廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 外観、南西側より見る、夜景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、リビングより2階のホールと1階のダイニングを見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 2階、「上のリビング」よりホール側を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所 が設計した、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」です。
木々に覆われた鬱蒼とした敷地での計画です。建築家は、存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案しました。また、連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出しました。
計画地は、別荘地として1970年頃に開発されたものの、今まで一度も建築行為のなされることがなかった区画。
そこは鬱蒼とした樹木に覆われた傾斜地であった。そのため、まず車両が入れる斜路を整備しなくてはいけないこと、敷地内の樹木をある程度伐採しないと建築をつくることができないという条件であった。
何度か敷地を訪れるうちに一本の姫沙羅(ヒメシャラ)の大樹が中でも特別な存在感を持っていることに気付き、伐採せずに共存する方法を模索し始めた。ローカルルールで設定されている壁面後退(3m)と道路からの離隔(10m)を考慮すると、その樹木は建築可能エリアのほぼ中央付近に位置していた。そのため、樹木に対して少し遠慮しながら、建築で取り囲むようにプランニングを進めていった。
一本の樹木を中心点として、求心的にプランニングをしているが、ここではあえて角度を揃えてシンメトリカルにしようとはしていない。あえて、それぞれの場に必要な空間ボリュームのために角度のパラメーターをフリーにして、その結果顕れることをコントロールしていく手法をとっている。
図書スペースとしての使用を主眼に構想された上階では、先に説明した平面形を引き継ぎながら、木造の架構部は下階から誘導される平面形に加えて、高さ方向のボリュームを三角形構面の頂点をパラメトリックに可変させることで連続的に変化させている。
全体としては中央近くの部分がピークとなり、東西の両端部で絞り込んでいる。絞り込んだ両端部分は、中2階や吹抜を経て1階の領域と連続的な繋がりをもたらすと同時に、全体を一つの「完結した屋根」として認識させる効果を生んでいる。
その検討は3Dデータで繰り返し検証しながら進められた。
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廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 外観、南側より見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 外観、北西側より玄関付近を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、玄関よりラウンジを見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、ラウンジより寝室を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、キッチンよりダイニングを見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、ダイニングより開口部越しに外部を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、ダイニングからキッチン側を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、ダイニングよりリビング側を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、ダイニングよりリビングを見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、リビングよりテラスを見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、リビングより2階のホールと1階のダイニングを見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階から2階への階段 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 2階、ホールより「上のリビング」を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 2階、左:ホール、右:「上のリビング」 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 2階、「上のリビング」よりホール側を見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 2階、ホールより1階のリビングを見る。 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、リビングより2階のホールと1階のダイニングを見る、夕景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、リビングより2階のホールと1階のダイニングを見る、夕景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、ダイニングからキッチン側を見る、夕景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、ダイニングより開口部越しに外部を見る、夕景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階、キッチンよりダイニングを見る、夕景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す ポーチ、夜景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 外観、南東側より見る、夜景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 外観、南西側より見る、夜景 photo©鳥村鋼一
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 1階平面図 image©廣部剛司建築研究所
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 2階平面図 image©廣部剛司建築研究所
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 断面図 image©廣部剛司建築研究所
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 断面図 image©廣部剛司建築研究所
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 北側立面図 image©廣部剛司建築研究所
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 東側立面図 image©廣部剛司建築研究所
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 西側立面図 image©廣部剛司建築研究所
廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す 南側立面図 image©廣部剛司建築研究所
以下、建築家によるテキストです。
部分発想からモーダルプランニングへ
計画地は、別荘地として1970年頃に開発されたものの、今まで一度も建築行為のなされることがなかった区画。
そこは鬱蒼とした樹木に覆われた傾斜地であった。そのため、まず車両が入れる斜路を整備しなくてはいけないこと、敷地内の樹木をある程度伐採しないと建築をつくることができないという条件であった。
何度か敷地を訪れるうちに一本の姫沙羅(ヒメシャラ)の大樹が中でも特別な存在感を持っていることに気付き、伐採せずに共存する方法を模索し始めた。ローカルルールで設定されている壁面後退(3m)と道路からの離隔(10m)を考慮すると、その樹木は建築可能エリアのほぼ中央付近に位置していた。そのため、樹木に対して少し遠慮しながら、建築で取り囲むようにプランニングを進めていった。
一本の樹木を中心点として、求心的にプランニングをしているが、ここではあえて角度を揃えてシンメトリカルにしようとはしていない。あえて、それぞれの場に必要な空間ボリュームのために角度のパラメーターをフリーにして、その結果顕れることをコントロールしていく手法をとっている。
基本的に1人もしくは2人、と少人数で滞在されることが多いということも設計条件のひとつであったため、角度を連続的に操作することによって、それぞれの場に居心地が良いと感じられるスケール感を与えていくことができた。必要な詳細平面寸法については、各エリアのアクティビティが微細なスケール調整を誘発したといえる。
恩師・芦原義信先生はアアルトの建築を例に「部分発想」というワードで全体主義的プランニングではない手法を説いたが、ここではさらに幾何学的な「たが」を少し外してしまうことによって得た自由度をモーダルに(JAZZの用語で、キー(調)ではなくコードで曲を構成していく手法)展開している。
岬の突端のような段差の傾斜地に、建築をどのように載せるのかということは構造上の懸案事項であった。ここでは、基礎が深く大きくなりすぎないために、平面の3分の1ほどをオーバーハングさせることで接地面積を減らし、岩盤質の地盤に載せている。構造的には、基礎から2階の床までをRCとして、その上に木造の架構を載せている。
図書スペースとしての使用を主眼に構想された上階では、先に説明した平面形を引き継ぎながら、木造の架構部は下階から誘導される平面形に加えて、高さ方向のボリュームを三角形構面の頂点をパラメトリックに可変させることで連続的に変化させている。
全体としては中央近くの部分がピークとなり、東西の両端部で絞り込んでいる。絞り込んだ両端部分は、中2階や吹抜を経て1階の領域と連続的な繋がりをもたらすと同時に、全体を一つの「完結した屋根」として認識させる効果を生んでいる。
その検討は3Dデータで繰り返し検証しながら進められた。
「PHASE DANCE(フェイズ・ダンス)」という名称は、様々なフェイズ(局面・様相)において、それぞれどのように対応していくのかと考え続けていた行為が「ダンス」のようだと感じたこと、全体の形が三日月のような形態をしていることから「Moon Phase(月の満ち欠け)」を連想させること、パット・メセニー(ギタリスト)の同名曲の持つ透明感とスピード感にインスパイアされている。
環境に対しての親和性を持つこと、連続的なシーンを繋げること。それらは常に内部空間を変奏していく行為として計画された。それは、森と共に過ごすための空間に、ヒューマンなスケール感をもたらすための道筋でもあった。
(廣部剛司)
■建築概要
題名:PHASE DANCE
所在地:静岡県伊東市
主用途:週末住宅
設計:廣部剛司建築研究所 廣部剛司 担当/齋藤育江(元所員) 、牧野里咲
構造設計:TS構造設計 佐藤岳人(RC部分)、シェルター(木造部分)
施工:大同工業
構造:混構造(1階RC造、2階木造)
階数:地上2階
敷地面積:1124.35㎡(339.43坪)
建築面積:122.54㎡(36.99坪)
延床面積:197.16㎡(59.52坪)
設計:2015年9月~2018年7月
工事:2018年8月~2019年4月
竣工:2019年4月
写真:鳥村鋼一