SHARE 長沼和宏+澤田淳 / AIDAHOによる、埼玉・深谷市の住宅「FUKAYA house 02」
長沼和宏+澤田淳 / AIDAHOが設計した、埼玉・深谷市の住宅「FUKAYA house 02」です。
施主の両親が暮らす実家の隣に、施主家族が暮らす離れの家を設計した。
敷地は埼玉県深谷市の郊外の市街化調整区域内であったため、敷地を含む周囲は市街地から区分けされ、原風景として保存されたかのように、この土地の古くからの様相を残していた。
同じ区画内には、実家の他にも畑や施主の祖父がつくった庭園・納屋などがあり、それらの持つノスタルジーな要素との親和性を大切にしつつ、近隣の市街化区域とは異なったコンテクストを感じさせるような景色をつくれたらと考え、計画をしていった。
農地転用をして新たに宅地として切り取った敷地は、母屋の南西側に位置し、互いに採光や通風の妨げになることが懸念された。
そこで建物を母屋に対して45°斜(はす)に角度を振って配置し、さらにヴォリュームを低く抑えることで、互いの視線や世帯間の程良い距離を設けるようにした。
また、母屋と「くの字」状に連なり、庭を囲むような配置となったことで、共有の庭へ吹き込む北風や土埃を防いでいる。
仕事が鉄鋼関係で、自分でもものづくりを楽しむ施主のキャラクターに合わせて、施主が暮らしながら家づくりを楽しんでいけるような家をイメージし、過剰なものを排除したシンプルな構成を心がけた。
建築中も、軒庇のスチール柱や棚受け、カーテンレール、ハンガーバー等、鉄部の殆どは施主が自作したものを提供してもらっている。既製品で済ませるのではなく、家を構成する大小様々なパーツに丁寧な手仕事が垣間見えることもこの家の重要な要素となっている。
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以下、建築家によるテキストです。
施主の両親が暮らす実家の隣に、施主家族が暮らす離れの家を設計した。
敷地は埼玉県深谷市の郊外の市街化調整区域内であったため、敷地を含む周囲は市街地から区分けされ、原風景として保存されたかのように、この土地の古くからの様相を残していた。
同じ区画内には、実家の他にも畑や施主の祖父がつくった庭園・納屋などがあり、それらの持つノスタルジーな要素との親和性を大切にしつつ、近隣の市街化区域とは異なったコンテクストを感じさせるような景色をつくれたらと考え、計画をしていった。
農地転用をして新たに宅地として切り取った敷地は、母屋の南西側に位置し、互いに採光や通風の妨げになることが懸念された。
そこで建物を母屋に対して45°斜(はす)に角度を振って配置し、さらにヴォリュームを低く抑えることで、互いの視線や世帯間の程良い距離を設けるようにした。
また、母屋と「くの字」状に連なり、庭を囲むような配置となったことで、共有の庭へ吹き込む北風や土埃を防いでいる。
屋根は、母屋と呼応するようにシンプルな切妻屋根をかけ、屋根より一段下がった位置にアプローチから庭側にかけてL字型に軒庇を設けた。この軒庇は、内と外や母屋と離れを繋ぐ緩衝帯となり、風雨や日射からも暮らしを守る役割を果たしている。
構造は、上り梁の架構とし、屋根形状がそのまま天井の勾配として表れるつくりとなっている。
空間の広さに合わせて設定した天井の高さは、現代住宅の一般的なスケールから外れた高い部分と低い部分をあえてつくることで、空間にメリハリとリズムを与えている。
平面の構成は、生活に必要な機能を最小限にまとめ、暮らしの変化に対応できるよう土間やフリースペース、ロフトといった用途の定まっていない余白の場所を残した。
仕事が鉄鋼関係で、自分でもものづくりを楽しむ施主のキャラクターに合わせて、施主が暮らしながら家づくりを楽しんでいけるような家をイメージし、過剰なものを排除したシンプルな構成を心がけた。
建築中も、軒庇のスチール柱や棚受け、カーテンレール、ハンガーバー等、鉄部の殆どは施主が自作したものを提供してもらっている。既製品で済ませるのではなく、家を構成する大小様々なパーツに丁寧な手仕事が垣間見えることもこの家の重要な要素となっている。
仕上げには、木材や塗料など汎用性があり、長年に渡って広く流通してきた普遍性のある材料を使用した。
経年変化を楽しめる素材であると共に、施主の父が現役の大工であることも考慮して、今後のセルフメンテナンスを前提とした材料を選定している。
竣工後、少しして訪れると、既に施主自ら少しずつ樹勢させた地被植物が生え揃っていた。
今後も施主自ら手を加えてゆくことで、施主と共にこの土地で生き、共に成熟してゆける住宅を計画できたのではないかと思う。
■建築概要
設計:AIDAHO Inc. 担当/澤田淳 吉倉心
構造:OUVI 担当/木佐美慶太
施工:ファーストハウジング株式会社 担当/西沢佑二
キッチン制作:ステンレス部―株式会社システムズヤジマ、木部―株式会社F.Maker
所在地:埼玉県深谷市人見
敷地面積:330.77m2
建築面積:105.33m2
延床面積:88.60m2
階数:地上1階
構造:木造
竣工:2020年3月
写真:長谷川健太
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・床 | ポーチ床・掃出し開口部床 | 土間コンクリート 防塵塗装塗布 |
外装・床 | 濡縁床 | |
外装・壁 | 外壁 | 杉羽目板縦張り:杉T&Gパネル ナチュレウォール t=15(チャネルオリジナル) |
外装・屋根 | 屋根、軒庇 | ガルバリウム鋼鈑 縦平葺き(セキノ興産) |
外装・屋根 | 軒裏 | ラワンベニヤ t=9 |
外装・建具 | 東面開口部 | 木製サッシ:ピーラー材 |
外装・建具 | 南面玄関、FIX窓 | 木製ドア、窓:ピーラー材 |
外装・建具 | 西・北面開口部 | |
外装・建具 | 天窓(FIX) | |
外装・その他 | 雨樋 | 軒樋:スタンダード半丸(タニタハウジングウェア) |
内装・床 | 玄関床、土間、ストレージ床 | モルタル金コテ 防塵塗装塗布 |
内装・床 | トイレ、洗面脱衣室床 | |
内装・床 | キッチン、パントリー、リビング、ダイニング、プレイルーム、ウォークインクローゼット、主寝室床 | |
内装・床 | ロフト床 | ラワン合板 t=12 |
内装・壁 | キッチン、リビング、プレイルーム、洗面脱衣室、主寝室、ストレージ壁 | ラワン合板 t=3 自然塗料 カルテッドクリア(リボス) |
内装・天井 | 玄関・土間、キッチン、ダイニング、リビング、プレイルーム、主寝室、ロフト天井 | ラワン合板 t=3 自然塗料 カルテッドクリア(リボス) |
内装・キッチン | 造作キッチン | |
内装・キッチン | 換気扇 | レンジフード KTP−S9CMSL(渡辺製作所) |
内装・造作家具 | カップボード、リビング収納、棚板 | ラワンランバー、ラワンベニヤ、自然塗料塗布 オイル クリア(オスモ) |
内装・浴室 | ユニットバス | |
内装・水廻り | 水廻り製品 | キッチン水栓:SF-E546SY(リクシル) |
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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません
We designed a datached house for cliant’s family, next to their parents’ house where he grew up. The site is located in the suburbs of Fukaya city, Saitama, under Controlled Urbanization Area. Therefore its neighborhood is parted from city area and keeps old
local aspects, as if the original scenery has been preserved. In this site, there are the
farm, the garden and the shed taken care by their grandfather. Our plan is made, imagining a scenery with an affinity with these nostargic aspects and a narrative which is different from those under Urbanization Area nearby.
The cut off site after Diversion of Agricultural Land was supposed to block sunlight or wind, because it’s on the southwest of the main building. Our suggestion was to position the new house horizontally roteted by 45 degree, and to lower the height. Between the two houses, it brings not only nice consideration but comfortable distance and view . The L shaped layout of these houses also enables to prevent dest or north wind from entering in the garden for gathering.
The roof is simple gable style, in sympathy with the exsisting main house. Under the roof, there are the eaves in L shape, connecting the entrance and the garden. This eaves are like buffer zone between the inside and the outside, or the main house and the new house. It takes role in protecting residents’ lives from rain, wind or sunlight.
Constructure is upward rafter frame and the ceiling inclines likewise the roof form. Roof height is set, suitable for the room space. It does have high and low points which is unusual for modern house but, they bring moduration and rythm for the room.
Planning constructure is functional and minimum. Margins where do not have any certain usage are there to adopt lifestyle changes. The way not to determine nor finish too much
helps our client’s to have creative life and enjoy crafting their own house for good.
Actually, the client work for steel industry so, many stuff are made by HIMSELF and delivered, for example, the steel pillars for the eaves, the shelf supports, the curtain rails, the hunger bars and so on. The important aspect of this house is that, we can find kind craftsmanship in variety of composing pieces, moreover, they are not ready-made.
In finishing, general and universal materials like woods and paints are used, which have
been widely distributed for decades. They can enjoy materials aging and self- maintenance, as thinking his father is still an active carpenter. A while after the completement, we visited the site and found the ground cover plants raised by and well
grown. Here, with continuous maintenance by themselves, we wish our plan support the cliant’s family and the house live together, and mellow together.
Primary use:House
Architectural design:AIDAHO Inc
General contractor:first housing Inc.・F.Maker Inc.
Area:Htomi,hukaya-shi,Saitama
Site area:330.77m2
Total floor area:105.33m2
Building area:88.60m2
Building height:1 stories
Construction:Wooden building
Completed:March 2020
Photo credits:Kenta Hasegawa
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