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2022.2.24Thu
2022.2.23Wed
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肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチームの設計監修による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」。1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われる
photo©針金洋介

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建材(外装・壁)中野建設植松建設川原建設Takebayashi Landscape Architects建設技術センター三原建築設計事務所増山晃太高尾忠志肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチーム三島伸雄LIGHT・PLAN建材(外構・床)建材(外装・屋根)建材(内装・天井)建材(内装・壁)建材(内装・床)図面あり駅舎平瀬有人佐賀観光施設増築
肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチームの設計監修による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」。1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われる photo©針金洋介
肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチームの設計監修による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」。1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われる photo©針金洋介
肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチームの設計監修による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」。1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われる photo©針金洋介

肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチーム / 三島伸雄・平瀬有人の建築設計監修・監理による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」です。景観デザイン・外構設計監修を、肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチーム / 高尾忠志・増山晃太、建築設計を三原建築設計事務所、広場設計・外構設計を建設技術センター+Takebayashi Landscape Architectsが手掛けています。
1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われました。

駅舎は1930年竣工で、鉄道省が「小停車場本屋標準図」(昭和5年10月6日制定)の第五號型に基づいて建設したと推定される。半切妻平入・下見板張の木造平屋建てであったが、1985年頃に切妻屋根・一部竪羽目板張りで3連キャノピーを有する正面外観に改造され、また一部解体・増築されている状況であった。

本計画は、佐賀県事業として、歴史的考証を踏まえて駅舎復原と増築を行った。痕跡調査の結果、建設当初に復原するには根拠が不明の部分が多いこと、最も肥前浜駅からの道沿いが最も栄えていたのは昭和以降であることなどから古写真を元に1945年代の姿に復原し、解体時調査より塗装痕跡を判断して薄桜色の外壁・内壁の塗装色を採用することにした。

建築家によるテキストより

増築にあたり、既存駅舎に復原したスレート葺きの屋根を増築部にも連続させ、柱割りも既存駅舎のモジュールを採用するなど、新旧が調和するようなデザインを検討した。増築部外壁にはアルミアングルを挿入することで、塗材クラック防止とともに既存駅舎の開口部高さからの連続性を意識している。増築部に既存駅舎に似せた要素を用いると、築後80年以上の時間差の感じられないイミテーションになってしまうと考え、敢えて違う要素を挿入することで、新旧の要素が対峙しつつも渾然一体となった風景を目指し、駅前広場整備と併せて計画した。

建築家によるテキストより

駅前広場は、JR九州所有であるが、鹿島市がJR九州に承諾を得て、街なみ環境整備事業により整備した。本計画では、当初ロータリーの整備等も検討したが、地域住民が高校生送迎等で車を寄せる際に正面に縦列駐車する慣習を持っていること、土日等にその駐車部分にテント等を張ってイベントを行いたいというNPOの意向があること、駐輪場が老朽化しており維持管理しやすい駐輪場が求められていることなどを踏まえて、住民の暮らしやまちづくり活動の要求に応える歩車共存広場とした。歩車の境界や段差をなくし、さりげないデザインで車動線やイベントスペースを表現した。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチームの設計監修による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」。1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われる photo©カネダセイノスケ
肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチームの設計監修による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」。1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われる photo©カネダセイノスケ
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肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチームの設計監修による、佐賀・鹿島市の「JR肥前浜駅交流拠点施設」。1930年竣工駅舎を復原し交流拠点の増築も行う公共事業、計画は痕跡調査等の歴史的考証を踏まえ行われ、増築部では既存の素材参照等により調和を意識しつつも模造的である事を回避する繊細な設計が行われる image©肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチーム

以下、建築家によるテキストです。


佐賀県鹿島市にある長崎本線・JR肥前浜駅交流拠点施設としての駅舎復原・増築および駅前広場整備の計画である。

駅舎は1930年竣工で、鉄道省が「小停車場本屋標準図」(昭和5年10月6日制定)の第五號型に基づいて建設したと推定される。半切妻平入・下見板張の木造平屋建てであったが、1985年頃に切妻屋根・一部竪羽目板張りで3連キャノピーを有する正面外観に改造され、また一部解体・増築されている状況であった。

本計画は、佐賀県事業として、歴史的考証を踏まえて駅舎復原と増築を行った。痕跡調査の結果、建設当初に復原するには根拠が不明の部分が多いこと、最も肥前浜駅からの道沿いが最も栄えていたのは昭和以降であることなどから古写真を元に1945年代の姿に復原し、解体時調査より塗装痕跡を判断して薄桜色の外壁・内壁の塗装色を採用することにした。

既存駅舎を復原し北側へ増築することで駅舎と一体的な交流拠点施設を整備したが、計画にあたっては、NPO法人肥前浜宿水とまちなみの会における「未来まちづくり構想」で情報共有を行なって意見徴収したほか、東部中学校で中学生対象のワークショップを実施し、利用者のニーズの把握を行なった。そのニーズを踏まえ、復原部には駅舎の待合コンコースのほか重要伝統的建造物群保存地区「肥前浜宿」への観光案内機能を強化するためのNPO等活動スペース・オフィスとともに、地域居住者の立ち寄りやすいギャラリーを設け、屋根付き広場を挟んでショップ・カフェ(2020年、OpenA設計により日本酒バー「浜バー」に改修)とトイレを増築している。既存駅舎からの動線を考慮して、増築部の下屋を既存駅舎まで延長した。また、増築部は約1mホーム側からオフセットすることでホーム内に足場を掛けずに保守管理が可能なようにしている。

増築にあたり、既存駅舎に復原したスレート葺きの屋根を増築部にも連続させ、柱割りも既存駅舎のモジュールを採用するなど、新旧が調和するようなデザインを検討した。増築部外壁にはアルミアングルを挿入することで、塗材クラック防止とともに既存駅舎の開口部高さからの連続性を意識している。増築部に既存駅舎に似せた要素を用いると、築後80年以上の時間差の感じられないイミテーションになってしまうと考え、敢えて違う要素を挿入することで、新旧の要素が対峙しつつも渾然一体となった風景を目指し、駅前広場整備と併せて計画した。

駅前広場は、JR九州所有であるが、鹿島市がJR九州に承諾を得て、街なみ環境整備事業により整備した。本計画では、当初ロータリーの整備等も検討したが、地域住民が高校生送迎等で車を寄せる際に正面に縦列駐車する慣習を持っていること、土日等にその駐車部分にテント等を張ってイベントを行いたいというNPOの意向があること、駐輪場が老朽化しており維持管理しやすい駐輪場が求められていることなどを踏まえて、住民の暮らしやまちづくり活動の要求に応える歩車共存広場とした。歩車の境界や段差をなくし、さりげないデザインで車動線やイベントスペースを表現した。

そして、この地域の在来植物である高木群と駐輪場の配置により、広場中央にヴォイド(間)が生まれるよう囲まれ感をつくった。余計なものが何もない空間とし、祭事と静かな日常の両方で新たな活動、想像や追憶を加えられる余白を表現した。採取可能なうち最も敷地から近い川砂利を採用した脱色アスファルト舗装など、用いる素材は駅舎や肥前浜宿の街並みと調和し、エイジングにより風合いが増すものを選んだ。同じ川砂利を用いた高木の砂利マルチングは、広場表面の雨水を浸透・流出遅延させる機能ももたせた。 

歩車共存広場が日常・非日常時のシェアードスペースとなるよう、また道路側から駅舎の視認性が高くなるよう、老朽化している既存駐輪場は広場東側端部に再整備した。駐輪場は駅舎を引き立てるように、駅舎の軒高さと合わせたシンプルな造形とし、9mm・16mmの溶融亜鉛メッキの鋼板の組み合わせによって構造材をそのまま仕上げとしている。H形鋼の梁は横使いすることでウェブ上部を棟樋とし、9mm鋼板の壁柱内部に縦樋を納めている。また、H形鋼の梁ウェブ下部にはシームレスライン照明を仕込むことで、夜間は壁柱に反射して明るい風景をつくり出している。

本計画が実現したことにより、地域から非常によい反応が得られている。整備された直後には、夜景を見学に来る住民たちの姿が見られた。電車の待ち時間に駅舎内で勉強していた高校生から冷暖房の効いた快適な環境で勉強が捗るようになったという声が聞かれ、また観光客が日本酒を楽しみながら電車を待つ姿が見られる。JR九州の協力もあり、36+3などの特別列車も毎週月曜日に1時間停車し、観光客が駅前イベント等を楽しむ姿が見られて好評である。

今回の計画では、駅前広場に接続する駅前通り(県道)の計画も将来を見据えて行なった。もともと農地に整備されたものであるので、周辺の宅地より高い道路高になって、道路法面と宅地とのすり合わせの問題を抱えている。また、観光客が肥前浜宿に歩いて行きやすい環境を創出することを目指して、電柱のソフト地中化、電灯整備などの計画を行なっている。今後、その整備等が実施されれば、肥前浜宿の歴史的環境を生かすまちづくりがますます進展すると期待される。

■建築概要

建物名称:JR肥前浜駅交流拠点施設
所在地:佐賀県鹿島市浜町930-2
用途:駅舎・交流拠点施設
建築主:佐賀県及び鹿島市
建築設計監修・監理:肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチーム/三島伸雄・平瀬有人
景観デザイン・外構設計監修:肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチーム/高尾忠志・増山晃太
建築設計:三原建築設計事務所(織田淳)
構造設計(駐輪場):yAt構造設計事務所(森部康司)
広場設計・外構設計:建設技術センター(懸樋喜康・松尾和人)+Takebayashi Landscape Architects(竹林知樹)
ニーズ把握調査(ワークショップ・アンケート調査):建設技術センター(懸樋喜康・松尾和人)
照明デザイン協力:LIGHT・PLAN(山本博之)
施工:川原建設(建築)・植松建設(駐輪場)・中野建設(広場・外構)
構造:木造(建築)・鉄骨造(駐輪場)
階数:地上1階
敷地面積:4,134.25㎡
建築面積:264.67㎡(建築)・61.80㎡(駐輪場)
延床面積:147.25㎡(建築/既存 /86.95㎡・増築/ 60.30㎡)・61.80㎡(駐輪場)
設計期間:2017年1月- 8月(建築)
施工期間:2017年11月-2018年3月(建築)
設計期間:2019年1月- 8月(駐輪場)
施工期間:2019年10月-2020年3月(駐輪場)
設計期間:2017年1月- 8月(広場・外構)
施工期間:2020年6月-2021年3月(広場・外構)

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外構・床外構

モルタル洗い出し
土間コンクリート

外装・壁外壁(建築/増築)

ジョリパットインフィニティJQ-500しっくい調 T1000[アクリル意匠性塗材](アイカ工業)

外装・壁外壁(既存)

しっくい
板貼りSOP
木部SOP

外装・壁外壁(増築)

アクリル意匠性塗材
ALアングル化粧目地

外装・壁外壁(駐輪場)

鋼板SN400B溶融亜鉛メッキ PL-9

外装・屋根屋根(建築)

ガルバリウムカラー萠 KS65 キャメルブラウン[アルミ亜鉛合金メッキ鋼板一文字葺き t=0.4](淀川製鋼)

外装・屋根屋根・外壁(駐輪場)

鋼板SN400B溶融亜鉛メッキ PL-9、16mm(高木鉄工)

内装・床床

モルタル金鏝

内装・壁内壁・外壁(建築/既存)

既存木部補修 SOP[合成樹脂調合ペイント] 薄桜色[色番号:KM094C相当](大日本塗料)

内装・壁内壁(建築/既存)

テラックス TR-251-A[微細粒度多彩陶石土壁調吹付](山本窯業化工)

内装・天井天井(既存)

既存漆喰天井NAD
化粧石膏ボード t=9.5 NAD

内装・天井天井(増築)

シナベニア合板 t=5.5 EP拭取 目透し

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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建材(外装・壁)中野建設植松建設川原建設Takebayashi Landscape Architects建設技術センター三原建築設計事務所増山晃太高尾忠志肥前浜駅デザイン検討プロジェクトチーム三島伸雄LIGHT・PLAN建材(外構・床)建材(外装・屋根)建材(内装・天井)建材(内装・壁)建材(内装・床)図面あり駅舎平瀬有人佐賀観光施設増築
2022.02.24 Thu 09:31
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    【ap job更新】 沖縄を拠点とし企画・設計・施工・販売まで手掛ける事を目指す「株式会社ISSHO建築設計事務所」が、設計監理と現場管理のスタッフを募集中

    ap job 【ap job更新】 沖縄を拠点とし企画・設計・施工・販売まで手掛ける事を目指す「株式会社ISSHO建築設計事務所」が、設計監理と現場管理のスタッフを募集中

    architecture|job
    建築求人情報
    【ap job更新】 沖縄を拠点とし企画・設計・施工・販売まで手掛ける事を目指す「株式会社ISSHO建築設計事務所」が、設計監理と現場管理のスタッフを募集中
    【ap job更新】 沖縄を拠点とし企画・設計・施工・販売まで手掛ける事を目指す「株式会社ISSHO建築設計事務所」が、設計監理と現場管理のスタッフを募集中
    アーキテクチャーフォトジョブボードに新しい情報が追加されました
    job.architecturephoto.net

    沖縄を拠点とし企画・設計・施工・販売まで手掛ける事を目指す「株式会社ISSHO建築設計事務所」の、設計監理と現場管理のスタッフ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
    新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。

    株式会社ISSHO建築設計事務所では設計監理、現場管理スタッフを若干名募集します。

    弊社は沖縄を拠点としています。沖縄の古民家を進化させた「新民家MAKER」プロジェクトを中心に、個人の住宅や共同住宅、オフィスや店舗などの商業施設も手がけています。また、家具や照明器具などのプロダクトも製作しています。その他には、「新民家MAKER」の体験施設としての旅館も運営しています。

    募集を開始した主な理由としては、現在、一般建設業許可を取得中(施工実績5年経過したため)であること、また宅地建物取引業(これまでの土地取得、販売は協力業者と行っていた)の登録も行う予定であり、アトリエ設計事務所の業務を、正式に企画から設計、施工、販売に至るまでの建築にまつわる一連の業務にまで拡張し、より深度をもった建築を創出するためです。

    ただ、業務範囲を拡大するとはいえ、会社をやみくもに拡大する意図はありません。現在、会社の社員数は代表含めわずか4人(外注スタッフ含まず)で構成しておりますが、直近の年商は3億に迫ります。そのことが意味するのは、建築におけるあらゆる決断をこの手に持つことで、大きな責任を伴いはしますが、業務の進行の速度は上がり、利益率を上げる要因となります。そしてなにより建築に対する探求心が膨らみ、総合的な理解力が上がります。

    次代の組織の在り方は常に探求しています。今後、益々変化の動きが大きくなる世の中においては、いかに少数の組織であるかが、時代にフィットするフットワークを決めます。

    弊社は東京から沖縄に移転し第二創業を迎え、まだまだ走り初めたばかりになります。とはいえ、現在控えているプロジェクトは多岐にわたり、自社案件のほかに、日々、新規の依頼相談が来ている状況です。そのすべてを受託、実行するわけではないですが、魅力的なプロジェクトが多くなってきているため、チームを少し拡大する決断を致しました。

    設計という枠にとどまらない新たな創造にチャレンジしたい方、経験の幅を広げたい方を歓迎致します。

    job.architecturephoto.net
    • ap job
    建築求人情報
    2022.02.24 Thu 17:37
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    赤松佳珠子+大村真也 / CAtによる、広島・因島の「土生公民館」。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場を目指す
    photo©足袋井竜也

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    architecture|feature
    CAt設備計画中電工PcalusGAヤマザキ加納屋・丸芳建設工事共同企業体マサキ工業建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(外装・建具)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)山田憲明大村真也コミュニティ施設広島尾道安東陽子岡安泉足袋井竜也赤松佳珠子
    赤松佳珠子+大村真也 / CAtによる、広島・因島の「土生公民館」。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場を目指す photo©足袋井竜也
    赤松佳珠子+大村真也 / CAtによる、広島・因島の「土生公民館」。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場を目指す photo©足袋井竜也
    赤松佳珠子+大村真也 / CAtによる、広島・因島の「土生公民館」。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場を目指す photo©足袋井竜也
    赤松佳珠子+大村真也 / CAtによる、広島・因島の「土生公民館」。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場を目指す photo©足袋井竜也

    赤松佳珠子+大村真也 / CAtが設計した、広島・尾道市因島の「土生公民館」です。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場が目指されました。

    村上海賊の歴史や造船の町で知られる因島は、現在人口約2万人となり、少子高齢化が進む。2015年に閉校となり、体育館とグラウンドのみ地域施設として使われ続けている旧土生小学校跡地に、老朽化している公民館を移転するため、2018年にオープンプロポーザルで選定されて始まったプロジェクトである。

    建築家によるテキストより

    敷地は、海沿いの県道から少し入ったところに位置し、山を背にして傾斜地に民家が建ち並ぶ瀬戸内らしい風景が広がる。
    ボリュームと屋根を町の民家に寄り添うスケールに分節させながらも、それらが寄り集まったような形態とし、それぞれに町並みからサンプリングした素材を用いることで、高低差のなかに屋根が重なり合いながら見え隠れする、土生の風景に溶け込むような建築を目指した。

    建築家によるテキストより

    広島県は2018年7月豪雨で甚大な被害を受け、後背に崖地のある本敷地も急傾斜地警戒区域の見直し対象となった。建物を敷地中心に再配置し、多角形のホールを中心に角度をもって配置された各ボリュームが街角や広場に向かってそれぞれの方向に顔を出し、温かみのある木の屋根が人々を迎え入れる。その屋根下の縁側空間は、目的的に訪れる人々だけでなく、グラウンドや多目的広場で遊ぶ子供たち、体育館利用者や縁側で井戸端会議をする人々など、あらゆる世代にとっての拠り所となる。
 

    コロナ禍という、「人との関わり方」に戸惑いながら生活する日々を過ごしたからこそ大切だとわかった、縁側に座っておしゃべりを楽しむようなささやかな日常を支える場として、人々の生活に溶け込む集いの場となることを願っている。

    建築家によるテキストより
    • 残り34枚の写真と建築家によるテキスト
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    CAt設備計画中電工PcalusGAヤマザキ加納屋・丸芳建設工事共同企業体マサキ工業建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(外装・建具)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)山田憲明大村真也コミュニティ施設広島尾道安東陽子岡安泉足袋井竜也赤松佳珠子
    2022.02.24 Thu 16:16
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    伊東豊雄・西沢大良・中川エリカ・浅子佳英が参加した座談会「コロナ禍以降に再考する、建築の美と生と死」の内容が公開

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    architecture
    インタビュー伊東豊雄浅子佳英中川エリカ西沢大良
    伊東豊雄・西沢大良・中川エリカ・浅子佳英が参加した座談会「コロナ禍以降に再考する、建築の美と生と死」の内容が公開されています
    www.biz-lixil.com

    伊東豊雄・西沢大良・中川エリカ・浅子佳英が参加した座談会「コロナ禍以降に再考する、建築の美と生と死」の内容が公開されています。2021年12月24日に行われたウェビナーをテキスト化したものです。

    以下は、イベント開催時の概要です。

    インタビュー・シリーズ第4回目では、西沢大良氏をお迎えして「コロナ禍以降に再考する、健康な住まい」と題するインタビューを行いました。近代の産物である住まいにおける機能的な場所は、コロナ禍において危険な場所となってしまったと西沢氏は語りました。家はそこに居るだけで体が恢復し、健康になれる場所であるべきだという西沢氏の提唱は、コロナ禍以降大きな意味を持つようになりました。伊東豊雄氏をお迎えする第5回目は、伊東氏が幼少期を過ごした長野県諏訪、その後の東京中野の風景、コロナ禍における住空間や暮らし方についての新たな発見や変化、近年語られる「美しい建築」への信念、そして作品のなかにある「死」とのさまざまな関係性など、建築の生と美と死について、いま思うことを伺います。

    architecturephoto.net
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    インタビュー伊東豊雄浅子佳英中川エリカ西沢大良
    2022.02.24 Thu 13:45
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    萬代基介建築設計事務所による、京都の、築100年の住宅の改修増築「椎葉邸」の写真と図面

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    architecture|remarkable
    住宅京都リノベーション萬代基介
    萬代基介建築設計事務所による、京都の、築100年の住宅の改修増築「椎葉邸」の写真と図面が、archdailyに掲載されています
    www.archdaily.com

    萬代基介建築設計事務所が設計した、京都の、築100年の住宅の改修増築「椎葉邸」の写真と図面が29枚、archdailyに掲載されています。

    以下は、建築家によるテキストです。

    古い家が纏う公共性

    京都で代々住み継がれてきた築100年ほどの住宅の改修計画である。敷地には年月をかけて手入れされてきた豊かな庭があり、中央には可愛らしい2階建ての日本家屋が建っていた。家というのは個人の所有物であるが、長い時間この場所に建ち続けてきたことで、さまざまな人間の中で生きていて、どれだけ開放的につくられた家よりも開かれた不思議な公共性のようなものを獲得していた。街の中で愛されてきたこの環境を残しながら、新しい暮らしをつくることを目指した。

    新しい繋がりを生み出す構造

    定年後の夫婦ふたりの住まいだが、人の集まる家にしたいということであった。もともとの家は生活の変化に合わせて下屋が増改築されていたので、中心にある2階建ての既存母屋だけを残し、5つの木造の下屋を増築することにした。それぞれの下屋は庭の環境に合わせてつくる。金木犀に囲まれた居間、陽の光の入る天井の高い台所、モミジの隣に離れのように配置される茶室、光が降ってくる階段室と星空の見える書斎、柔らかい光の入る風呂。この5つの下屋は、古い母屋と庭を繋ぐ接点となると同時に、既存母屋をフライングバットレスのように支える新しい構造体でもあり、既存母屋の1階は耐震壁から解放されることになる。付加的な形式の下屋増築が、建築全体に新しい開放性を作り出すような構造形式である。

    敷地全体に散らばるイメージの断片

    全体は既存母屋/新しい下屋/古い庭という構成ではあるが、その構成を溶かしていくような小さな操作を重ねた。既存と新築の境界を横断するように、古い階段、昔の縁側、家具を配置する。さらに新築部には、古い建具、床柱、照明など既存の素材を転用し、新しく生まれた庭には既存庭石や庭木を植えていく。庭も建築も家具も等価に扱いながら、がらんどうとなった母屋を中心に敷地全体に展開する環境の断片を再編集し、幾重にも重なったレイヤーを家中に張り巡らせていく。たとえば「既存の門から入った新築の下屋にある昔の子供部屋の木製建具越しに新しい庭を眺めた先に昔のツツジの木がある」というような関係である。そうすることでさまざまな人がこの家に対してもっていたイメージに対する接点が生まれ、新しい「開かれた家」が生まれると信じている。

    mndi.net
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    住宅京都リノベーション萬代基介
    2022.02.24 Thu 07:08
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    2022.2.23Wed
    • 【ap job更新】 国際的なプロジェクトに取り組む「ABD建築合同会社」が、札幌での設計スタッフ(経験者・新卒既卒)と学生アルバイトを募集中
    • 齋藤弦 / Strings Architectureによる、東京・中央区の住戸改修「勝どきのタワーマンション」。都市と住空間が直結する関係性とそこに住む意義を再考し計画、レイヤー構成により活動に応じて都市との距離感を調節できるよう設計、建築形態の特徴である“眺望”を生かすプランニングも意図
    2022.2.25Fri
    • デイビッド・チッパーフィールドが、自身が修復を手掛けたミースの国立新美術館について語っている動画
    • MVRDVのヴィニー・マースが、自身が設計した芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」を案内している動画
    • 安藤忠雄が、自身が2021年に完成させたパリの美術館「ブルス・ドゥ・コメルス/コレクション・ピノー」を解説している動画
    • 岡田宰 / 2id Architectsによる、福岡の店舗「JINS 宗像店」。国道沿いのロードサイド店舗で、屋外空間の取込みを意図し屋外風景と床壁の素材色が連続するよう設計、外観は車からの視線を意識し“看板的”である事と“居心地良い風景”の同居を目指す
    • 【ap job更新】 白川在+寺嶋利治の新事務所が、名古屋での設計スタッフ(新卒既卒・経験者)を募集中
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