衞藤翔平 / 衞藤建築設計室が設計した、広島の「屋代の住居」です。
南側に災害指定の丘がある旗竿地に計画、見晴らし良く採光可能な東面の活用を意図して平面を“コの字型”とし更に角度を開き隣棟間隔を確保、敷地環境を丁寧に読み解いて負の条件を個性に変える事が意図されました。
瀬戸内海に面する丘陵地に建つ住宅。
敷地は広島市内でありながら周囲にはまだ田畑が残り住宅の密度もそれほど高くない郊外地にある。前面道路から20m以上奥まった旗竿地となっており、南側には災害指定もされている丘が立ち上がっている。
しかし、旗竿地といっても「竿」部分は通行に十分な幅員があり、東側は低地となっているため見晴らしも良い。
計画は丘により南側からの採光が見込めない条件下で、いかに必要諸室に採光を取り入れるかが課題となった。
低地となる東側を最大限開放するため、建物形状をコの字型とし東に面する壁を多く確保した。そして、コの字の角度を開くことで隣棟間隔を空け、棟上部からもできる限り長い時間日の光を取り込める計画とした。また中庭には大小さまざまな木々を植樹することで景観だけでなく、シェードやリフレクターとしての役割を担わせ内部に安定した光を供給する。
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以下、建築家によるテキストです。
瀬戸内海に面する丘陵地に建つ住宅。
敷地は広島市内でありながら周囲にはまだ田畑が残り住宅の密度もそれほど高くない郊外地にある。前面道路から20m以上奥まった旗竿地となっており、南側には災害指定もされている丘が立ち上がっている。
しかし、旗竿地といっても「竿」部分は通行に十分な幅員があり、東側は低地となっているため見晴らしも良い。ネガティブな印象の多い一般的にもつ旗竿地のような印象はなく、開放的でかつ、「竿」部分の長いアプローチはプライバシーを確保するための重要なエレメントとなっている。
計画は丘により南側からの採光が見込めない条件下で、いかに必要諸室に採光を取り入れるかが課題となった。
低地となる東側を最大限開放するため、建物形状をコの字型とし東に面する壁を多く確保した。そして、コの字の角度を開くことで隣棟間隔を空け、棟上部からもできる限り長い時間日の光を取り込める計画とした。また中庭には大小さまざまな木々を植樹することで景観だけでなく、シェードやリフレクターとしての役割を担わせ内部に安定した光を供給する。
順を追ったプロセスにより、ながく敬遠されていたこの地に、旗竿地、崖による日影、災害指定区域などの負の条件を個性に変えたそこでしか表現のできない新たな住まいを見つけることが出来たのではないかと思う。
■建築概要
建物名:屋代の住居
所在:広島県広島市
家族構成:夫婦+子供2人
構造:木造軸組工法
設計:衞藤建築設計室 衞藤翔平
施工:株式会社 木ノ節建創 渡邊仁
大工棟梁:金本貴志
造園:ニートガーデン 伊谷純
地域地区:第一種低層住居専用地域
道路幅員:北側5.4m
建蔽率:法定50%(実際30.98%)
容積率:法定100%(実際26.67%)
階数:平屋建て
軒高:2,849㎜
最高高さ:4,065㎜
敷地面積:389.72㎡
建築面積:120.72㎡
延床面積:103.92㎡
設計期間:2019年9月~2020年4月
工事期間:2020年5月~2020年11月
撮影:野村和慎