MADが設計を進めている、中国・四川省の、博物館の為の新施設「三星堆の眼」。数千年前の文化財出土で知られる地域に位置し、自然景観との呼応を意図し緑の中の水の上に浮かぶよう木造建築群を配置、文化財展示だけでなく精神が解放され高揚する場が目指されました。
こちらは建築家によるテキストの翻訳です
マー・ヤンソン率いるMADアーキテクツは、三星堆古蜀文化遺産博物館のための最新プロジェクト「三星堆の眼」の設計を発表しました。このプロジェクトでは、MADが古代の景観である密集した緑と澄んだ水の上に、点在する木造建築群を配置します。新しい建物は既存の景観と融合し、新しい環境を形成しています。この環境は、三星堆文明の古代の神秘を称えると同時に、この地域の時間を超えた自然環境と、控えめで謙虚なヴォリュームによってつながっています。その結果、人間と自然、過去と未来が融合する都市的・文化的な公共空間として機能する公園が誕生するのです。
プロジェクトの敷地は、四川省広漢市の西部に位置しています。約4500〜2800年前の文化財が出土しており、古代都市、古代国家、中国西南部の古代蜀文化の響きに根ざした考古学が展開されています。三星堆遺跡は、近隣の金沙遺跡と共同で、ユネスコの世界文化遺産に申請しています。
人間は、未知のものや神秘的なものに興味を抱くものです。三星堆が世界的に注目されているのは、この古代都市がどのような地理的位置にあり、どのような古代蜀の文化があったのかがほとんど理解されていないことにあるのでしょう。蜀は長江と黄河の流域に位置していました。そのため、三星堆の出土品は、中国人が蜀に移住した際に生じた中原文化の影響の痕跡と絡み合って、謎に満ちた古代蜀の地域文化の手がかりを提供しています。現在、三星堆博物館には、青銅、玉、金、石、陶器、象牙、貝殻を中心とした出土品が展示されています。
三星堆博物館公園は、遺跡の中心保護区域の北東部に位置し、総面積は9万㎡です。設計には、都市計画、新しい博物館とヴィジター受付サービスセンター、全体的な景観戦略などが含まれています。完成後は、三星堆遺跡の出土文物の収集、展示、保護、研究などの活動を行う世界トップクラスのテーマ型博物館となる予定です。