SHARE 九州大学岩元真明研究室とICADA / 岩元真明による、福岡市の「九州大学ペーパーラボ」。折紙の実験室の為の内装計画。機器作業の場所を間仕切るという与件に、依頼者開発の“折紙の数理を応用した”素材を用いる設計を志向。“ハニカムパネル”で製作した“フスマ”は複雑な視覚効果も生み出す
九州大学岩元真明研究室とICADA / 岩元真明が設計した、福岡市の「九州大学ペーパーラボ」です。
折紙の実験室の為の内装計画されました。建築家は、機器作業の場所を間仕切るという与件に、依頼者開発の“折紙の数理を応用した”素材を用いる設計を志向しました。そして、“ハニカムパネル”で製作した“フスマ”は複雑な視覚効果も生み出します。
九州大学ペーパーラボは折紙の工学的応用を追求する実験室である。レーザーカッターや3Dプリンターといったデジタルファブリケーション機器を日常的に用いるため、これらの機器作業スペースをパーティションで仕切ることが設計の与件であった。
ペーパーラボ主宰者の斉藤一哉講師は折紙の数理を応用したアルミのハニカムパネルを開発していた。そこで、新素材である折紙式ハニカムパネルを使用して「フスマ」をつくり、デジタルファブリケーション作業室を囲うことを考えた。
折紙式ハニカムパネルは1枚のアルミシートに周期的なスリットと折線を入れ、折り曲げ加工することによって作られる。現在普及している展張式ハニカムパネルに比べて精度が高く、半透明材としての可能性を秘め、曲線形やテーパー形などの複雑な形状も作り出せるのが特徴である。
ペーパーラボの設計ではセルの仕切りがパネル面に対して45度傾斜した斜角形パネルを使い、6枚のフスマをつくってデジタルファブリケーション作業室を囲った。斜角形ハニカムパネルはわずか2.5cmの厚みのなかで複雑な反射・透過・遮蔽の効果を生み出す。透明性は見る角度によって変化し、真正面から見ると不透明であるが、斜めから見ると向こう側が透ける。また、ハニカムセル内での反射によって像が多重になるという独特の視覚的効果が生じる。
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以下、建築家によるテキストです。
複雑な反射・透過・遮蔽の効果を生み出す折紙式ハニカムパネル
九州大学ペーパーラボは折紙の工学的応用を追求する実験室である。レーザーカッターや3Dプリンターといったデジタルファブリケーション機器を日常的に用いるため、これらの機器作業スペースをパーティションで仕切ることが設計の与件であった。
また、ペーパーラボ主宰者の斉藤一哉講師は折紙の数理を応用したアルミのハニカムパネルを開発していた。そこで、新素材である折紙式ハニカムパネルを使用して「フスマ」をつくり、デジタルファブリケーション作業室を囲うことを考えた。
折紙式ハニカムパネルは1枚のアルミシートに周期的なスリットと折線を入れ、折り曲げ加工することによって作られる。現在普及している展張式ハニカムパネルに比べて精度が高く、半透明材としての可能性を秘め、曲線形やテーパー形などの複雑な形状も作り出せるのが特徴である。
ペーパーラボの設計ではセルの仕切りがパネル面に対して45度傾斜した斜角形パネルを使い、6枚のフスマをつくってデジタルファブリケーション作業室を囲った。斜角形ハニカムパネルはわずか2.5cmの厚みのなかで複雑な反射・透過・遮蔽の効果を生み出す。透明性は見る角度によって変化し、真正面から見ると不透明であるが、斜めから見ると向こう側が透ける。また、ハニカムセル内での反射によって像が多重になるという独特の視覚的効果が生じる。
ハニカムパネルの面材には、太陽工業の協力を得て高機能フッ素系フィルム(ECTFE)を実験的に採用した。これは従来のフッ素系フィルム(ETFE) 以上に透過度の高く、耐候性も優れた新しい膜素材である。ハニカムのフスマは1枚約4.5kgと軽量であるため、鴨居と敷居の間を滑る一般的な納まりを採用し、2枚のフスマが合わさる出隅部分が「トメ」になるようパネルのディテールを工夫した。
■建築概要
題名:九州大学ペーパーラボ
所在地:福岡県福岡市
設計:九州大学岩元真明研究室+ICADA / 岩元真明
設計者:岩元真明、中元翔一
折紙工学:斉藤一哉
施工:ズーム
折紙ハニカムパネル製作:城山工業、太陽工業
面積:51.09m2
竣工:2020年3月
写真:八代写真事務所
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・天井 | 天井 | 塩化ビニルシート貼り:KT-3030(加藤) |
内装・建具 | ハニカムスクリーン | 折り紙式アルミハニカムコア(城山工業) |
内装・造作家具 | カウンター | 木下地に紙ポリボード:アコスターポリボード(アコス工業) |
内装・造作家具 | テーブル | 既存家具天板にリノリウム貼り:ファーニチャーリノリウム 4177 Vapour(フォルボ) |
内装・金物 | 固定棚ブラケット |
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The project is an interior design of Origami-Engineering Laboratory at Faculty of Design, Kyushu University.
A newly developed “origami-type” aluminum honeycomb panel was utilized to create “fusuma” (Japanese style sliding door) to enclose a small digital fabrication workshop.
Origami honeycomb panel is made of an aluminum sheet with periodic slits and folded lines. When this sheet is folded, a three-dimensional honeycomb shape is created. Compared to the conventional expanded honeycomb, this origami honeycomb is more precise and therefore have the potential to be exposed. Furthermore, by adjusting the geometry of origami, it is possible to create complex shapes such as an oblique, tapered, or curved panel.
For Paper Lab, we utilized the oblique honeycomb panels, whose cell dividers incline at 45 degrees to the panel surface. ECTFE film was experimentally used as the face material for the honeycomb cores. It is a new membrane material with high transparency and weather resistance. The honeycomb “fusuma” is lightweight, weighing only 4.5 kg each, and uses the same simple details as Japanese fusuma.
Combining oblique honeycomb panels and highly transparent membrane, this “fusuma” sliding panels produce complex visual effects; reflective, transmissive, and shielding effects in a thickness of only 25 mm. Its transparency change depending on the viewing angle. They are opaque when viewed from the front, but they appear to be transparent when viewed from an oblique angle. The reflection in the honeycomb cell created a unique visual effect of multiple images.
Kyushu University Paper-lab
Location: Fukuoka, Japan
Program: Laboratory
Designer: Masaaki Iwamoto, Shoichi Nakamoto / Masaaki Iwamoto Laboratory, Kyushu University
Origami Engineer: Kazuya Saito
Collaborator: ICADA
Contractor: ZOOM
Origami panel manufacturer: Shiroyama Industry Company, Taiyo Kogyo
GFA: 51.09m2
Status: Built in 03.2020
Photographer: Yashiro Photo Office