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安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する
photo©釣井泰輔

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BEYOND ENGINEERINGU Lighting Office安藤祐介宮地電機宮畑周平西安建設釣井泰輔建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・キッチン)建材(内装・浴室)建材(内装・設備)住宅図面ありリノベーション愛媛
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、西側より見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する俯瞰、屋根を見る。 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するリビングからキッチンとダイニングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する天井を見上げる。 photo©釣井泰輔

安藤祐介建築空間研究所が設計した、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」です。
都心から移住する家族の為に既存民家を改修する計画です。建築家は、改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案しました。そして、構成や素材もストーリーに基づき決定しました。

都心部から地方へ移住する家族のため、築32年の平屋建て木造住宅の全面改修を行った。

本計画は当初、分譲地への新築か、中古民家の改修か、土地や物件探しからスタートをした。候補となった中古民家は、正方形プランに方形屋根が大きく架かった一塊に見える特徴的な形をしており、天井裏には室内からは見ることができなかった小屋組みと広大な空間が広がっていた。

建築家によるテキストより

移住者である家族と既存家屋の特徴を重ね、住まいを「家族を乗せた宇宙船」と解釈し、「遠い場所から移動を終えこの地に降り、既存空き家に取り付き新しい生活を展開する」というストーリーを立て、空間構成やマテリアルの選定を行うこととした。このストーリー仕立ての設計により、「新築よりも面白いものができるはず」と、中古民家の改修をよりポジティブに選択してもらえるようになった。

建築家によるテキストより

既存家屋の外周軒下部分を増床し外壁を700mmほど屋外側に移動させ、収納やカウンターテーブル、家電スペースなど機能的な役割を配している。既存基礎の構造詳細が不明であったことから、増築部分の一部の新設基礎と外壁が、家全体を補強する構造計画とし、残りの部分は元の外壁からセットバックすることで無柱の水平開口を実現させた。L字に広がる水平連続窓には船のコクピットをイメージしたカウンターテーブルを設け、着陸後は田園風景を望む眺望窓となっている。

また、航行中に船外を魚眼のように広く確認するための凹レンズ窓が複数埋め込まれており、着陸後は凹レンズの特性が外光を広げる採光用トップライトとして機能している。外観にも複数の丸い天窓が宇宙船をアイコニックに表す。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する俯瞰、屋根を見る。 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、西側より見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、玄関側を見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、玄関を見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する玄関側からダイニングを見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する玄関側からダイニングを見る。(カーテンを閉めた状態) photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するダイニングからリビングを見る。 photo©釣井泰輔
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安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する凹レンズの天窓 photo©宮畑周平
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する左:主寝室、正面:洗面所 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するダイニング側からキッチンを見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するキッチンからダイニング側を見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する子供室1、子供室2 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する主寝室 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する脱衣所の建具 photo©宮畑周平
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する浴室 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する玄関側からダイニングとリビングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するリビングからキッチンとダイニングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する主寝室側からリビングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するダイニングからリビングを見る、夜景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、西側より見る、夜景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、南西側より見る、夜景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する平面図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する改修前平面図、改修後平面図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する断面図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する環境改修詳細図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するトップライトスケッチ
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するトップライトダイアグラム image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する構成ダイアグラム image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するストーリーボード image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する着陸後トップライト image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する航行中魚眼窓 image©Yusuke Ando Architects

以下、建築家によるテキストです。


都心部から地方へ移住する家族のため、築32年の平屋建て木造住宅の全面改修を行った。

本計画は当初、分譲地への新築か、中古民家の改修か、土地や物件探しからスタートをした。候補となった中古民家は、正方形プランに方形屋根が大きく架かった一塊に見える特徴的な形をしており、天井裏には室内からは見ることができなかった小屋組みと広大な空間が広がっていた。

移住者である家族と既存家屋の特徴を重ね、住まいを「家族を乗せた宇宙船」と解釈し、「遠い場所から移動を終えこの地に降り、既存空き家に取り付き新しい生活を展開する」というストーリーを立て、空間構成やマテリアルの選定を行うこととした。このストーリー仕立ての設計により、「新築よりも面白いものができるはず」と、中古民家の改修をよりポジティブに選択してもらえるようになった。
 
既存家屋の外周軒下部分を増床し外壁を700mmほど屋外側に移動させ、収納やカウンターテーブル、家電スペースなど機能的な役割を配している。既存基礎の構造詳細が不明であったことから、増築部分の一部の新設基礎と外壁が、家全体を補強する構造計画とし、残りの部分は元の外壁からセットバックすることで無柱の水平開口を実現させた。L字に広がる水平連続窓には船のコクピットをイメージしたカウンターテーブルを設け、着陸後は田園風景を望む眺望窓となっている。

また、航行中に船外を魚眼のように広く確認するための凹レンズ窓が複数埋め込まれており、着陸後は凹レンズの特性が外光を広げる採光用トップライトとして機能している。外観にも複数の丸い天窓が宇宙船をアイコニックに表す。

既存家屋に残されていた家具には、新設の造作家具に組み込まれるように場所と役割を与え、表しとなった柱梁と共に、新旧の要素が緊張感のあるバランスで共存する空間となることを目指した。他にも着陸ハッチである玄関アプローチと扉や、軒の出を無くし屋根から壁までを鋼板横一文字葺きしたマッシブな外観も、宇宙船のストーリーを元にしている。

今回のナラティブな設計手法は、既存建築と移住者との新たな関係を生み出し、また設計を突拍子のない方向へ飛躍的に発展させる一つの思考法となった。

■建築概要

題名:異郷人の家 / 凹レンズハウス

所在地:愛媛県西条市

主用途:専用住宅

設計:安藤祐介建築空間研究所 担当/安藤祐介、森梢

構造設計:Beyond Engineering 担当/木村洋介
照明計画:U-Lighting Office 担当/松隈祐紀、宮地電機株式会社
施工:西安建設株式会社


構造:木造

階数:地上1階

建築面積:163.26㎡(改修部分112.46㎡)
延床面積:163.26㎡(改修部分112.46㎡)
設計:2022年4月~2022年10月

工事:2022年10月~2023年4月

竣工:2023年4月
写真:釣井泰輔、宮畑周平、Yusuke Ando Architects


建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

ガルバリウム横一文字葺き(マツハイヤ)

外装・壁外壁

ガルバリウム横一文字葺き(マツハイヤ)

内装・床床

複合フローリングt=15 サンマキアージュ(IOC)
大理石タイル ジュラベージュ(松下産業)

内装・壁壁

木毛セメント板t=15 EP塗装(栄進工業)

内装・天井天井

木毛セメント板t=15 EP塗装(栄進工業)

内装・キッチンキッチン

キッチン水栓:SUTTOシングルワンホールスプレー混合栓(SANEI)
キッチントップ:キッチントップステンレスバイブレーション仕上げ(シゲル工業)

内装・浴室浴室

ハーフユニットバス1317(日比野化学工業)

内装・設備コンセントスイッチ

アドバンスシリーズ(Panasonic)

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません


We undertook a complete renovation of a 32-year-old single story wooden house for a family moving from a city to a countryside.

In planning the renovation, the family relocation and the characteristics of the existing house were superimposed, and the house was interpreted as a “spaceship carrying the family”. The spatial composition and materials were selected based on the storyline of “a family that moves from far away, lands here, and takes over itself to an existing vacant house to develop a new life”.

The original house was a simple square building with a pyramid shaped roof, and behind the ceiling was a roof truss structure and a vast space that could not be seen from the interior. We removed the existing ceiling and all partitions between each room, and connected the upper and lower beams to create an almost one-room open space.

In addition, the exterior walls were set back about 700mm, and the area under the eaves, which used to be outdoors in the existing house, was incorporated as an indoor space. This additional floor space was made to function as a space for storage, a counter, and a place for home appliances. The new foundation and exterior walls around the perimeter of the house has also increased the structural strength of the house.

Several concave lens windows are embedded in the spacecraft to provide a fisheye-like view of the outer side while it is underway, and they function as top lights for lighting after landing. Taking advantage of the characteristics of the concave lenses to spread out light, the windows are made as small as possible to maintain the roof’s thermal insulation performance, while allowing natural light to softly enter as wide an area as possible. Multiple round skylights are also iconically displayed on the exterior, emphasising the spaceship feel.

The L-shaped horizontal series of windows and counters resembles a cockpit, and the entrance and approach resemble a landing hatch, where these designs evolve based on the story.

The house is roofed with galvanized steel panels in a straight line from the roof to the wall, creating a massive appearance that makes the house look like a huge solid piece. The original roof tiles were removed and replaced with steel panels to significantly reduce the weight of the roof and improve earthquake resistance.

Furniture left in the existing house was given a place and role so that it could be incorporated with the new custom-made furniture, and together with the exposed pillars and beams, we aimed to create a space in which the old and new elements coexist in a tight balance.

The narrative design approach that we have taken in this design, is a way of thinking that reimagines the relationship between architecture and people, and dramatically expands the design in a direction that we had not expected.

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