高橋勝建築設計事務所が設計した、山口・下松市の、介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」です。二つの建築に囲われた庭を中心とし新しい交流を生み出す関係性を設計しています。
庭を中心とした50人規模のデイサービスセンター「ほしのさとday service center」と定員19人の小さな企業主導型保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」の計画である。
敷地は1990年代後半に下松市が医療福祉施設に限定した地区計画のために造成した丘陵地にあり、民家や幹線道路からは200mほど離れた静かで自然豊かな場所である。そこに計画された「ほしのさと」は法面含め約1.6haの広い敷地を持ち、複数の施設で介護事業を運営している。
2年ごとの介護保険法の改正でひとりあたりの介護予算が徐々に削減される厳しい流れの中で、庭を中心とした新しい交流を生み出す活動的な介護環境を提案する、というクライアントが推し進めるプロジェクトの一環でもある。
計画は、立地を活かして広い庭を中心とした豊かな自然環境の外部空間を用意し、活動的な介護を実践する(歩行訓練や畑での園芸リハビリなど積極的な回復を意図した介護)。また、事業所内保育所を備え、子育て中でも働きやすい環境を整備し、優秀な介護スタッフを確保する。さらにデイサービスセンターの活動する庭と保育園の園庭を重ねることで世代間交流を喚起し,相乗的な好影響を及ぼし合えるような施設が求められた。
園児やデイサービス利用者をいかに庭に誘い出し、遊んだり散歩したりしたくなるような空間をどう設えるかを重点的に検討した。結果、木々や芝生の中を歩く時、気持ちのよい開放性を得るため,建築は極力押さえたボリュームとし、温かな景色づくりを意図して、軒の低い勾配屋根を持つ木造平屋とした。二棟はお互い気配を感じながら近すぎない丁度よい距離感で庭を囲む配置計画としている。