オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る
photo©鳥村鋼一

オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る

オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る外観 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、3階、ポット2を見る。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、2階、廊下から全体を見る。 photo©鳥村鋼一

萬玉直子+西田司+神永侑子+西田幸平+オンデザインが設計した、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮 神奈川大学新国際学生寮・栗田谷アカデメイア」です。
多様な学生が住む寮の計画です。建築家は、共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成しました。そして、小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る事が意図されました。

この寮では、国内学生から留学生まで多様なバックグラウンドを持った学生が200人集まって生活する。
半年間の短期留学の学生もいれば、2~3年在籍する学生もいることが見込まれている。住まうメンバーの更新サイクルが比較的早い中で、共同生活を通して、交流(国際理解・文化交流)を促進する新しい考え方の学生寮の実現が求められた。

建築家によるテキストより

「交流空間」と聞くと、ついつい「人が大勢集まることのできる部屋の用意」が前提となりがち(この場合だと200人が集まることのできる部屋)だが、こういった個人の生活におけるモチベーションが交流のきっかけになると考えた。個人の生活が互いに影響し合い繋がる小さな交流が、200人集まることで同時多発的に起こることを目指した。
そこで、寮室(個室)は可能な限りコンパクトにし、生活のほとんどを受け止める最大限の共用部をつくった。

建築家によるテキストより

建物は3つのブロックに分節しており、寮室(や共用キッチンや水回り)が面する廊下に囲まれた4層の吹き抜けが1ブロックごとにある。
この4層の吹き抜けは、平面的には中廊下タイプの廊下をぐわっと広げてつくったような吹き抜けだが、雁行している建物形状がそのまま内部にも入り込んでいたり、バルコニーのように張り出している場所(コーナーポット)がある。また、吹き抜けには縦動線である階段を2軸用意し、各階でいろんな方向に架かっており、各中間階にある踊り場は腰壁に囲まれた居場所(ポット)となっている。

建築家によるテキストより

竣工時の様子

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オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る外観 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、1階、キッチン1 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、1階、キッチン1から上部を見上げる。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、2階を見渡す。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、2階、キッチン photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、3階、ポット2を見る。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、3階、ポット2 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、3階、ポット2 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、1階、キッチン2 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、2階、廊下 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、2階から見る。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、3階、ポット8を見る。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、4階、ポット12を見下ろす。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、4階、吹抜けを見下ろす。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、4階、廊下 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、1階、ポット1 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、2階、廊下から全体を見る。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、4階、吹抜けを見下ろす。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、4階、吹抜けを見下ろす。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、4階、ポット16 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る配置図 image©オンデザインパートナーズ
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る1階平面図、2階平面図 image©オンデザインパートナーズ
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る3階平面図、4階平面図 image©オンデザインパートナーズ
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る断面図 image©オンデザインパートナーズ

竣工3年後の様子

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オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、4階、ポット1を見おろす。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、4階、個室の扉横のボード。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、3階、ポッド11の様子。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るBブロック、3階、左:ポッド11、右:ポッド12。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、2階、廊下の様子。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、2階と3階の個室前の様子。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、2階、個室の扉横のボード。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、4階、ポット18の様子。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、4階、ポット16の様子。 photo©萬玉直子
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、4階、ポット16の様子。 photo©萬玉直子

以下、建築家によるテキストです。


この寮では、国内学生から留学生まで多様なバックグラウンドを持った学生が200人集まって生活する。
半年間の短期留学の学生もいれば、2~3年在籍する学生もいることが見込まれている。住まうメンバーの更新サイクルが比較的早い中で、共同生活を通して、交流(国際理解・文化交流)を促進する新しい考え方の学生寮の実現が求められた。

共同生活の中に潜む個人の生活に注目してみると、そこにはたくさんの〇〇したいがある。食事は毎食自炊したい、授業の課題を広いテーブルでやりたい、ソファの上で読書したい、体を動かしたい、音楽を聴きたい、映画が観たい、朝は外気に当たりたい、お風呂上がりはごろごろ寛ぎたい、など。そしてそこから、いつもあの子がつくっている郷土料理を食べてみたいな、授業のレポート相談したいな、音楽の情報交換したいな、など他者への興味に繋がる。

「交流空間」と聞くと、ついつい「人が大勢集まることのできる部屋の用意」が前提となりがち(この場合だと200人が集まることのできる部屋)だが、こういった個人の生活におけるモチベーションが交流のきっかけになると考えた。個人の生活が互いに影響し合い繋がる小さな交流が、200人集まることで同時多発的に起こることを目指した。
そこで、寮室(個室)は可能な限りコンパクトにし、生活のほとんどを受け止める最大限の共用部をつくった。

建物は3つのブロックに分節しており、寮室(や共用キッチンや水回り)が面する廊下に囲まれた4層の吹き抜けが1ブロックごとにある。
この4層の吹き抜けは、平面的には中廊下タイプの廊下をぐわっと広げてつくったような吹き抜けだが、雁行している建物形状がそのまま内部にも入り込んでいたり、バルコニーのように張り出している場所(コーナーポット)がある。また、吹き抜けには縦動線である階段を2軸用意し、各階でいろんな方向に架かっており、各中間階にある踊り場は腰壁に囲まれた居場所(ポット)となっている。

ポットやコーナーポットは、さまざまである。カウンターデスクのあるポット、腰壁が黒板になっているポット、たくさん本が置ける書棚に読書灯付きソファがあるポット、広めのワークテーブルがあるポット、畳のポット、芝生のポット、絨毯のポット、L型ソファのあるポット、デイベットのようなソファのあるポット、固めのベンチのポット、木に包まれたポット……
ひとつひとつ形も大きさも素材も家具も異なる。その日の目的や気分によって、自分の好みによって、ひとりで勉強したいから、誰かとお茶したいから、次の寮内イベントの企画ミーティングしたいから……
そのさまざまな〇〇したいに応えるように、毎日生活する環境だからこそ豊かなバリエーションを備えておく。

7m2の寮室の中から一歩外に出ると、ソファやカウンターデスクのあるゆったりとした廊下や、吹き抜けに浮かぶポットや、ポットへと続く階段がある。寮室と共用部全体で見るとXSとXLくらい対照的だが、XLの共用部に散りばめられたSサイズくらいのポットやコーナーポットがそのスケールを緩やかに繋ぐ。ここでは、今まで廊下や階段という場所とも扱われてこなかった移動や避難のための機能を、ポットやコーナポットを多中心に配置することで、人の拠り所となる居場所に読み替えている。

そうすることで、単調な吹き抜けではなく、近距離にポットがあったり、遠くのポットで勉強している友達が見えたり、キッチンからの美味しそうな匂いを感じながらシャワーを浴びに移動したり、日中はトップライトから陽が入るポットを選んだり、ポットで寛ぐ友達を横目にキャンパスへ出かけたり……生活する中で自然と発生する「出会いのある」まちのような場となっている。

常に、個と全体(他者)が同居する環境で、自分の身の回り半径3mくらいを捉える続けるの居場所の連続体でできたこの建物は、みんなの場所でもあるけれど自分の場所でもあるという所有感覚や空間への主体性が育まれることだろう。


他者とともに生きる建築「まちのように人が集まる暮らしの風景」

まちのような国際学生寮、竣工から3年経過して。
ぐんと冷え込んだ12月上旬、数ヶ月ぶりに「まちのような国際学生寮」を訪れた。竣工と同時期にコロナ禍を迎え、しばらく少人数で運営をしていたが、今年の9月より100名を超える留学生が来日し、日本人学生とあわせて200名弱での共同生活がいよいよ始まっていた。今では「栗田谷アカデメイア」の名称で親しまれている。

朝の時間帯、パジャマ姿で個室から出てきて洗面スペースに向かう学生、竣工時にgreenポットと名付けていたポットで朝ごはんを急いで食べている学生、いってきますと管理人さんに挨拶してキャンパスへ出発する学生、いい匂いを共有部に漂わせてつまみ食いしながら料理している学生、卒論なのかパソコンや資料を机いっぱいに広げたままポットのソファで寝ている学生……複数人の日常と遭遇する。

共用部を見渡せば、掲示板には随分と上手い落書きや“〇〇くん掃除してね”という伝言などいくつかの言語が混じり合って書かれており、日当たりの良い場所には小さな植物が育てられ、個室の扉横のボードにはおそらくその部屋の学生が好きなキャラクターが飾られており、吹抜けの手すりには洗濯物が干されている。雑多ながらも豊かな生活風景のなかに、少し専有しすぎでは?と突っ込みたくなるポットもちらほらと見受けられる。

設計時、“まちのような”という言葉に、集合のかたちを超え、使い手の所有感「みんなの場所だけど、自分の場所でもある」という意味合いがあるのではないか?と考えていた。
今回、学生の暮らしぶりを観察していると、共用部に発生しているモノ(何がどこにどのように置かれているか)から、それぞれ大なり小なりは違えど、自分の生活領域を耕している様子がうかがえる。とくに個室の扉横のボードには、好きなモノを発信する学生や、共用部で使うモノを置いている学生、靴やコートなど外部で使うモノの置き場所としている学生、ご自由にとチュッパチャップスを大量に差し込んでいる学生など様々でおもしろい。個室から一歩共用部に出て、そこに自らの生活環境をつくっていく、その重なりがひとつの生活風景となっていることに建築のおもしろさを改めて感じた訪問だった。
(萬玉直子/オンデザイン)

■建築概要

題名:まちのような国際学生寮 -神奈川大学新国際学生寮・栗田谷アカデメイア-
所在地:神奈川県横浜市神奈川区
主用途:寄宿舎 一部大学
設計:オンデザインパートナーズ
担当:萬玉直子、西田司、神永侑子、西田幸平、岩崎修、大西康隆、吉川晃一
施工:松井建設
協力:Arup、岡安泉照明設計事務所、KMD Inc.、藤森泰司アトリエ
構造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造
階数:地上4階
敷地面積:5,492.47m2
建築面積:2,233.94m2
延床面積:6,065.63m2
設計:2016年7月〜2018年2月
工事:2018年3月〜2019年7月
竣工:2019年7月
写真:鳥村鋼一

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外構・床外部床

再生木デッキ[テクモク](文化シャッター

外装・壁外壁

コンクリート化粧打放しの上保護塗料[ミクロンガード](エスケー化研
押出成形セメント板の上意匠性塗装[セラミシリコン](エスケー化研

外装・屋根屋根

アスファルト露出防水 一部ウレタン塗膜防水

外装・建具開口部

アルミサッシ[PLO-SE70](LIXIL
FSD[ファイヤーカール](NSD

内装・床リビングストリート床

モルタル金鏝+表面強化剤[セラミキュア](ABC商会

内装・壁リビングストリート壁

PB+EP塗装

内装・天井リビングストリート天井

岩綿吸音板[ソーラトン](吉野石膏

内装・床スタジオ2床

乾式二重床+複合フローリング(ウッドワン

内装・壁スタジオ2壁

吸音用穴あきPB+EP塗装 下地内GW充填

内装・天井スタジオ2天井

岩綿吸音板[ソーラトン](吉野石膏

内装・床寮室床

塩ビタイル[フロアタイル](サンゲツ

内装・壁寮室壁

クロス[SPシリーズ](サンゲツ

内装・天井寮室天井

クロス[SPシリーズ](サンゲツ

内装・床共用キッチン・共用洗面床

長尺シート[SFLOOR](サンゲツ

内装・壁共用キッチン・共用洗面壁

ケイカル板の上NAD塗装

内装・天井共用キッチン・共用洗面天井

岩綿吸音板[ソーラトン](吉野石膏

内装・床ポット2(Aブロック)床

塩ビタイル[フロアタイル](サンゲツ

内装・壁ポット2(Aブロック)壁(外)

波板[波形成形品](カネキカナカオ

内装・壁ポット2(Aブロック)壁(内)

黒板塗装[チョークボードペイント](エスコオーガニック

内装・天井ポット2(Aブロック)天井(上げ裏)

パンチングメタルt2.0 8Φ*12P 下地内GW敷き込み

内装・床ポット14(Cブロック)床

複合フローリング[HAND SCRAPE](望造

内装・壁ポット14(Cブロック)壁

ケイカル板+EP塗装

内装・天井ポット14(Cブロック)天井(上げ裏)

岩綿吸音版+EP塗装

内装・床ポット17(Cブロック)床

塩ビタイル[フロアタイル](サンゲツ

内装・壁ポット17(Cブロック)壁(立上り)

不燃木パネル[ウッドペッカー不燃ウォール](BOARD

内装・床ポット19(Cブロック)床

ビニル畳[ボロン畳](ADVAN

内装・壁ポット19(Cブロック)壁

ケイカル板+EP塗装

内装・天井ポット19(Cブロック)天井(上げ裏)

岩綿吸音版+EP塗装

内装・設備設備

衛生設備(TOTO
空調機器(ダイキン
照明器具(DAIKO
換気設備(三菱電機

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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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一色暁生建築設計事務所による、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」。海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗。既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向。日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図南西側外観 photo©大竹央祐
一色暁生建築設計事務所による、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」。海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗。既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向。日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図1階、店舗部分、左:客席、右:厨房 photo©大竹央祐
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海水浴場すぐそばの土地に建つ木造住宅を改修し、設計者の自邸と仕事場、そして知人が営むカレー屋とした。

建築家によるテキストより

その古い木造住宅の2階には、空と海だけをぽっかりと切り取るちいさな窓があった。時折船が静かに横切って行くのを眺めながら、かつて詩人金子光晴が旅をした東南アジア各地にあった日本人街のことを考えていた。そこでは、世界各地から集まった様々な文化とルーツを持つ人々が、自分たちの文化を混在させながら建物や街をつくり上げていた。かつての遠い熱帯にあった混在のイメージが、キラキラと煌めく水平線の向こうにまとわりついて離れなかった。

この家を設計しながら意識したのは「混在」についてだった。用途、文化や国籍、時間や空間、街と家、仕事と生活、この家を取り巻く様々な混在の在り方に注意を払いながら設計を進めていった。

建築家によるテキストより

自由に海外旅行ができ、インターネットで瞬時に世界と繋がることができる現代。街中には世界各国の専門料理店があり、普段気が付かないような生活の細部にまで様々な国の文化が入り混じっている。住宅も同様に、建材や意匠、すべてにおいて意識されることなく様々な国の文化や性質が混在している。意識して純粋な和風住宅をつくろうとでもしない限り、異国の文化は自然と入り込む。日本のスタンダードとなった「多国籍な住宅」は、もはや文化という文脈から離れ、無秩序に拡大している。

設計にあたって、今一度自身のルーツや文化的背景を理解した上で、この地に古くからある材料や技法を用いながら、異国のエッセンスを混在させることで「多国籍な住宅」を更新することができないかと考えた。また、それは日本の住宅文化を再評価するきっかけにならないかと考えた。

建築家によるテキストより

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