二俣公一 / ケース・リアルが基本設計・全体監修した、兵庫・豊岡市の「玄武洞公園整備計画」です。実施設計はキタイ設計と松田一級建築士事務所が担当しています。
景勝地として親しまれる場の再整備計画です。建築家は、自然の彫刻と呼ばれる“柱状節理”の見せ方を主題として、様々な要素の形と色彩や素材を考慮しました。そして、“再編集”の整備で自然の迫力を体感できる環境を作る事が意図されました。施設の公式サイトはこちら。
大きなうねり模様に、無数のスジが入ったようなゴツゴツした岩肌。六角形の岩の断面が、幾重にも連なる硬い岩壁。兵庫県の日本海側に位置する豊岡市の「玄武洞公園」は、約160万年前のマグマが冷え固まるときに出来た「柱状節理」と呼ばれる特徴的な地形が見られる自然公園である。
今回の計画は、長年に渡って景勝地として親しまれてきたこの公園の入園有料化に伴う再整備計画であった。
計画を進める上で最も議論されたのは、「自然の彫刻」とも呼ばれる柱状節理の迫力を、来園者にいかにして感じてもらうかであった。そして、既存の公園の要素をどの程度残しながら新たに手を加えていくか、そのバランスが議論された。
整備の軸となったのは、「玄武洞」「青龍洞」という公園内でも特にスケールのある柱状節理が見られる洞の前に、コンクリートで出来た大きな「基壇(ステージ)」を設けたことである。それぞれの基壇の前方にはベンチを設け、目の前の洞を見上げるように自然と対峙出来る居場所を作った。
さらに、基壇やベンチの表面はブラスト加工で荒らして表情をつけ、コンクリート製でありながらも自然と相性の良い仕上げを意識した。公園内をめぐる園路にも同じ素材や仕上げを使用し、曲線や直線を用いて造作することで、自然の有機的なラインとコントラストをつけた。