丹羽隆志アーキテクツが設計した、ベトナム・ハノイの「Uplifting Office」です。
多くの部屋に別れた事務所を改修する計画です。建築家は、“活発な交流の誘発”の要望に、空間をランドスケープと捉えて床から家具等に変化する“27本のストライプ”で構成しました。そして、働く人の能動性を引き出し状況に応じた場所の発見を促します。
ベトナム・ハノイにおける、25名のスタッフのためのオフィスのリノベーションプロジェクトである。
従前のオフィスでは執務空間が多くの小さな部屋に分かれていた為、スタッフ間のコミュニケーションや連携が問題視されていた。
従って新しいオフィスでは、間仕切りのないオープンなフリーアドレスオフィスとして、活発なコミュニケーションを誘発することが求められた。
オンラインでは得られない、ひとつの建築空間に人が集うことで生まれる相乗効果やセレンディピティをもたらすオフィス、そして何よりもスタッフの一人一人が毎朝通う職場に対して心躍るような場所になることを志向した計画である。
220㎡の限られたインテリアの床面積の中で、自然の中にいるような自由さ、おおらかさを感じられるようにするため、オフィス空間をランドスケープとして捉えることを設計のコンセプトとした。言わば公園の中を歩きながら自分の好みの居場所を見つけるような感覚である。
奥行15mのインテリアに多様な空間のバリエーションを生み出すために、人の行き来する長手方向に直行して短手方向に5種類の異なる仕上げ材のストライプを連続させた。27本のストライプのなかに緑のレイヤーを織り込むことで人々の活動と緑が重なり合う立体的な層状のリズムをつくり出した。
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以下、建築家によるテキストです。
ベトナム・ハノイにおけるフリーアドレスオフィスのリノベーション計画である。
220㎡という限られたオフィススペースに、自然の中にいるような変化を取り入れ、より自由でおおらかな働き方を実現したい。そのため、人の行き来する長手方向に直行して立体的なリズムをつくり出す5種類の異なる仕上げ材のストライプを持ち込んだ。この27本のストライプリボンのなかに緑のレイヤーも織り込むことで人々の活動と緑が重なり合う場となった。
オフィス全体に広がるストライプのリボンは立ち上がり、なめらかに高さを変える。ベーシックな床、デスク、壁であるとともに、ベンチ、収納、プランターボックス、ブース間仕切り等に変化していく。
高低差が生み出すランドスケープの中に生まれる働く空間。
オンラインでは得られないひとつの建築空間に人が集うことで相乗効果とセレンディピティをもたらす、毎日が躍動するオフィスである。
心躍るオフィス
ベトナム・ハノイにおける、25名のスタッフのためのオフィスのリノベーションプロジェクトである。
従前のオフィスでは執務空間が多くの小さな部屋に分かれていた為、スタッフ間のコミュニケーションや連携が問題視されていた。従って新しいオフィスでは、間仕切りのないオープンなフリーアドレスオフィスとして、活発なコミュニケーションを誘発することが求められた。
オンラインでは得られない、ひとつの建築空間に人が集うことで生まれる相乗効果やセレンディピティをもたらすオフィス、そして何よりもスタッフの一人一人が毎朝通う職場に対して心躍るような場所になることを志向した計画である。
立体的なストライプのランドスケープ
220㎡の限られたインテリアの床面積の中で、自然の中にいるような自由さ、おおらかさを感じられるようにするため、オフィス空間をランドスケープとして捉えることを設計のコンセプトとした。言わば公園の中を歩きながら自分の好みの居場所を見つけるような感覚である。
奥行15mのインテリアに多様な空間のバリエーションを生み出すために、人の行き来する長手方向に直行して短手方向に5種類の異なる仕上げ材のストライプを連続させた。27本のストライプのなかに緑のレイヤーを織り込むことで人々の活動と緑が重なり合う立体的な層状のリズムをつくり出した。
床全体に広がるストライプは、浮き上がり滑らかに家具の一部となり、再び浮き上がって壁を形作る。ある床はベンチになり、次の床は収納になり、別の床はテーブルとプランターボックスになり、そのうちのいくつかはマネージャーブースや個別ブースの間仕切りへと変化していく。
気持ちや仕事の種類に応じて、その時に一番過ごしたいスペースを高低差によって作られるランドスケープの中から見つけ出すことができる。オフィスの利用が始まってしばらくすると、人々は空間をより創造的な方法で利用し始めた。リラックスワーキングコーナーは時に瞑想スペースになり、ガラステーブルのまわりには人だかりができて自然と打合せが始まる。そして自分のお気に入りのプランターボックスに好きな植物や花を植えている人もいる。
現在、オフィスは仕事をする場所以上のものになり、人々の意識、モチベーションはストライプのリズムが隆起するように高揚している。
■建築概要
題名:Uplifting Office
所在地:ハノイ、ベトナム
主用途:オフィス
設計社:Takashi Niwa Architects
担当:丹羽隆志
設計チーム:Camille Labelle、髙橋京平
インテリア施工:分離発注
什器製作:Jager
構造:RC造
階数:地上6階建ての5階部分
延床面積:220m2
設計:2021年2月~2021年6月
工事:2021年6月~2022年4月
竣工年:2022年4月
写真:Trieu Chien