山口純建築設計事務所が設計した、愛媛・松山市の「南町の家」です。
住宅地に建つ設計者の自邸です。建築家は、客人を招く為の書斎の設置を前提とし、奥に向かって“プライベート性”が高まる動線計画の建築を考案しました。また、何処にいても“家族の気配”も感受できるように上下階を吹抜で繋ぐ等の操作も行いました。
敷地は愛媛県松山市の中心地と道後温泉の中間に位置する住宅地。
この住宅は設計者の自邸であり、一角に来客を招くことのできる小さな書斎を設えている。
そのため、間取りには細心の注意が払われている。玄関から奥に進んでいくにつれてプライベート性の高い空間になっていく動線計画。1階は書斎とLDK、2階は各個室と水回りと明確に機能を分けている。
しかし、各スペースは間接的につながっており、例えば書斎とダイニングキッチンはガラス戸でつながっていたり、1階と2階は吹抜けでつながっていたりと、どこに居ても微かに家族の気配を感じることができる家になっている。
内装、構造材は、地元のスギ材を使用。外壁には気候風土に合っているのだろうということで、愛媛では古くから使われている焼杉を使用。板張りは大工さんの手仕事を感じることができる。
しかし、焼杉は近年県内の住宅ではあまり使われない。古くさいと思われているからだ。だからこそ、焼き杉の魅力を伝えたいと思い自邸に採用している。
内装は、壁と天井は白塗装を基調とし、床は地元のスギ無垢材を使用。植物、家具、書籍、アートなど生活を彩るものを際立てるため、ニュートラルな空間に仕上げている。
また、開口部の配置を工夫することで、カーテンのいらない生活が可能になり常に窓から木々を眺めながら生活することができる。光がどこかから常に入ってきて、季節・時間によって空間は表情を変え続ける。