熊木英雄+眞木励 / オーガニックデザインが設計した、東京・中野区の「小さなLDKリノベーション」です。
居住者数増加に伴う住宅の改修です。建築家は、既存の窮屈さの解消と一体感の構築を求め、壁を解体して分節された空間を繋げると同時に構造耐力も向上させる設計を志向しました。また、様々な仕様で“世代を繋ぐ家族の在り方”を主眼として設計が行われました。
東京都中野区にある駅からほど近い密集した低層住宅街の一角に敷地・建物があり、平成7年に先代が注文したハウスメーカーによる住宅であった。当初は家族で住んでいた場所であるが、子供も独立し高齢のお母様がお一人住いのところに、この度ご夫婦+小学生のお子様の家族が同居することになり住まい方のリノベーション依頼を受けた。
リノベーションの依頼箇所は既存リビング・キッチン・収納室エリアとし、その他の多くの間取りは現状のまま使いたいというお母様の想いと、転居されるご夫婦の奥様から家事をしながら子供の様子が解るような使い方、コロナ禍の生活でタブレット利用が親も子も利用できることなどの希望を受けた、その他は双方から温熱環境の向上を求められた。
解決すべき問題がいくつか横たえていて、部屋がリビング・ダイニング・キッチン・収納室と各々扉付きで分断しているため各室がやや窮屈でキッチンは孤立された感じがあること、リノベ該当部分が建物のペリメーターゾーンでもあり、熱環境、音環境に脆弱なところがあった。加えて奥様希望のキッチンスペックを限られた空間のなかに実現する事でした。
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以下、建築家によるテキストです。
小さなLDKリノベーション -世代を繋ぐ家族の変容をリノベーション-
東京都中野区にある駅からほど近い密集した低層住宅街の一角に敷地・建物があり、平成7年に先代が注文したハウスメーカーによる住宅であった。当初は家族で住んでいた場所であるが、子供も独立し高齢のお母様がお一人住いのところに、この度ご夫婦+小学生のお子様の家族が同居することになり住まい方のリノベーション依頼を受けた。
リノベーションの依頼箇所は既存リビング・キッチン・収納室エリアとし、その他の多くの間取りは現状のまま使いたいというお母様の想いと、転居されるご夫婦の奥様から家事をしながら子供の様子が解るような使い方、コロナ禍の生活でタブレット利用が親も子も利用できることなどの希望を受けた、その他は双方から温熱環境の向上を求められた。
解決すべき問題がいくつか横たえていて、部屋がリビング・ダイニング・キッチン・収納室と各々扉付きで分断しているため各室がやや窮屈でキッチンは孤立された感じがあること、リノベ該当部分が建物のペリメーターゾーンでもあり、熱環境、音環境に脆弱なところがあった。加えて奥様希望のキッチンスペックを限られた空間のなかに実現する事でした。
シェアウォールの提案
各室分節されていたものを一体化することで、家族の気配を常に感じられるようにすることを検討し、構造木村佳央先生の協力を経て柱を除去し、シェアウォールの壁と然るべき位置に柱を移動し、構造耐力を向上させた上で空間の一体化をすることができた。そのお陰で母がキッチンにいても子供の気配を感じることができ、ダイニングも広さ感が格段に向上できた。
既視感ある出窓を大切にしたい
どこにでもある出窓をいい形で残したい想いと、リビング内の家族のワークステーションとしての活用が重なった。光も入り十分な長さの出窓は、出幅を少し付け足すことで家族4人がタブレットを扱えるデスクとなり、コロナ禍の家族に役立つものとなった。
高断熱化
建物のペリメーターゾーンになるため、外周部内壁、天井、床すべてに高断熱24Kを敷き替えた。以前のものが10Kであったので向上は必須であった。加えて温水床暖房を施設している。また、外壁の向こう側は道路であり、従前は向こうの側の音も伝わってきていたため、断熱材+ベニヤ(壁面構造強化)により、音(騒音)の環境も向上した。
空間提案だけでない「住まい方の提案」
今回、日常の家への人の出入りによるカバンの収納方法に着眼した。人はカバンを外部で床に置いてしまっていることもあるので、カバン底の衛生的な側面を考慮し、玄関から帰りリビングに入ると直ぐにカバン収納を計画した。コロナ禍だから必要というわけでもないが外から衛生的にちょっとした汚れを家の中に循環させないように考えたためだ。これは同時に場の記憶としてや、室内掃除の際のカバンなどの移動(掃除の為の片付け)が無くなることなど利点が多いため、ご家族に受け入れられたことであった。その他フックが多いのもその延長である。
世代を繋ぐ家族の在り方を主眼にしたリノベーションはやりがいを感じた。
■建築概要
題名:小さなLDKリノベーション
設計:熊木英雄、眞木励 / オーガニックデザイン一級建築士事務所
担当:熊木英雄、眞木励(内装空間からキッチン製作家具まで)
所在地:中野区
協力:木村佳央構造事務所 木村佳央
施工:礎コラム 小牧辰之助
家具製作:ヤマシタプランニング 市野俊介
構造:木造
階数:地上1階
敷地面積:310㎡
改修面積:43㎡(建築面積:137㎡ 延床面積:216㎡)
設計:2021年9月~2022年2月
工事:2022年4月~2022年10月
竣工:2022年10月
撮影:岡村幸則