多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGNによる、京都市の飲食店「河道屋 倖松庵」。京町家の改修した蕎麦店。原型への敬意と新しさを両立する建築を目指し、復元した既存要素と新設要素の“混ざり方”や“距離感”に意識的な設計を志向。壁と床の操作で玄関から客席までの“シークエンス”も演出 外観 photo©松村康平
多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGNによる、京都市の飲食店「河道屋 倖松庵」。京町家の改修した蕎麦店。原型への敬意と新しさを両立する建築を目指し、復元した既存要素と新設要素の“混ざり方”や“距離感”に意識的な設計を志向。壁と床の操作で玄関から客席までの“シークエンス”も演出 1階、客席(ミセノマ) photo©松村康平
多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGNによる、京都市の飲食店「河道屋 倖松庵」。京町家の改修した蕎麦店。原型への敬意と新しさを両立する建築を目指し、復元した既存要素と新設要素の“混ざり方”や“距離感”に意識的な設計を志向。壁と床の操作で玄関から客席までの“シークエンス”も演出 1階、ゲンカンニワの横の内部空間。手前側に客席(ミセノマ)、奥側に客席(ザシキ)に繋がる。 photo©松村康平
多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGNによる、京都市の飲食店「河道屋 倖松庵」。京町家の改修した蕎麦店。原型への敬意と新しさを両立する建築を目指し、復元した既存要素と新設要素の“混ざり方”や“距離感”に意識的な設計を志向。壁と床の操作で玄関から客席までの“シークエンス”も演出 1階、正面:客席(ザシキ)、右:客席(トオリニワ) photo©松村康平
多田正治アトリエ +ENDO SHOJIRO DESIGN が設計した、京都市の飲食店「河道屋 倖松庵」です。
京町家を改修した蕎麦店です。建築家は、原型への敬意と新しさを両立する建築を目指し、復元した既存要素と新設要素の“混ざり方”や“距離感”に意識的な設計を志向しました。また、壁と床の操作で玄関から客席までの“シークエンス”の演出も意図されました。
元禄より京で蕎麦を商ってきた河道屋。その流れを汲む「河道屋倖松庵」が新たに蕎麦屋を出店する。
四条河原町からすこし南、築110年の京町家を改修した。もともと住まいでありながら商売を営んでいた京町家だったのだろう。街路から奥までトオリドマが貫き、途中にゲンカンニワが設けられ、商いのエリアと住まいのエリア、バックヤードが明確に区切られた町家である。
窓や欄間、欄干など随所に凝った意匠が施されており、かつての住民の趣味がうかがえる建築であった。しかし、トオリドマには床が張られ、ゲンカンニワは壁や屋根が一部撤去された上で屋根で覆われ、華やかな窓や床の間もベニヤで塞がれたり押入れに改変されているような状態だった。
そこで、私たちは京町家のもともとの構成を意識しながら、失われたり隠されている窓や床といった京町家のエレメントを復元・修復し、そこに新たな面やヴォリュームを加えることで、新しい店舗として甦えらせることを試みた。
大黒柱、床、書院、欄間、下地窓、格子、木戸、ガラス戸など残すエレメントを丁寧に採寸し、修理・復元する内容をさだめる。それぞれのエレメントの持つ濃度あるいは影響度といったものを加味し、新しい建築要素とどれぐらいブレンドするか、どれぐらいの距離を保つか、を注意深く決定していった。