本橋良介+三木達郎 / MMAAAの基本設計と実施設計監修による、東京・渋谷区の「エクシオグループ本社ビル エントランス改修」です。既存のオーセンティックな空間を改修、床壁に触れず約800灯の照明と直径7mの人造大理石の円盤を設置、レフ板のように作用させフラットな光環境を生み出し今迄には無い“おおらかさ”の獲得が目指されました。
情報通信インフラを事業とするエクシオグループ本社ビルの1階エントランスを改修した。
90年代に建てられた14階建のビルのエントランスは、東の接道に対して2層吹抜けで正面を作るオーセンティックな「本社ビル」の構えだ。建物の東側は建て込んでいて朝の陽当たりが悪く、太陽が登ると外は明るいけれど内は暗い。午後には線路敷越しに低くて強い西日が差し込んできて吹き抜けが暗く感じる。時間帯によって光溜まりのコントラストがとても強く、どの時間帯でも見通しが悪い。
今回の改修に際して、石張りの床・壁には触れていない。吹き抜けを横断して約800灯のペンダントライトを500ピッチでCH3100の高さに吊り、床面を均一に照らす。
真中の柱には少し傾いた直径7mの白い人造大理石の円盤が貫入し、レフ板の様に全体に光を拡散する。この円盤は待合のベンチにもなるし、打合せテーブルにもなる。寸胴なプロポーションの柱は存在感が強すぎたので、曲げたフローリングで仕上げることで床壁に対して違化し、床壁による空間の輪郭を明確にした。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
光環境の調整による空間の統合と拡張
情報通信インフラを事業とするエクシオグループ本社ビルの1階エントランスを改修した。
90年代に建てられた14階建のビルのエントランスは、東の接道に対して2層吹抜けで正面を作るオーセンティックな「本社ビル」の構えだ。建物の東側は建て込んでいて朝の陽当たりが悪く、太陽が登ると外は明るいけれど内は暗い。午後には線路敷越しに低くて強い西日が差し込んできて吹き抜けが暗く感じる。時間帯によって光溜まりのコントラストがとても強く、どの時間帯でも見通しが悪い。
今回の改修に際して、石張りの床・壁には触れていない。吹き抜けを横断して約800灯のペンダントライトを500ピッチでCH3100の高さに吊り、床面を均一に照らす。
真中の柱には少し傾いた直径7mの白い人造大理石の円盤が貫入し、レフ板の様に全体に光を拡散する。この円盤は待合のベンチにもなるし、打合せテーブルにもなる。寸胴なプロポーションの柱は存在感が強すぎたので、曲げたフローリングで仕上げることで床壁に対して違化し、床壁による空間の輪郭を明確にした。
従前の明度のコントラストを無くしフラットな光環境とすることで室内の分節が消え、見通しを獲得している。物的な輪郭や表面は変更していないが、光環境を整えることで内部空間を統合し、視界を外部へと拡張することで、おおらかなエントランス空間が実現している。
■建築概要
プロデュース:ツードッグス
基本設計・実施設計監修:本橋良介+三木達郎 / MMAAA
実施設計・施工:タキズミ(全体)、ヤマト電機(照明)、大和工業(円盤)
設計:2021年3月~7月
施工:2021年6月~8月