栗生明+北川・上田総合計画と小石川建築 / 小石川土木が設計した、静岡・袋井市の「静岡理工科大学土木工学科棟・ 土木工学実験棟 」です。
建築学科棟の隣に計画された土木学科の校舎です。建築家は、“土木と建築の融合”を目指し、隣接建物との“対比と一体性を同時に表現する形態”を志向しました。そして、“面”と“ヴォリューム”の構成で“量感ある”建築を作る事が意図されました。施設の公式サイトはこちら。
土木工学科棟は県内で初めて創設される土木分野専門の学科の校舎として計画されました。
キャンパスモールを主軸とした全体計画との調和や、隣接する建築学科棟との接続による建築・土木分野の融合、土木工学の各分野の横断的な交流が求められました。
「土木と建築の融合」を目指し、建築学科棟と隣り合う土木工学科棟は、両者の対比と一体性を同時に表現する形態を構想しました。
3つのRCコアが2.7mグリッドのワッフルスラブを支える構成とし土木的スケールを表現しています。樹状の柱やルーバーなど繊細な〈線〉の集積で丁寧に表現された建築学科棟に対して、土木工学科棟は〈面〉や〈ボリューム〉で構成し、シンボリックで量感ある意匠を目指しました。
土木的スケールの建築のもとに広がる大らかな居場所が、充実した学生生活・研究活動の支えとなることを願っています。
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以下、建築家によるテキストです。
静岡県初の土木工学科の新設
土木工学科棟は県内で初めて創設される土木分野専門の学科の校舎として計画されました。
キャンパスモールを主軸とした全体計画との調和や、隣接する建築学科棟との接続による建築・土木分野の融合、土木工学の各分野の横断的な交流が求められました。
土木的スケールの構造で建築学科棟と対をなす
「土木と建築の融合」を目指し、建築学科棟と隣り合う土木工学科棟は、両者の対比と一体性を同時に表現する形態を構想しました。
3つのRCコアが2.7mグリッドのワッフルスラブを支える構成とし土木的スケールを表現しています。樹状の柱やルーバーなど繊細な〈線〉の集積で丁寧に表現された建築学科棟に対して、土木工学科棟は〈面〉や〈ボリューム〉で構成し、シンボリックで量感ある意匠を目指しました。
開放的なワンルームでつながる分野横断の研究スペース
1階は多目的作業、プレゼンテーションのできる「対話・協働・発表のフロア」。2階は教室で構成される「知識学習のフロア」。3・4階は、ワッフルスラブの下の開放的なワンルームに研究スペースが展開される「知的交流・研究創造のフロア」です。
研究室の単位で部屋を区切るのではなく、ランダムに分散した教員室の周囲に研究スペースやラウンジを有機的に配置することで、土木の各分野の交流という要望に応えました。また、緑豊かな周辺環境をどこからも感じられるよう、教員室の開口部や欄間を通して屋外へ視線が抜ける透明性の高い計画としています。
芝広場と土木工学実験棟
土木工学科棟に併せて実験棟も計画しました。土木工学科実験棟と既存の建築実験棟が「群」として感じられるよう、建築実験棟の意匠を引き継ぎながらボリューム検討や共通の仕上げを採用しています。土木工学科棟との間にはキャンパス全体を見渡しながら学生が集える芝広場を計画し、そこに面する実験棟のコーナーは学生の居場所にもなるよう深い庇を設けて全開放できる折れ戸を採用しました。
土木的スケールの建築のもとに広がる大らかな居場所が、充実した学生生活・研究活動の支えとなることを願っています。
(北川典義/栗生明+北川・上田総合計画)
■建築概要
題名:静岡理工科大学土木工学科棟・ 土木工学実験棟
所在地:静岡県袋井市豊沢2200-2
主用途:大学
設計:栗生明、北川典義、上田一樹 / 栗生明+北川・上田総合計画
石川典貴、小引寛也 / 小石川建築 / 小石川土木
構造:レン構造設計事務所
設備:ZO設計室
土木:町田設計
施工:鈴与建設
敷地面積:196,999.51m2
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土木工学科棟
構造:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、一部プレストレストコンクリート造(ポストテンション方式)
階数:地上4階
建築面積:1,175.85㎡
延床面積:3,294.83㎡
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土木工学実験棟
構造:鉄骨造
階数:地上2階
建築面積:460.95㎡
延床面積:483.35㎡
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設計:2019年10月~2021年1月
工期:2021年2月~2022年10月
竣工:2022年10月
写真:ナカサアンドパートナーズ、新建築社