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2023.5.30Tue
2023.5.29Mon
2023.5.31Wed
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能
photo©Daria Scagliola

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architecture|feature
オランダMVRDV事務所研究施設複合施設
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola

MVRDVが設計した、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」です。
持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設です。建築家は、サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計しました。また、人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能します。

こちらはリリーステキストの翻訳です

解体されることを想定したデザイン:MVRDVが、実験的なソーシャルスペースを備えたオフィス兼研究所「マトリックス・ワン」を完成

アムステルダム・サイエンス・パークの中心に位置するMVRDV設計の研究所兼オフィスビル「マトリックス・ワン」が竣工しました。マトリックス・イノベーション・センターのメインハブとして、6階建て、13,000㎡のビルは、キャンパス内に重要なソーシャルスペースとアメニティを提供します。重要なこととして、このプロジェクトは、サステイナブルデザインの限界にも挑んでいます。解体可能な建設、「社会的階段」、スマート照明のための太陽光発電、大量の駐輪場など、あらゆる可能性からサステイナブルな考えを取り入れています。マトリックス・ワンは、アムステルダムの意欲的なエネルギー使用目標を達成し、BREAAM-Excellentの認定を受けています。このビルの利用者は、サステナビリティのソリューションにも取り組んでいます。アムステルダム大学のサステナラボは、ここで持続可能な未来のための技術に取り組んでいます。

マトリックス・ワンは、アムステルダム・サイエンス・パークの一部であるマトリックス・イノベーション・センターを構成する7つの建物の中で最大のもので、科学者や起業家が現在および将来の問題に対する持続可能な解決策に取り組んでいる場所です。マトリックス・ワン自体には、科学研究所とオフィスが混在しています。クアルコムを含むハイテク企業や、フォトノール、スカイツリー、スタートアップのFULフーズなどのサステイナビリティ企業です。

マトリックス・イノベーション・センターのメインの建物であるマトリックス・ワンは、アムステルダム・サイエンスパークやそれを越えて、他の建物のサステイナブルな模範となることを目指しています。建物は取り外し可能な設計になっています。ネジやボルトのようなシンプルな接合は、建物の各部を更新する際に取り外して再利用することを可能にします。建物の床においても、接合部のないプレハブのコンクリートスラブを使用することで、建物の寿命が尽きても再利用できるようにしています。Madasterというプラットフォームは、包括的なマテリアル・パスポート・システムを提供し、12万を超える個々の部品について、使用する素材や 製品、CO2貯蔵量を把握することができるようになっています。

屋上には1,000㎡のソーラーパネルがあり、建物のエネルギーの一部を発電しています。また、インターネットに接続された照明器具や暖房器具がエネルギー消費の削減に役立っています(重要な研究機器の電源は別回路で供給されます)。このように、発電とエネルギー消費の削減を組み合わせることで、建物自体が消費するエネルギーのかなりの割合を生産しているため、エネルギー性能に関するアムステルダムの野心的な目標を達成しているのです。

マトリックス・イノベーション・センターのメインの建物として、マトリックス・ワンはキャンパスのソーシャルハブとしての役割を担っています。MVRDVのデザインのカギとなる要素は、建物南角のメインエントランスのすぐ横にある大きな「社会的階段」で、これはキャンパス全体に見られるジグザグした小道の続きとして構想されています。この階段は、プレゼンテーション用のトリビューン型シート、インフォーマルなミーティング用のテーブル、コーヒーステーションを備えており、異業種のワーカーが交流し、アイデアを共有することを可能にします。MVRDVがup architectureと共同で開発したこのスペースのインテリアデザインには、ガラスファサードを通して見える複数の緑豊かな壁があり、他の場所では柔らかいフェルト仕上げが音の反響を劇的に減らし、ソーシャルスペースに穏やかで親密な雰囲気を与えています。

この社会的階段は、建物のアメニティによって補完されており、1階にはレストラン、階段の上部にはバーがあります。これらの社会的機能は「クラブ・マトリックス」を形成し、周囲のマトリックスビルの労働者が利用することができます。また、マトリックス・ワンが知識の創造と共有のための中心的な拠点となることを確証する、100席のオーディトリアムも備えています。

MVRDVのパートナー、フランツ・デ・ウィッテは述べています。
「マトリックス・ワンは、私たちがMVRDVで長年研究してきた炭素削減戦略の数々を試す絶好の機会でした」「この建物は今の最先端ですが、最先端が常に変化していることも認めています。そこで私たちは、内部空間とそれを支える技術設備の両方を、可能な限りフレキシブルに作り上げました。オフィスは簡単にラボに変更できますし、その逆もまた然りです、そしてラボは変わりゆく基準を受け入れて、簡単に新しいシステムに変更することが可能です。数十年後、この建物が最先端でなくなったとき、他の建物の材料を採取するための資源になるでしょう。私たちは、将来、すべてのビルがこのような仕組みになることを願っています。そして、マトリックス・ワンが私たちのオフィスの標準的な存在になることをわくわくしているのです」

また、マトリックス・ワンでは、利用者の健康的なライフスタイルを後押ししています。社会的階段の位置により、エレベーターを使わず、階段を使うことを促しています(エレベーターは建物の奥にあり、アトリウムからアクセスします)。建物の裏側には、アトリウムから直接アクセスできる駐輪場へのアクセスを含むセカンドエントランスがあり、この建物で働く人々が車の代わりに自転車で移動することを促しています。こうしたサステナビリティと健康への配慮の結果、この建物はBREEAM-Excellentの認定証を受けました。


以下の写真はクリックで拡大します

MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
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以下、リリーステキストです。


Designed to be dismantled: MVRDV completes Matrix ONE, an office and laboratory with experimental social spaces

The construction of Matrix ONE, the MVRDV-designed laboratory and office building in the heart of Amsterdam Science Park, is now complete. Serving as the main hub of the Matrix Innovation Center, the six-storey, 13,000-square-metre building provides the campus with key social spaces and amenities. Crucially, the project also pushes the envelope in sustainable design: from demountable construction, the “social stairs”, and solar energy generation to smart lighting and generous amounts of bicycle parking, it incorporates sustainable thinking from every possible angle. Matrix ONE meets ambitious Amsterdam targets for energy use and is certified BREAAM-Excellent. The building’s users are also working on sustainability solutions: the University of Amsterdam’s SustainaLab works here on technologies for a sustainable future.

Matrix ONE is the largest of seven buildings that now make up the Matrix Innovation Center, part of Amsterdam Science Park, where scientists and entrepreneurs work on sustainable solutions for current and future problems. Matrix ONE itself contains a mixture of science laboratories and offices for tech companies including Qualcomm and sustainability companies such as Photanol, Skytree, and the startup FUL Foods.

As the main building of the Matrix Innovation Center, Matrix ONE aims to be a sustainable example for the other buildings in Amsterdam Science Park and beyond. The building is designed to be demountable. Simple connections such as screws and bolts allow elements to be detached and reused when various parts of the building are updated; even the building’s floors are made using prefabricated concrete slabs with no fixed connections, allowing them to be reused at the end of the building’s lifespan. The platform Madaster provides a comprehensive material passport system to give insight into the materials and products used and the CO2 storage for over 120,000 individual components. As a result, over 90% of the building’s materials can be reused again later.

On the roof, 1,000 square metres of solar panels generate a portion of the building’s energy, while internet-connected lighting and heating fixtures help to reduce energy consumption (power for critical lab equipment runs on a separate circuit). With this combination of energy generation and reduced energy consumption, the building itself produces a significant proportion of the energy it consumes, and therefore meets the ambitious Amsterdam targets for energy performance.

As the main building of the Matrix Innovation Center, Matrix ONE serves as the social hub of the campus. A key element of MVRDV’s design is the large “social staircase” immediately next to the main entrance on the building’s southern corner, which is conceptualised as a continuation of the zig-zagging paths that are found throughout the campus. With tribune-style seating for presentations, tables for informal meetings, and coffee stations, these stairs bring together workers from different industries, allowing them to mingle and share ideas. The interior design for this space, developed by MVRDV in collaboration with up architecture, includes multiple lush green walls that are visible through the glass facade, while soft felt finishes elsewhere dramatically reduce sound reverberation, lending the social spaces a calm and intimate atmosphere.

This social staircase is complemented by the building’s amenities, with a ground floor restaurant and a bar at the top of the staircase. These social features form “Club Matrix”, available for use by workers from all of the surrounding Matrix buildings. The building also includes an 100-seat auditorium, confirming Matrix ONE as a central hub for the creation and sharing of knowledge.

“Matrix ONE offered an excellent opportunity for us to test a number of the carbon-reduction strategies we have long been investigating at MVRDV”, says MVRDV partner Frans de Witte. “The building is state-of-the-art now, but it also acknowledges that the state-of-the-art is constantly changing. So we made both the interior spaces and the technical installations that serve them as flexible as possible; offices can easily be modified to become labs and vice versa, and labs can be easily upgraded with new systems to accommodate changing standards. In the decades to come when the building is no longer cutting-edge, it will become a source to harvest materials from for other buildings. In the future, we hope this is how all buildings will work – and we’re excited to see Matrix ONE become a standard-bearer in our own office.”

Matrix ONE also encourages users to lead a healthy lifestyle: the location of the social stair encourages people to use the stairs instead of the elevators, which are found deeper inside the building, accessed via the atrium. On the rear of the building, a secondary entrance includes access to a bicycle parking facility that is directly accessible and visible from the atrium, encouraging those who work in the building to cycle instead of driving. As a result of all of these sustainability and health measures, the building has received BREEAM-Excellent certification.

■建築概要

Project Name: Matrix ONE
Location: Amsterdam, the Netherlands
Year: 2018–2023
Client: Matrix Innovation Center
Size and Programme: 13,000m2 – offices, laboratories, education spaces, restaurant
Sustainability certification: BREEAM-NL-Excellent
───
Credits
Architect: MVRDV
Partner: Frans de Witte
Design Team: Fedor Bron, Mick van Gemert, Roy Sieljes, Fouad Addou, Aneta Rymsza, Andrea Manente, Ievgeniia Koval, Lesia Topolnyk, Giuseppe Carosini, Damla Demir
Visualisations: Antonio Luca Coco, Pavlos Ventouris, Luca Piattelli, Luana La Martina, Francesco Vitale, Gianlorenzo Petrini, Cinzia Bussola
Video: Yayun Liu, Josua Hefti, Alexander Forsch, Miruna Dunu
Copyright: MVRDV Winy Maas, Jacob van Rijs, Nathalie de Vries
───
Partners:
Contractor: De Vries en Verburg
Project coordination: Stone 22
Landscape architect: Karres+Brands; Gemeente Amsterdam
Structural engineer IMD
MEP, Building physics: Deerns
Cost calculation: IGG
Environmental advisor: ATKB
Interior architect: MVRDV; UP Architecture
Photography: ©Daria Scagliola

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オランダMVRDV事務所研究施設複合施設
2023.05.30 Tue 14:30
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  • 2023.3.26Sun
    MVRDVによる、オランダの店舗「NIO・ハウス・ロッテルダム」。電気自動車の企業の為に計画。施主の思想と地域の特徴の融合を求め、共通点の“柔軟性”を基にして上下動するテーブルや外に拡張可能なカフェ等を考案。様々な歓迎の用途を盛り込んで街の活気への貢献も意図
  • 2022.9.20Tue
    MVRDVによる、オランダの複合ビル「Valley」。オフィス街の居住・労働・商業の為の施設。地域に緑と人間の次元を取り戻す事を目指し、低層部に多様な植栽を配置した公共的空間を配置。専用デジタルツールを開発し採光眺望や割付等の決定等を合理的に進める
  • 2022.7.26Tue
    BIGによる、オランダ・アムステルダムの集合住宅「Sluishuis」。都市の水辺に計画。湾に面するブロックを持ち上げる操作で、光や眺望も中庭に取り入れる親水空間を構築。屋上は公共的空間として開放され、観光や住民の為の交流の場として機能
  • 2022.7.23Sat
    MVRDVによる、オランダ・ハーグの二棟の高層集合住宅。中央駅前にある高さ100mを超える建築。頭頂部のテラスが積み重なった“王冠”の様なデザインが、都市に対して特徴的な景観を提供。居住者用の交流アプリでも社会的結束を促進
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    【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中

    ap job 【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中

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    【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中
    【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中
    アーキテクチャーフォトジョブボードに新しい情報が追加されました
    job.architecturephoto.net

    素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」の、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイト募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
    新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。

    弊社では、業務拡大に伴い、一緒に楽しく建築に携わってくれる建築設計スタッフ(正社員、アルバイト・パートタイム(時間応相談))を募集します。

    主に住宅・集合住宅・店舗・オフィス・保育施設・クリニック・リノベーション等、様々な用途の設計・監理業務を行っています。会社は小規模ですが、上記の用途に加え木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造と構造種別も多岐にわたりますので、色々な設計・監理を習得できると思います。

    オンラインセミナーやオープンオフィス、賃貸住宅の収支計画などのコンサルティング業務も業務の一部として行っておりますので、仕事のスキルアップにも繋がると思います。

    設計は打ち合せやヒアリングをじっくりと行いその内容を理解し、クライアントのコミュニケーションを図り、いかに展開するかであると考えます。造形美や機能美のみにとどまらず、楽しみを感じられる場や空間が建物の中にいくつも存在する、そんな建物を追求しております。
    家づくりをはじめどの用途の建物でも、設計には様々な回答があり、答えは一つではありません。
    使い勝手を含めた平面計画や「素材感」を大切に設計を行い、自己主張しすぎない「佇む」建築を一緒に創っていきたいと思っております。

    設計活動は多くの人たちとコラボレーションしながらの仕事です。
    私どもの設計活動や事務所としての方針に共感していただける方、心よりお待ちしております。
    雑誌等の掲載も多々あります。
    設計事務所にありがちな夜遅くまでの長時間労働はあまり望みませんので、出来るだけ効率的に時間を使いながら、一緒に仕事をしていきたいと思っております。

    ご応募お待ちしております。

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    建築求人情報
    2023.05.30 Tue 14:00
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    村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」

    SHARE 村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」

    architecture|feature
    杉山幸一郎論考今、なに考えて建築つくってる?
    村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」

    「今、なに考えて建築つくってる?」は、建築家の村山徹と杉山幸一郎によるリレー形式のエッセイ連載です。彼ら自身が、切実に向き合っている問題や、実践者だからこその気づきや思考を読者の皆さんと共有したいと思い企画されました。この企画のはじまりや趣旨については第0回「イントロダクション」にて紹介しています。今まさに建築人生の真っただ中にいる二人の紡ぐ言葉を通して、改めてこの時代に建築に取り組むという事を再考して頂ければ幸いです。
    (アーキテクチャーフォト編集部)


    第4回 構造と工法

    text:杉山幸一郎

     
     
    モノの関係をつくる

    こんにちは、杉山幸一郎です。第3回から少し時間が経ってしまいましたが、第4回は「構造と工法」というテーマについて考えていきます。突然ですが、このテーマを聞いて皆さんは何を思うでしょうか?

    なんだか大学のカリキュラムにありそうで、電車の帰りに疲れた頭で読むには全然気が進まない、、。と僕なら思ってしまいます(笑)。なので、今日はテーマを少し噛み砕いて、もっと簡単な視点からリラックスして攻めていくことにしましょう。


    とその前に、前回の村山徹さんの「かたちと寸法」のエッセイから。

    ヨーロッパ留学経験のあるスタッフが「ヨーロッパの大学では恣意的なかたちであることは良いことだと判断されるけれど、日本は逆で悪いことであり言葉にすることをはばかられる風潮がある」と話していました。(中略) さらに社会性や事業性が重んじられ、かたちが後回しにされる昨今の建築状況もあってか、今の日本の学生はかたちに無頓着な人が多く、そして図面を重視しない人が多い。といったことについて、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で教えている杉山さんがどう思っているのか、聞かせてもらえるとうれしいです。

    今、なに考えて建築つくってる? 第3回「かたちと寸法」より

    なるほど、面白い指摘です。
    僕がいるスイスドイツ語圏の状況からすれば、むしろ「かたち」については制限があるように思います。平面図に表れるかたちについて言えば、例えば学校の実施設計コンペでは、クラスルームは72㎡、グループルームは36㎡など、要項を見ると面積が一桁まで細かく指定されています。それにほぼ沿うように考えてみると、スパンは8mx9mとして、その半分をグループルームにしてください、、。と暗に指示されているように聞こえなくもありません。

    さらに場合によっては、学校側からガイドラインとして「4つのクラスルームと2つのグループルーム、その間にある廊下をまとめてクラスターとして考える」というように指示があったりします。結果、基準階に関しては平面計画の自由度、それにともなうかたちのヴァリエーションは限られてしまいます。資格製図試験のような条件で、かなり合理的に解いていく必要があるんです。

    つまりグリッドに載ってこない壁や柱、曲線を含んだ平面の「かたち」は、コストや使い勝手という面からも、あまり好まれていないことを過去のコンペの結果を見ても感じます。そうした背景を元にできあがるリジッドなスイス建築は「スイスボックス」として、皆さんも思い浮かべやすいかもしれません。

    そんな状況にあっても、スイスにはかたちの持つ力を信じている建築家が多いのも確かです。
    イコノグラフィックな図面の意味と、その空間への効果を追求する考え方は学生のみならず、実務でややもすれば現実的すぎる建物の設計に慣れた建築家にはとても魅力的に映ります。

    昨今は「かたち」そのものよりも、環境問題に対する建築家の姿勢として「部材の転用や建設時のCO2削減」に至るテーマが大きな比重をもっており、僕たちは学生に、建築設計の基本的な考え方は「最小の材料を使って、最大限の空間を作ること」と教えています。学部一年生には、かたちを作る根拠、なぜそうなければいけないのか。を厳しく追求するように伝え、「なんとなくいい感じ」で無自覚にできてしまったものは、それが仮に良さそうに見えても、論理的な思考の組み立て方を奨めています。

    それはETHZ(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)の学部一年生への教育目的が「空間をつくり、その空間同士をどう繋げて全体をつくっていくか」ということを念頭に置いているからです。その目的にあまり関係のない要素をできるだけ削ぎ落とすことで、主題をよりわかりやすく伝えるように工夫しているとも言えます。基本を学べば、高学年、修士課程へと進んでいった時に自分なりの「かたちの出し方」を身につけられるだろうと。そしてそれは結局、自分で試行錯誤しながら学んでいくものだと僕は思います。

    新しく建築を学び始めたばかりの学部一年生はCADを教わる前に、一学期からRhinoceros(3D)を教わります。そして3Dプリンターを駆使するカリキュラムが組みこまれています。学生たちの頭の中では、まず空間を内包するヴォリュームがあって、平面図や断面図はそれを切ったもの。という認識です。それは僕自身が学生時代に平面図と断面図、立面図を描き、そこから立体を想像していたのとは真逆のプロセス。だからこそ、村山さんが前回のエッセイで話していたように、二次元だからこそ読み取れる空間「図面に現れる二次元的なかたち」を組み立てる術を知れば、空間のつくり方の可能性が2D>3D>2Dと、もっと広がると思うのです。

    それでは本題に入っていきましょう。

    • 残り8枚の写真と建築家によるテキスト
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    杉山幸一郎論考今、なに考えて建築つくってる?
    2023.05.30 Tue 07:07
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    2023.5.29Mon
    • 古谷野裕一 / 古谷野工務店による、神奈川・横浜市の「下田町の家」。住宅街の坂の途中にある不整形な敷地。最大限の建築面積の確保を目指し、登り梁で“整形の生活空間”も実現した“五角形平面”の建築を考案。前面路の“坂を登る”体験を踏襲した緩やかな階段で上下階を繋げる
    • 鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示
    • 最も注目を集めたトピックス[期間:2023/5/22-5/28]
    2023.5.31Wed
    • 上林剛典 / platによる、栃木・日光市の、宿泊施設「NIKKO A棟」。山と湖を一望できる自然の中の敷地。ドームテントではない“グランピング施設”として、地域の規制や環境を尊重した“ほぼ外”の様な“空っぽの建築”を設計。木架構の高床で冬季の積雪にも対応
    • 吉田豊建築設計事務所による、広島市の「牛田本町の家」。駅近の大小の建物が混ざる地域。周囲と調和する矩形の外観の中に、三世代の居場所を作りつつ“立体的な回遊動線”と“様々な抜け”で多様な空間体験を創出。将来の生活変化も想定され新たな二世帯住宅への改変も可能

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