交換換気も導入し、省エネルギーと快適性を実現した。

yygh-19_
住居スペースの光が1/10~1/5程度に減衰しギャラリーに届く。異なる光環境を行き来する生活となる。

以下、建築家によるテキストです。

***********

他者(自然)が入り込む「余地」を持つ住宅
 南浦和に建つ築43年のRC造マンション一室のギャラリー兼用住宅へのリノベーション。このギャラリーは、常に一般に開かれるものでもなければ、販売を目的にしたものでもなく、自分が大好きなものに囲まれて生活や仕事がしたいというプライベートな思いからスタートしたものである。一方、趣向の近い知人が見に来ることもあれば、そのような人たちにAirbnb用スペースに宿泊してもらいコレクションを楽しんでもらうこともあるようなセミ・パブリックな側面も持つ。
 オーナーのコレクションは古道具が中心で、骨董品や現代陶芸、現代アートもある。彼のモノの多くはまだ価値が定まっておらず、ある人の目にはゴミとしてしか映らないかもしれないものもある。しかし共通して、「他者(自然)が偶発的に生み出す美しさ」が彼によって見出されたモノたちである。(ゴミとしてしか映らないかもしれないのは、それが資本主義社会における「商品」ではないからである。)
 このモノたちが玄関から一続きのギャラリーとそれを取り囲む収納棚に置かれており、季節や気分によって入れ替えたり、展示位置を変えたりする。収納棚の一部は人が通り抜けることができ、住居スペースへの入口にもなっている。住居スペースは窓に面し太陽光が入り、5階のため広い空も楽しむことができる。収納棚は光を透過する構成となっており、住居スペースに入った光は収納棚を経由し、やわらかい光となってギャラリーに届けられる。
 このような他者(自然)が入り込む「余地」は、この住宅において、鉄扉で閉じられた室内の生活を外の世界へ開いていく「入口portal」である。モノや自然といった他者との関係性は、ブラインドやカーテン(閉じきれない素材)によって微細に調整されながら、刻一刻と変化していく。そして、自分では制御しきれない「他性」と隣り合わせである生活(時には不快に感じるもの)を引き受けていくなかで、住み手も変化していく。
(川島範久)

自分がよいと思う生活を自ら作り上げていく
 オーナーは30代男性で、企業には勤めておらず、ビジネスとしてはインターネットを活用した古物商(コレクションとは別)やアプリケーション開発等を個人で行っており、これらの仕事は主に自宅で行っている。大好きなモノに囲まれて生活や仕事をしていると、より柔軟な考えができたり、面白いアイディアが湧いてきたりする。そのような生活を実現する上で、今回偶然購入することができたこのマンションの一室は、価格・ロケーション(都心へ遠くない)・既存状態(構造体が外周部のみでフレキシビリティが高い)・改修条件(フル・リノベ可能)といった点でフィットしていた。
 自分が美しいと思うモノを見つけ出すように(他人の評価を基準に判断するのではなく)、自分が何を大事に生活していきたいのかを明確にし、それにフォーカスした生活を自ら作り上げていく。この住宅における生活を通して、既に住み手は変化してきており、住まい・生活も変化していくだろう。現在彼はアーティストが手がける古民家改修プロジェクトに参加して学びながら、自身の拠点作りのプロジェクトも企てている。
(川島範久)

■建築概要
主要用途:ギャラリー兼用住宅
家族構成:単身者
設計・監理:川島範久
設計・監理協力:國友拓郎
環境・設備:高瀬幸造
テキスタイル:NUNO 担当 / 堤有希
外皮性能 / エネルギー / 設備システム
外皮平均熱貫流率 0.60 W/m2K (省エネ基準値0.87 W/m2K)※断熱ブラインドを見込んだ値
冷房期の平均日射熱取得率 1.2% (省エネ基準値3.0%)
設計1次エネルギー消費量 56.7 GJ/年 (省エネ基準値68.3 GJ/年)
空調 暖房方式:空冷ヒートポンプエアコン方式  ガス温水式床暖房
   冷房方式:空冷ヒートポンプエアコン方式
   換気方式:全熱交換式
給湯 給湯方式:潜熱回収型ガス給湯
竣工:2016年4月
※住まいの環境デザイン・アワード2017グランプリ受賞 http://www.gas-efhome2.jp/


前後の記事を読む

RSSフィード

このサイトの最新情報をRSSフィードで配信しています。
RSS RSSリーダーで購読する

メールマガジン

メールマガジンで最新の情報を配信しています。
»メールで architecturephoto.netを購読する

情報募集

建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
»詳しくは、こちらをどうぞ

Search"サイト内検索"

amazon search"書籍検索"

最新ニュースを受け取る

feature"特集記事"

remarkable"注目情報"

book"書籍情報"

Exhibitions"展覧会情報"

Competitions"コンペ情報"

最近のTopics

Ad

広告掲載ついてはこちらにどうぞ

ap job"求人情報"

ap product"建材情報"

ap books"入荷情報"

Tags

※ニュース・リリースなどはこちらのフォームをご利用ください
>>contact