SHARE シアスター・ゲイツによる、2022年のサーペンタイン・パヴィリオン「ブラック・チャペル」。毎年1組の設計者が選ばれ夏の期間公開される建築。作家の思想の表現と人々の癒しになる事を求めて、様々な伝統建築や芸術家による空間を参照し自身のルーツを組合せ構想。アジャイ事務所の建築的支援により実現
アーティストのシアスター・ゲイツによる、イギリス・ロンドンの、2022年のサーペンタイン・パヴィリオン「ブラック・チャペル」です。
毎年1組の設計者が選ばれ夏の期間公開される建築です。作家は、自身の思想の表現と人々の癒しになる事を求めて、様々な伝統建築や芸術家による空間を参照し自身のルーツを組合せ構想しました。また、デイビッド・アジャイ事務所の建築的支援により実現されました。
このパヴィリオンの企画は2000年に始まったもので、これまではレム・コールハース等の世界的建築家が指名されてきました。また、日本人建築家の選出も多く、伊東豊雄(2002年)、SANAA(2009年)、藤本壮介(2013年)、石上純也(2019年)が設計を手掛けました。
こちらはリリーステキストの翻訳
シカゴ在住のアーティスト、シアスター・ゲイツが設計した21番目のサーペンタイン・パヴィリオン「ブラック・チャペル」が、2022年6月10日にオープンします。ブラック・チャペルは、アジャイ・アソシエイツの建築的支援により実現され、ゴールドマン・サックスは8年連続でこの年次プロジェクトを支援しています。聖なる音楽に重点を置き、集い、瞑想し、参加するための空間として構想されたブラック・チャペルは、夏以降、サーペンタインのライブプログラムのプラットフォームとして、市民に内省、つながり、喜びを提供します。パヴィリオンのオープンを記念して、2022年6月8日にシアスター・ゲイツとサー・デイビッド・アジャイ・OBEがハンス・ウルリッヒ・オブリストと対談し、アート、建築、都市、空間作りにおける彼らの仕事を探ります。
第21回サーペンタイン・パヴィリオン「ブラック・チャペル」
ブラック・チャペルは、アーティストの活動の基盤となる建築的タイポロジーの多くからインスピレーションを得ています。イギリスのストーク・オン・トレントのボトル窯、アメリカ西部の蜂の巣窯、サンピエトロやローマのテンピエット、カメルーンのムスグム族の泥小屋やウガンダのカンパラのカサビ墓などアフリカの伝統的な建築構造などが参考にされているそうです。
テキサス州ヒューストンのロスコ・チャペルの超越的な環境に惹かれたゲイツは、ブラック・チャペルのために新しいタールペインティングのシリーズを制作しました。ゲイツの手と感性が反映された空間を作ることを決意し、7枚のパネルが内部の構造体から吊り下げられています。これらの作品では、ゲイツは屋根職人であった父親の技術に敬意を表し、屋根材を加熱して表面に貼り付けるトーチダウン(直火を必要とする方法)や屋根材の構法を用いています。
パヴィリオンの入り口横には、かつてシカゴのサウスサイドにあったランドマーク的存在のカトリック教会、セント・ローレンス教会から引き取った、稼働中のブロンズの鐘が設置されています。この歴史的な鐘は、都市部における集会や精神的な交流の場が失われていることを強調し、夏のイベント期間中、集会、信徒、瞑想への呼びかけの役割を担います。
シアスター・ゲイツは次のように述べています。
「ブラック・チャペルという名前は、私の芸術活動の目に見えない部分を反映しているという意味で、重要です。聖なる音楽と聖なる芸術が私の活動に果たしてきた役割と、これらの感情的で共同的な取り組みが持つ集団的な質を認めているのです。また、ブラック・チャペルは、このような時代に、一日のプレッシャーから解放され、静かに過ごすことのできる空間が存在し得ることを示唆しています。私は常々、人々が深い内省と深い参加の空間に入ることを可能にする、癒しのメカニズムや感情的な力としての音や音楽の力を考慮した空間を作りたいと考えています」
サーペンタイン・パビリオン2022は、毎日午前10時から午後6時まで開館しています(※会期は2022/6/10-10/16)。
ゲイツのサーペンタイン・パビリオン2022:ブラック・チャペルは、ホワイトチャペル・ギャラリー(2021年9月~2022年1月)、ホワイトキューブ(2021年9月~10月)での展示とV&Aでの2年間のリサーチプロジェクトを特徴とする複数の機関によるプロジェクト、The Question of Clayに続くものです。
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シアスター・ゲイツ
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以下、リリーステキストです。
The 21st Serpentine Pavilion, Black Chapel, designed by Chicago-based artist Theaster Gates opens on 10 June 2022. Black Chapel is realised with the architectural support of Adjaye Associates with Goldman Sachs supporting the annual project for the eighth consecutive year. Conceived as a space for gathering, meditation and participation, with an emphasis on sacred music, Black Chapel a platform for Serpentine’s live programme throughout the summer and beyond, offering reflection, connection and joy to the public.
To mark the opening of the Pavilion, Theaster Gates and Sir David Adjaye OBE will be in conversation with Hans Ulrich Obrist on 8 June 2022, which will explore their work in art, architecture, urbanism and space-making.
Black Chapel, the 21st Serpentine Pavilion:
Black Chapel draws inspiration from many of the architectural typologies that ground the artist’s practice. The structure references the bottle kilns of Stoke-on-Trent in England, the beehive kilns of the Western United States, San Pietro and the Roman tempiettos and traditional African building structures such as the Musgum mud huts of Cameroon and the Kasabi Tombs of Kampala, Uganda.
Drawn to the transcendental environment of the Rothko Chapel in Houston, Texas, Gates has produced a series of new tar paintings especially for Black Chapel. Determined to create a space that reflects the artist’s hand and sensibilities, seven panels hang from the interior structure. In these works, Gates honours his father’s craft as a roofer and uses roofing strategies and torch down, which requires an open flame to heat the material and affix it to the surface.
An operating bronze bell, salvaged from St. Laurence, a landmark Catholic Church that once stood in Chicago’s South Side, stands next to the entrance of the Pavilion. Underscoring the erasure of spaces for convening and spiritual communion in urban communities, the historic bell acts as a call to assembly, congregation and contemplation throughout the summer’s events.
Theaster Gates said: “The name Black Chapel is important because it reflects the invisible parts of my artistic practice. It acknowledges the role that sacred music and the sacred arts have had on my practice, and the collective quality of these emotional and communal initiatives. Black Chapel also suggests that in these times there could be a space where one could rest from the pressures of the day and spend time in quietude. I have always wanted to build spaces that consider the power of sound and music as a healing mechanism and emotive force that allows people to enter a space of deep reflection and deep participation.”
The Serpentine Pavilion 2022 is open every day from 10am to 6pm.
Gates’ Serpentine Pavilion 2022: Black Chapel follows The Question of Clay, a multi-institution project featuring exhibitions at Whitechapel Gallery (September 2021 – January 2022), White Cube (September – October 2021) and a two-year long research project at the V&A.