小田真平建築設計事務所とランディ・マリエ・ジェンセンが設計した、大阪市の住戸改修「弁天の住居」です。
施主の日本滞在用の住まいとして計画されました。建築家は、自身が考える日本の“伝統的空間”の導入を目指し、和紙で仕上げた“透過性”の異なる二つの面を用いて“その先を連想させる”空間を構築しました。また、既存を活かし最小限の解体と追加で完成させました。
マンションのリノベーションである。
クライアントは新築マンションを購入し、日本滞在用として標準化されたものではなく、独自の個性をもつ住まいを望んだ。
解体は、廊下とLDKを仕切る建具だけとし、新たに付け加える要素も最小限の手数で構成した。
和紙を用いた、光を透過する面と透過しない面の2種類を使い、その先にある空間を連想させる装置のようなものが作れないかと考えた。
和紙で仕上げられた透過しない面としての2つの曲がった壁は、その先に存在する空間を連想させ、人々を招き、LDKに導き入れる。光を透過する太鼓貼り障子の面は、視線を塞ぎ、光のみを通し、その向こうにどのような空間が広がるのかを連想させる。
「すべて見せないことを美徳とし、小さな空間を大きく見せる、連想の美しさを求める、思いがけない空間を展開させ、その変化の美しさを狙う」という、日本の伝統的空間を新築マンションに取り込みたかった。
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以下、建築家によるテキストです。
マンションのリノベーションである。
クライアントは新築マンションを購入し、日本滞在用として標準化されたものではなく、独自の個性をもつ住まいを望んだ。
解体は、廊下とLDKを仕切る建具だけとし、新たに付け加える要素も最小限の手数で構成した。
和紙を用いた、光を透過する面と透過しない面の2種類を使い、その先にある空間を連想させる装置のようなものが作れないかと考えた。
和紙で仕上げられた透過しない面としての2つの曲がった壁は、その先に存在する空間を連想させ、人々を招き、LDKに導き入れる。光を透過する太鼓貼り障子の面は、視線を塞ぎ、光のみを通し、その向こうにどのような空間が広がるのかを連想させる。
「すべて見せないことを美徳とし、小さな空間を大きく見せる、連想の美しさを求める、思いがけない空間を展開させ、その変化の美しさを狙う」という、日本の伝統的空間を新築マンションに取り込みたかった。
新設した畳の香りが安らぎを与え、集える居場所を作り出し、寝室に設置したベッドベースは縁側のような印象を与える。
すべてを解体し、リノベーションするのではなく、販売のために取り付けられた新しい建材を利用しながら、少量の薬味を加え、日本に滞在していると感じられるような空間を目指した。
■建築概要
名称:弁天の住居
所在:大阪市港区
用途:住宅
設計:小田真平建築設計事務所+Randi Marie Jensen 担当/小田真平+Randi Marie Jensen
施工:ロウエ
延床面積:68.60㎡
竣工:2023年7月
写真:山内紀人