浅井正憲+浅井百合 / 浅井アーキテクツが設計した、東京・足立区の「丸井スズキ足立事業本部新社屋」です。
菓子専門商社の施設の建替の計画です。建築家は、“部署間の連携強化”を目指し、分棟だった事務所と物流倉庫の一体化に加えてオフィスをワンフロアに収める構成を考案しました。また、複雑な関係を視覚化して働く人が“協働”を意識できる建築を造ることも意図されました。
明治28年創業の菓子専門商社、株式会社丸井スズキの事業本部の東京都足立区南花畑での建替えプロジェクトです。
分棟であった事務棟と倉庫物流センターを上下に重ね、メインオフィスをワンフロアに収めることによって部署間の連携強化を図り、社内の一体的な活動を促す構成としました。
1階はプロセスセンター(流通加工部門)、2階はメインオフィス、3階はプレゼンテーションの場と社内コミュニケーションの場、キッチンスタジオや品質検査室などの専門室で構成されています。企画、商品開発、品質管理、営業、バックオフィスチーム、物流センターなど社内の多岐にわたる業務それぞれに携わるワーカーが一体感をもてるよう、業務の流れをひとつの矩形の建築に集め、複雑な関係性が視覚的、空間的に現れることで「協働」を意識することができる、ひとつの街のようなオフィスを目指しました。
2階のメインオフィスがプロセスセンターのトラックヤードの庇代わりに張り出しているので、東面のカーテンウォールを介してオフィスから出庫するトラックが見える、トラックも入ってくるときオフィスの下階へ入り込んでいくような動線とするなどお互いの動きを感じることができます。
建物の奥行が物流倉庫に合わせて深いため、2階メインオフィス中央には3階と視線がつながる光が入り込んでくる吹き抜けがあり、3階部分で外気に面することで中間期には重力換気に用いることもできます。また、3階のコミュニケーションコーナーや企業フェアなどを行うプレゼンテーションスペース、ライブラリースペースともつながり、メインオフィス内の活動が社外の様々な事業につながっていくイメージを感じられるよう意図しました。
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以下、建築家によるテキストです。
明治28年創業の菓子専門商社、株式会社丸井スズキの事業本部の東京都足立区南花畑での建替えプロジェクトです。
分棟であった事務棟と倉庫物流センターを上下に重ね、メインオフィスをワンフロアに収めることによって部署間の連携強化を図り、社内の一体的な活動を促す構成としました。
1階はプロセスセンター(流通加工部門)、2階はメインオフィス、3階はプレゼンテーションの場と社内コミュニケーションの場、キッチンスタジオや品質検査室などの専門室で構成されています。企画、商品開発、品質管理、営業、バックオフィスチーム、物流センターなど社内の多岐にわたる業務それぞれに携わるワーカーが一体感をもてるよう、業務の流れをひとつの矩形の建築に集め、複雑な関係性が視覚的、空間的に現れることで「協働」を意識することができる、ひとつの街のようなオフィスを目指しました。
2階のメインオフィスがプロセスセンターのトラックヤードの庇代わりに張り出しているので、東面のカーテンウォールを介してオフィスから出庫するトラックが見える、トラックも入ってくるときオフィスの下階へ入り込んでいくような動線とするなどお互いの動きを感じることができます。
建物の奥行が物流倉庫に合わせて深いため、2階メインオフィス中央には3階と視線がつながる光が入り込んでくる吹き抜けがあり、3階部分で外気に面することで中間期には重力換気に用いることもできます。また、3階のコミュニケーションコーナーや企業フェアなどを行うプレゼンテーションスペース、ライブラリースペースともつながり、メインオフィス内の活動が社外の様々な事業につながっていくイメージを感じられるよう意図しました。
2階は全体的にフリーアドレスの部署が多いのですが動きのあるワークスペースは東側、反対に西側は公園の緑を眺められるようにしてほしいという要望から、開閉できる開口部を多くとり穏やかな雰囲気とし固定席の多い構成としています。将来的な会社の体制や世の中の動きなどの変化にも柔軟に対応できるように、インテリアや間仕切りは今後の可変性を意識して植栽を多く活用しています。
天井はデッキ表しとして天井高さをできるだけ確保すると共に、空調機、換気機器の本体が入る箇所をボックス状の下がり天井とし、ライン照明を横向きに設置してデッキ下面とボックス側面に光をあてて明るさを拡散させています。箱は岩綿吸音板を用いることで、全体に対して十分な吸音性能を確保しました。
3階の品質検査室やキッチンスタジオ・撮影スタジオなど専門諸室も独立させてしまうのではなく、コミュニケーションスペースに接続することにより、社員がその活動の様子が感じられる接点をつくるようにし、社内の連携を高める効果を期待しています。さまざまな部署の社員が自然に集まり会話が生まれるなど、一体感を持って働ける構成を目指しました。
また、ショールームライブラリーはお客様をお迎えするプレゼンテーションの場であり、社員が日頃目にしやすい場所でもあるように3階コミュニケーションスペースと連続して設けました。
これまで取り扱ってきた商品の歴史を丁寧に伝えると共に、同時に店舗でのレイアウト見本などを行えるよう、静かな資料室というより動的な要素をもつ空間の一部として構成し、普段から社員、お客様が接することができる場としました。可動間仕切りを収納すると一体の大空間として使えるようになっており、社外向けの展示会や社内外のイベントなどを行う予定です。
3階のこれらのスペースは屋外テラスともつながり、公園の緑を眺めることができ、また会社のお花見イベント時も活用できる場所としました。
東京23区であっても都心から少し離れると、物流センターと1000㎡を超えるようなオフィススペースを一体的に確保できます。今回のクライアントのように、物流ジャンルのトップ企業がそのような立地で企業活動を行うことで、近隣との間にも魅力的な出来事が起き、それがおおらかに地域全体へ波及、共存していく効果が期待されます。
■建築概要
題名:株式会社丸井スズキ足立事業本部新社屋
所在地:東京都足立区
主用途:事務所、倉庫業を営まない倉庫
設計:浅井アーキテクツ 担当/浅井正憲、浅井百合
施工:株式会社三浦工務店
協力:川村構造設計室、ピーエーシー
構造:鉄骨造
階数:地上3階
敷地面積:2056.42㎡
建築面積:1103.58㎡
延床面積:2755.08㎡
設計:2020年9月~2021年11月
着工:2021年11月
竣工:2023年2月
使用開始:2023年6月
写真:鈴木文人写真事務所