SHARE 亀田潤+佐々木洸奈 / STUDIO ALUCによる、東京・世田谷区の住戸改修「K-HOUSE」。デザイナーの自邸。限られた面積の中で最大限の広さを感じる構成を求めて、長手方向への視線の抜けと間接照明で空間の繋がりと奥行きを強調。水墨画に見立てた“モルタル壁”と“床板”で芸術的な感性を喚起
亀田潤+佐々木洸奈 / STUDIO ALUCが設計した、東京・世田谷区の住戸改修「K-HOUSE」です。
デザイナーの自邸です。デザイナーは、限られた面積の中で最大限の広さを感じる構成を求めて、長手方向への視線の抜けと間接照明で空間の繋がりと奥行きを強調しました。また、水墨画に見立てた“モルタル壁”と“床板”で芸術的な感性を喚起する事も意図されました。
STUDIO ALUCの亀田潤・佐々木洸奈が住まう、中古マンションのリノベーションプロジェクト。
60㎡という限られた面積の中で可能な限り広さを感じることのできるよう、無駄のない効率的な空間構成が求められた。
住宅としての機能を満たすだけでなく、ささやかな暮らしの豊かさが感じられるよう工夫を凝らしている。
天井の低い空間で効果的に広さを感じられるよう壁を取り払い、キッチンからリビングダイニングまで視線が通る構成にした。さらに間接照明を連続させることで空間の繋がりと奥行きを強調している。また人のコミュニケーションにおいてもオープンでスムーズになり開放的な印象となった。
ダイニングはその中央部に位置し、ビックテーブルが生活の中心となっている。意匠性が強い“椅子”は置かず、大型ソファを造作し座面下を収納にすることで、生活感が生まれにくいミニマムな空間づくりを目指した。
現代の居住空間に日本人の芸術的な感性を呼び起こす装置として「床板」を設置。
自由に花や器をしつらえて、季節の移ろいを愛でることができる。床板の存在は空間に余白を生み出し、精神的な安らぎと静けさを与えてくれる。移ろいゆく光と影に意識をかたむけ、アートを鑑賞するための背景となるようマテリアルはモノトーンに統一した。
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以下、デザイナーによるテキストです。
STUDIO ALUCの亀田潤・佐々木洸奈が住まう、中古マンションのリノベーションプロジェクト。
60㎡という限られた面積の中で可能な限り広さを感じることのできるよう、無駄のない効率的な空間構成が求められた。
住宅としての機能を満たすだけでなく、ささやかな暮らしの豊かさが感じられるよう工夫を凝らしている。
天井の低い空間で効果的に広さを感じられるよう壁を取り払い、キッチンからリビングダイニングまで視線が通る構成にした。
さらに間接照明を連続させることで空間の繋がりと奥行きを強調している。また人のコミュニケーションにおいてもオープンでスムーズになり開放的な印象となった。
ダイニングはその中央部に位置し、ビックテーブルが生活の中心となっている。意匠性が強い“椅子”は置かず、大型ソファを造作し座面下を収納にすることで、生活感が生まれにくいミニマムな空間づくりを目指した。
現代の居住空間に日本人の芸術的な感性を呼び起こす装置として「床板」を設置。
自由に花や器をしつらえて、季節の移ろいを愛でることができる。床板の存在は空間に余白を生み出し、精神的な安らぎと静けさを与えてくれる。
移ろいゆく光と影に意識をかたむけ、アートを鑑賞するための背景となるようマテリアルはモノトーンに統一した。
キッチンからリビングダイニングまで続く約9mの壁は、解体工事によって現れたモルタル壁だ。気になる汚れを一部墨入りパテでラフに補修し、抽象的な「水墨画」に見立てている。
日常の暮らしに目を向け、美しい情景と時間を感じるための空間。
■建築概要
題名:K-HOUSE
所在地:東京都世田谷区
用途:住宅(マンションリノベーション)
階数:1階部分 / 地上5階建
構造:RC造
設計:STUDIO ALUC
担当:亀田潤 佐々木洸奈
協力:モデュレックス(照明計画)、清水工芸(造作家具)、VOICE香内斉(装花)
延床面積:60.50㎡
設計:2019年7月~10月
工事:2019年9月~11月
竣工年月:2019年12月
写真:淺川敏
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 床 | セラミックタイル貼仕上 バサルト・サビーア TL88431S(サンワカンパニー) |
内装・壁 | 壁面 | AEP塗装仕上[日塗工J25-76B] |
内装・壁 | リビングダイニング側壁面 | 既存クロス撤去、既存モルタル金鏝押さえ+補修跡残し |
内装・壁 | キッチン前壁面 | 既存クロス撤去、既存モルタル金鏝押さえ+補修跡残し+ウレタンクリア塗装仕上 |
内装・造作家具 | 特注床板 | MDF下地ウレタン塗装仕上 / N-95 / 全ツヤ |
内装・造作家具 | 特注造作ソファ | 張地 Hallingdal65 143(Kvadrat)[座面下は収納] |
内装・家具 | 特注テーブル | 木下地突板練付仕上[特注色グレー染色仕上] |
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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません
To inherit and reinterpret traditional Japanese aesthetics to modernity is our mission. This was the case too, when renovating a 60sqm 3-bedroom floor plan into a single bedroom flat for the resident couple. With limited budget and space, it was our challenge to suggest an efficient way to utilize the given space, while depicting subtle abundance of living with quality and originality.
We built in storage under the L-shaped sofa seats which stretches vastly from the kitchen. The storage amount increased by double compared to similar sized flats. To add a spacious feel despite the low ceiling, we installed background lighting throughout the room, to accentuate the continuity.
Inspired by Junichiro Tanizaki’s essay “In Praise of Shadows”, we carefully chose the overall gray tone, so the delicate transition of light could be sensed through the day. This is also a factor to feel the space’s abundance in width, highlighting the existence of household features.
Minimality creates blank space with peaceful tranquility. This essential idea in Japanese aesthetics was symbolically adapted to “tokoita” (board) and the mortar wall which appeared during preconstruction.
In traditional housings, there was a specific area called a “tokonoma”, to exhibit flower vases and scrolls upon a tokoita to celebrate the shifting seasons. Just by installing a board, this modern tokoita is a simple way to evoke Japanese sensuality in modern living.
The mortar wall was repaired to the minimum, letting it exist as it is with similar artistic abstractness to Japanese ink painting.