スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる 東棟 photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる 東棟 photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる 西棟 photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる 西棟 photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattori が設計した、京都市の「Row House in Nishinotoin」です。
三軒長屋の両端二軒を改修する計画です。建築家は、環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入しました。そして、“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる事が意図されました。施設の公式サイトはこちら 。
京都旧市街、2本の通りを結ぶ路地に面した築80年ほどの3軒長屋。この計画は、そのうちの両端、空き家となっていた2軒の改修である。
新築・改修の別に関わらず、設計対象とそれを取り巻く周辺環境をいかに接続するか、ということを考えながらこれまでの設計活動を行ってきた。一方、この敷地のように物理的コンテクストの豊かな都市空間における改修計画の場合、既に設計対象と関係を取り結ぶべき要素が至るところに溢れている。
そういった与条件の中にあっては、丁寧に関係を繋いでいき、周辺環境に馴染んだ空間をつくるのみに留まらず、何か「その場の何物とも結びつかない空間」を挿入することで、より一層空間に拡がりをもたせることができるのではないかと考えた。
諸室においては土や漆喰で仕上げられた真壁造りの既存部をなぞるように、形状・質感・色味といった要素を整えていく。
同時に、それらの重心に、路地・長屋の文脈から切り離された、比較的大きな気積をもった室を挿入する。「広間」と名付けたこの室は、既存の物質たちからアルミアングルの見切材で縁を切られ、シルバーの大壁で覆われた抽象度の高い空間となっている。
唐突に埋め込まれ、周囲との関係を拒絶するこの空間によって、建物内外の空間同士の距離感に歪みが生じる。諸室と通り土間、よく見慣れたはずの窓越しの風景も、広間を介すことで、どこか遠くの風景を眺めているような感覚を覚える。
東棟
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スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
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スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる 東棟 photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
西棟
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スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる 西棟 photo©玉村広雅
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
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スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
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スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる photo©玉村広雅
図面
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スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる image©Schenk Hattori
スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriによる、京都市の「Row House in Nishinotoin」。三軒長屋の両端二軒を改修。環境に建築を馴染ませ“より一層空間の拡がり”を生む為に、“何物とも結びつかない”存在としての“シルバー”の“広間”を挿入。“接続”と“断絶”を内包し関係性を変容させる image©Schenk Hattori
以下、建築家によるテキストです。
京都旧市街、2本の通りを結ぶ路地に面した築80年ほどの3軒長屋。この計画は、そのうちの両端、空き家となっていた2軒の改修である。
新築・改修の別に関わらず、設計対象とそれを取り巻く周辺環境をいかに接続するか、ということを考えながらこれまでの設計活動を行ってきた。一方、この敷地のように物理的コンテクストの豊かな都市空間における改修計画の場合、既に設計対象と関係を取り結ぶべき要素が至るところに溢れている。
そういった与条件の中にあっては、丁寧に関係を繋いでいき、周辺環境に馴染んだ空間をつくるのみに留まらず、何か「その場の何物とも結びつかない空間」を挿入することで、より一層空間に拡がりをもたせることができるのではないかと考えた。
まず2棟の共通事項として、長年の増改築で失われた通り土間を再配置する。これにより「アスファルト敷きの表通り」から「石畳の残る路地」を経て「土のままの通り土間」へと、質を変えながらシームレスに続く地面のシークエンスによって、都市との連続性を取り戻す。
諸室においては土や漆喰で仕上げられた真壁造りの既存部をなぞるように、形状・質感・色味といった要素を整えていく。
同時に、それらの重心に、路地・長屋の文脈から切り離された、比較的大きな気積をもった室を挿入する。「広間」と名付けたこの室は、既存の物質たちからアルミアングルの見切材で縁を切られ、シルバーの大壁で覆われた抽象度の高い空間となっている。
唐突に埋め込まれ、周囲との関係を拒絶するこの空間によって、建物内外の空間同士の距離感に歪みが生じる。諸室と通り土間、よく見慣れたはずの窓越しの風景も、広間を介すことで、どこか遠くの風景を眺めているような感覚を覚える。
京都の旧市街、路地に面した3軒長屋という強い文脈をもつ与条件への特殊解として、接続と断絶の両者を内包させることで、周辺環境までを含めた建物内外の関係性を変容させる。その結果として「ここではないどこか」との接続までを予感させる、そんな拡がりのある空間体験を目指した。
(服部大祐)
ディテールとマテリアルとテクスチャー
京町家では、木・紙・土・石といった自然素材が多く用いられ、これらの素材は時間の経過と共に経年変化し、その時間の重なりが大きな魅力のひとつとなっている。
この京町家に家具を制作するにあたり、やがて劣化してしまう機能性塗料で木材を覆ってしまうのではなく、化学変化による木材の変色や、経年による組成の変化をそのまま仕上げにできないかと考えた。
スギを主材としたマテリアルと仕上げ方のリサーチと実験を行い、スギ・神代スギ・スギ合板・スギストランドボードというマテリアルに対し、うづくり・銀箔押し・和紙貼り・鉄媒染といった複数の仕上げ方を試みている。
棚については、棚板と角材、楔による分解可能なディテールを設計した。角材と楔は共通の仕様とし、棚板は室によって仕上げ方を変えている。角材と楔によるディテールと、スギというマテリアルのフォーマットが、それぞれの室に呼応する棚板のテクスチャーを繋ぎ止めている。
時間の経過と共に、木材は飴色に変化し、銀箔はゆっくりと酸化し、和紙は擦れてうづくりした木地が少しずつ露わになってくる。竣工時をもって完成とするのではなく、これからの生活や補修といった時間を内包するような家具のあり方を目指した。
(甲斐貴大)
■建築概要
プロジェクト名:Row House in Nishinotoin
所在地:京都市
プログラム:オフィス・ギャラリー
意匠設計:Schenk Hattori 担当/服部大祐、服部さおり
家具設計:studio arche 担当/甲斐貴大
構造アドバイス:柳室純構造設計 担当/柳室純
企画:魚谷繁礼
施工:はたの建築所 担当/波多野哲也
敷地面積:82.57m2(東棟:38.44m2、西棟:44.13m2)
建築面積:80.06m2
延床面積:105.78m2
1階:80.06m2(東棟:37.26m2、西棟:42.80m2)
2階:25.72m2(東棟:12.86m2、西棟:12.86m2)
竣工:2022年2月
写真:玉村広雅
建材情報 種別 使用箇所 商品名(メーカー名) 外装・屋根 屋根 既存瓦葺き
外装・壁 外壁 既存土壁塗り
既存タイル貼り
外装・建具 開口部 木製建具
既存アルミサッシ
内装・床 通り土間床 既存地面現し
内装・床 広間1床 モルタル金鏝仕上げ
内装・床 広間2床 三和土仕上げ
内装・床 室1床 構造用合板 t=24mm OSUC塗装
内装・床 室2・室3・室4床 杉無垢フローリング t=15mm(丸嘉 )
内装・壁 通り土間壁 既存土壁・漆喰塗り
土壁中塗り仕上げ
内装・壁 広間1壁 PB t=12.5mm シルバー塗装
既存漆喰塗り
内装・壁 広間2壁 PB t=12.5mm シルバー塗装
土壁中塗り仕上げ
内装・壁 室1壁 構造用合板 t=12mm OS塗装
内装・壁 室2壁 既存土壁塗り、PB t=12.5mm AEP塗装
内装・壁 室3壁 高圧木毛セメント板 t=15mm 目透し貼り(竹村工業 )
内装・壁 室4壁 既存土壁塗り
内装・天井 通り土間天井 既存天井荒板現し
内装・天井 広間1天井 PB t=9.5mm シルバー塗装
内装・天井 吹抜け上部天井 既存床梁現し
既存垂木トントン現し
内装・天井 室1天井 構造用合板 t=12mm OS塗装
内装・天井 室2天井 既存天井荒板現し
内装・天井 室3天井 構造用合板 t=12mm OS塗装
内装・天井 室4天井 既存天井下地板 表面サンダー掛けの上OS塗装
内装・建具 広間2建具 既存木製引戸
内装・造作家具 広間1造作家具 カウンタートップ:既存天井荒板転用
造作カウンター脚:黒皮鉄 t=9mm 蜜蝋ワックス塗り
ベンチ:モルタル金鏝仕上げ
既存天井荒板転用 表面カンナ掛けの上OSUC塗装 室1造作家具 カウンタートップ:既存天井荒板転用 表面カンナ掛けの上OSUC塗装
内装・金物 造作柱脚金物 黒皮鉄 t=9mm蜜蝋ワックス塗り
内装・その他 階段 階段踏板:モンキーポッド無垢材 t=30 クリア塗装
階段ささら桁:黒皮鉄 t=9mm蜜蝋ワックス塗り
箱階段:ラワン合板 t=4mm OSUC塗装
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