成瀬・猪熊建築設計事務所が設計した、長野・軽井沢町の「旧軽井沢倶楽部の別荘」です。
様々な表情を見せる自然林の中の敷地に計画されました。建築家は、恵まれた環境を“感じる”建築を目指し、開口部等の操作で“過ごし方”と“外の環境”が結びついた空間を多数構築しました。また、暮らしの存在が自然を“より豊かに”感じさせる場を作る事も意図されました。現在、こちらの建築は販売中です。
この計画は、軽井沢で別荘地を運営する旧軽井沢倶楽部と、成瀬・猪熊建築設計事務所が行う、建売別荘プロジェクトの第一弾です。
私たちが設計を行うにあたって最も大切にしたのは、季節・天候・時間の変化によって全く異なる表情を見せる自然林に囲まれた、恵まれた環境をいかに感じるか、ということです。
一言で自然を感じる、といっても、それは視覚情報だけでなく、音や光などさまざまな要素があります。また、林全体を広く感じるか、細かな枝や葉の肌理を感じるかでも、受け取るものは異なります。また、建築の内外での過ごし方によっても、感じるものは異なります。
そこで私たちはこの建築を、中心近くでは全てがつながりつつも、窓辺に近づくほど空間が分割されてゆくように構成し、その空間とそこでの過ごし方・外の環境の関係を定義づけるように、開口部を決定してゆきました。
ダイニングスペースと目の前の林を、吹き抜けに開けた複数の開口部でつなぎ、林に囲まれて過ごす。おちついた小ぶりのラウンジと2階レベルの林の広がりを横並びの二つの開口部とテラスによって水平につなぎ、ツリーハウスのような居心地を感じる。玄関と木々の樹冠を高い吹き抜けとハイサイドライトでつなぎ、林の中にすっぽりと入り込む、と言った具合に。