鴻野吉宏 / futuretank architectsが設計した、愛媛・今治市の「大島の住宅」です。移住した施主の為に瀬戸内海を臨む敷地に計画、環境との一体化を意識し水平垂直の開口を設け空間と眺望の関係を設計、人の動きや活動の変化に応じ風景を切り取り多様な関係性を生み出す建築です。
今治と尾道をつなぐ「しまなみ海道」で結ばれた島の一つである大島に建つ、夫婦と子供のための住宅。都会からの移住者であるこの家族は、海と山に挟まれた斜面に民家が建ち並ぶ穏やかなこの島の地域で、この瀬戸内の風景とともに暮らす住宅を希望していました。
人を招くことが多いという生活のスタイルと、広い庭や既存樹木との連続性を考え、1階に玄関土間からつながるリビングやダイニングといったパブリックな機能を、2階に個室や浴室を配置し、それらを吹き抜けで緩やかにつなぐ計画としました。同時に眼の前に広がる瀬戸内海の光景をどのように家の中に取り込むか、豊かな外部環境をどのように生活の空間と関係づけ、連続させるかを検討していきました。
結果として、この住宅では視野いっぱいに広がる風景を、水平、垂直に広がる開口部によって、海、島、空の比率が強調された二つの異なる眺望として切り取り、空間と関係づけています。
玄関、土間、ダイニングキッチンは水平方向の窓を内部に押し出したような空間として配置し、建物の幅いっぱいの5枚建ての木製ガラス框引戸を開放することで、瀬戸内の風景と一体となるよう計画しました。
さらに、この水平方向の空間と直交する垂直方向の開口部を押し出すことで空間をつくり、リビングおよび吹き抜けとしました。この場所では奥行き方向の移動や階段での上下方向の移動によって視線の変化と眺望の変化を楽しむことができます。
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以下、建築家によるテキストです。
開口と空間の形で風景との多様な関係をつくる
今治と尾道をつなぐ「しまなみ海道」で結ばれた島の一つである大島に建つ、夫婦と子供のための住宅。都会からの移住者であるこの家族は、海と山に挟まれた斜面に民家が建ち並ぶ穏やかなこの島の地域で、この瀬戸内の風景とともに暮らす住宅を希望していました。
敷地は、目の前に瀬戸内海が広がり、大小の島々とどこまでも続く空、そして美しい夕日を望むことができる場所でした。中央には高さ2.6m程度の古い石垣があり、以前は下段に住宅が建てられ、上段は畑として使われていましたが、海の近くであるということを考慮し、上段の畑の部分を農地転用しそこに住居を建てることとしました。
人を招くことが多いという生活のスタイルと、広い庭や既存樹木との連続性を考え、1階に玄関土間からつながるリビングやダイニングといったパブリックな機能を、2階に個室や浴室を配置し、それらを吹き抜けで緩やかにつなぐ計画としました。同時に眼の前に広がる瀬戸内海の光景をどのように家の中に取り込むか、豊かな外部環境をどのように生活の空間と関係づけ、連続させるかを検討していきました。
結果として、この住宅では視野いっぱいに広がる風景を、水平、垂直に広がる開口部によって、海、島、空の比率が強調された二つの異なる眺望として切り取り、空間と関係づけています。
玄関、土間、ダイニングキッチンは水平方向の窓を内部に押し出したような空間として配置し、建物の幅いっぱいの5枚建ての木製ガラス框引戸を開放することで、瀬戸内の風景と一体となるよう計画しました。
さらに、この水平方向の空間と直交する垂直方向の開口部を押し出すことで空間をつくり、リビングおよび吹き抜けとしました。この場所では奥行き方向の移動や階段での上下方向の移動によって視線の変化と眺望の変化を楽しむことができます。
建物の外壁は、木製の仕上げという施主の要望と、周辺の建物の雰囲気に近づけることを意図し、それらによく見られる杉の羽目板とし、愛媛県産材を使っています。
この直交した二つの開口部と生活空間は、住む人の動きや活動の移り変わりに応じて風景を切り取り、多様な視点から瀬戸内海の関係を形作ることができます。日々の時間の中での太陽の光と海の変化を存分に楽しんでもらいたいと思っています。
■建築概要
名称:大島の住宅
所在地:愛媛県今治市
家族構成:夫婦+子供1人
設計:futuretank architects/鴻野吉宏
施工:建築工房たかとり
構造:木造
規模:地上2階建
用途地域:都市計画区域外
敷地面積:695.34㎡
建築面積:83.96㎡
延床面積:136.51㎡
設計期間:2018年10月~2020年2月
工事期間:2020年3月~2020年10月
竣工写真:高栄智史