久保秀朗+都島有美 / 久保都島建築設計事務所が設計した、神奈川・湯河原町の宿泊施設「水鏡の離れ」です。
温泉街の中心から離れた山深い敷地に計画されました。建築家は、変化する自然風景を“最大限生かす”在り方を目指し、周囲を写し込む“鏡の様な”天井と“川に向かい開く”平面構成を考案しました。また、仕上げや設備等も川の景色を際立たせるよう選定されました。施設の公式サイトはこちら。
敷地は奥湯河原と呼ばれる、湯河原温泉街の中心から離れた山深いエリアにある。
温泉を湧出する藤木川に面するこの土地を訪れ、藤木川の美しいせせらぎと、季節ごとに変化する自然の風景を最大限に生かした建物にすることを考えた。
川の風景を最大限に取り込むため、建物形状は川側に開いたハの字状の平面計画とした。建物の偏心率を抑えるために両端部に必要最小限の耐力壁をつくり、残りはすべて開口にしている。1階を浴場、2階をリビング、3階を寝室という構成で、すべての居室が川との一体感を感じられる配置にすることができた。
室内の仕上げや設備機器をダークトーンにし、端部の耐力壁のまわりには三角形の平面形状のパイプスペースを設け、壁の凹凸に設備機器を整理して配置することで、設備機器が建築と一体となるようにし、室内の視覚的情報を減らして、川の風景だけが際立つようにした。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は奥湯河原と呼ばれる、湯河原温泉街の中心から離れた山深いエリアにある。
温泉を湧出する藤木川に面するこの土地を訪れ、藤木川の美しいせせらぎと、季節ごとに変化する自然の風景を最大限に生かした建物にすることを考えた。
川の風景を最大限に取り込むため、建物形状は川側に開いたハの字状の平面計画とした。建物の偏心率を抑えるために両端部に必要最小限の耐力壁をつくり、残りはすべて開口にしている。1階を浴場、2階をリビング、3階を寝室という構成で、すべての居室が川との一体感を感じられる配置にすることができた。
室内の仕上げや設備機器をダークトーンにし、端部の耐力壁のまわりには三角形の平面形状のパイプスペースを設け、壁の凹凸に設備機器を整理して配置することで、設備機器が建築と一体となるようにし、室内の視覚的情報を減らして、川の風景だけが際立つようにした。
天井は反射率の高い素材にすることで、川の流れや木々の動きをダイナミックに映し込む鏡のようにしている。揺れ動く木々や川のせせらぎが瑞々しく写し出され、幻想的な空間を作り出している。
■建築概要
施設名:水鏡の離れ
所在地:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上字広河原683-8
建築主:武蔵コーポレーション株式会社
設計監理:株式会社久保都島建築設計事務所(久保秀朗、都島有美、今江周作)
設備設計:有限会社ZO設計室
構造設計:田村愛構造設計工房
施工:株式会社シンセイコーポレーション
延床面積:81.57㎡
設計期間:2021年8月~2022年8月
工事期間:2022年8月~2022年12月
開業:2023年2月
撮影:小野寺宗貴写真事務所