SHARE オンデザインの内装デザインによる、大阪市の「QUINTBRIDGE」。交流と共創を促すオープンイノベーション施設。協働の場に必要な“オープンでフレキシブル”に応えつつ、集団の中でも“緊張せず過ごせる”場を志向。距離や視線を什器等で細かく“チューニング”して空間を作る
澤井紗耶加+佐野敦彦+棗田久美子+オンデザインが内装デザインを手掛けた、大阪市の「QUINTBRIDGE」です。建築設計はNTTファシリティーズが手掛けています。
交流と共創を促すオープンイノベーション施設の計画です。建築家は、協働の場に必要な“オープンでフレキシブル”に応えつつ、集団の中でも“緊張せず過ごせる”場を志向しました。そして、距離や視線を什器等で細かく“チューニング”して空間を作りました。施設の公式サイトはこちら。
QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)は大阪、京橋のNTT西日本 i-campus敷地内に建つオープンイノベーション施設。
さまざまな立場の会員・パートナーが出会い、働き、新たな社会課題解決や事業創造をする拠点をめざし2022年3月にオープンし、この2年間で大企業・スタートアップ・自治体・大学などの共創パートナー1,462社、QBメンバー約2万人以上が登録し(2024年6月時点)、多くの人の活動をつなぐ拠点となっている。
共創や協働の場所はオープンでフレキシブルであることが求められる。互いの活動が見えることは、場所と時間を共有する施設において不可欠な要素だ。多くの活動が共存している場所は活気があり華やかだが、その一方で、集団の中で人はどうしても緊張を伴う。コニュニケーションを活発にしようとするときに、そういった緊張はできるだけ少ない方が良い関係性が始められるのではないかと考えた。
数人の集まりのように気楽で、緊張せず、居心地よく過ごしながら、同時にフロア全体の活動を一つの集合体として認識できる場所を目指した。人が緊張しない距離や、視線の隠し方のバランスを探して什器や空間を細かくチューニングしながら各階1000㎡の空間をデザインした。
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以下、建築家によるテキストです。
QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)は大阪、京橋のNTT西日本i-campus敷地内に建つオープンイノベーション施設。
さまざまな立場の会員・パートナーが出会い、働き、新たな社会課題解決や事業創造をする拠点をめざし2022年3月にオープンし、この2年間で大企業・スタートアップ・自治体・大学などの共創パートナー1,462社、QBメンバー約2万人以上が登録し(2024年6月時点)、多くの人の活動をつなぐ拠点となっている。
この共創施設のプロジェクトは、NTT西日本+コクヨ(オフィスリサーチ)+UDS(企画運営)+オンデザイン(内装設計)+NTTファシリティーズ(建築設計)をチームメンバーとし、計画から運営まで一貫した体制で議論しフロアデザインした。
フレキシビリティと居心地の共存
共創や協働の場所はオープンでフレキシブルであることが求められる。互いの活動が見えることは、場所と時間を共有する施設において不可欠な要素だ。多くの活動が共存している場所は活気があり華やかだが、その一方で、集団の中で人はどうしても緊張を伴う。コニュニケーションを活発にしようとするときに、そういった緊張はできるだけ少ない方が良い関係性が始められるのではないかと考えた。
数人の集まりのように気楽で、緊張せず、居心地よく過ごしながら、同時にフロア全体の活動を一つの集合体として認識できる場所を目指した。人が緊張しない距離や、視線の隠し方のバランスを探して什器や空間を細かくチューニングしながら各階1000㎡の空間をデザインした。
3層のフロアは上階に向けて異なる事業フェーズを示している。1階はイベントと交流を中心とした「新たな出会いのフロア」とし、レンガタイル仕上げの段差と腰壁が地形のように空間に隆起している。100人単位のイベントでも10人単位の小さなまとまりとして居心地を感じられ、様々な活動を横目に見ながら自分の場所を探し、公園の中を散策するように居場所を選べる。
2階はアイデアやプロジェクトを形にしていくための「アイデア実現フロア」とし、共創を育てるスタジオをカーテン、什器、壁などの強弱の違う仕切りを動かし活動に合わせバランスを整えることができる。スタジオのグリッドを建物の輪郭に対して斜め45度に振ることで、思いがけない視線の抜けや出会いが生まれた。フロアに上座下座の認識が無いフラットな関係性とした。
3階は事業拡大フロアとして中心にコミュニケーションのための什器を集め、それを囲むように小さなオフィス群とフリースペースで構成した。
新旧を掛け合わせる素材の使い方
電電公社からの長い歴史を引き継ぎつつ、新しい挑戦に挑む共創のスペースとして、1階はレンガの素材を選択した。同材でフロアを連続する床素材は、細分化した場所を一連の流れに引き戻して「一つの空間」と認識する手助けをしている。一方で家具は素材や座面の高さ、新旧家具をグルーピングしながら配置し、場所ごとのキャラクターを作り、集団を少人数に細分化する要素とした。
記憶を継承するため旧本社から古い家具を選定して、それらの張地や色を更新し利用した。また、廃棄されたLANケーブルを使ったシェードや、電話帳のページを圧縮した天板など、廃棄物を利用した素材を取り入れることで、新たな発想を生み出していく共創の場として相応しい空間を目指した。
(澤井紗耶加+佐野敦彦+棗田久美子+オンデザイン)
■建築概要
題名:QUINTBRIDGE
所在地:大阪市都島区東野田町
建築設計:NTTファシリティーズ
施工:竹中工務店
内装設計:澤井紗耶加+佐野敦彦+棗田久美子(当時所員)+オンデザイン
内装設計協力
照明デザイン:岡安泉照明設計事務所
カーテン:安東陽子デザイン
グラフィック:小林一毅
植栽計画:そら植物園
構造:鉄骨造
階数:地上3階 塔屋1階
敷地面積:31,008.84㎡
建築面積:1,904.67㎡
延床面積:4,120.80㎡
1階床面積:1,403.25㎡
2階床面積:1,314.82㎡
3階床面積:1,313.76㎡
塔屋床面積:88.95㎡
設計:2018年5月~2019年5月
工事:2019年11月~2021年10月
竣工:2021年12月(QUINTBRIDGE内装)
写真:鳥村鋼一
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外構・床 | 1階外構 | 特注レンガタイル貼り(国代耐火工業所) |
外構・壁 | 1階外構 | 特注レンガタイル貼り(国代耐火工業所) |
内装・床 | 1階 床 | 特注レンガタイル貼り(国代耐火工業所) |
内装・壁 | 1階 壁 | 特注レンガタイル貼り(国代耐火工業所) |
内装・造作家具 | 1階 エントランスベンチ | パレット古材(パレットハウスジャパン) |
内装・造作家具 | 1階 カウンター | |
内装・床 | 2階 床 | GRCの上防塵塗装(ニチアス) |
内装・壁 | 2階 特注パーティション | エキスパンドメタルの上SOP塗装(コクヨ) |
内装・壁 | 2階 壁 | ラワン合板の上WP塗装 |
内装・床 | 3階 床 | |
内装・壁 | 3階 壁 | PB+EP |
内装・造作家具 | 3階 什器 | OSBボードの上ウレタン塗装(コクヨ) |
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