SHARE 迫慶一郎/SAKO建築設計工社による”(仮)春風中日友好小学校”
迫慶一郎/SAKO建築設計工社が設計している中国四川省綿竹市の”(仮)春風中日友好小学校”です。四川大地震の後、迫が取り組んでいる”耐震性の強い小学校を無償でつくり贈る”というプロジェクトです。
以下、建築家によるテキストです。
【現状説明】
四川大地震の後、建築家という職能を活かして貢献したいと思い「耐震性の強い小学校を無償でつくり贈る」というプロジェクトを始めました。
中国の日系企業の力を結集すれば、一校の小学校の建設は叶うのではないかと思いました。
主旨に賛同して頂いた多くの日系企業の方々、さらに中国の企業の方々も参加して頂き、現在は日中合作のプロジェクトとして進行しています。
【四川省綿竹市春溢小学校(仮)】
地震被害のひどかった四川省綿竹市に1学年2クラス合計540人のための小学校の建設を行い、無償で提供致します。
11月9日に着工式を行いました。
校名の命名権があります。
【建設資金と工期】
全体事業費のうちまだ4割ほどの費用が不足しています。(11月9日現在)
そのため工期を分け、1期工事として普通教室部分の工事を始めました。
資金が整い次第、残りの工事を始めたいと考えています。
【デザインの特徴】
小学生にとって6年間の共同生活は、情緒性を育む最も重要な時期であると考えます。そのため教室群が中庭を巡って集まるような配置としました。
この配置形式は、世界中の原始的な集落に見られるものです。「集まって生活すること」の意味を学んで欲しいと思っています。
図面右側の円が普通教室部分、左側が特別教室部分です。真ん中には、食堂とトイレがあります。
【耐震構造の特徴】
日本の耐震技術である鉄骨版ツーバイフォー工法「スチールハウス」を採用します。
柱の代わりに壁で建物を支えるツーバイフォー工法(枠組壁工法)は、もともと高い耐震性を発揮しますが、枠材を剛性に秀でた軽量形鋼
(厚さ1mm程度)とすることで、さらにその性能を高めることができます。
【スチールハウス工法の特徴と意義】
耐震性以外に3つの秀でた特徴があります。
[短工期]
工場で加工し現場で組み立てる方式であるため短工期が可能となります。
仮設校舎での授業を余儀なくされている子供達に快適な校舎を早く提供できます。
[高性能]
外断熱通気工法を採用するため断熱性能の高く、年間を通して温度差の少ない快適な室内空間が実現できます。
[省資源]
従来型の鉄骨構造と比較しても大幅に少ない鉄骨使用量で耐震性の高い建物を建てることが出来ます。
四川では今後莫大な量の再建が必要となります。鉄筋コンクリート造と比較して、環境に対する負荷が圧倒的に軽減されることは、大きな意義を持つと思います。
再建のひとつのモデルを提案できないかと考えています。
□概要
用途:小学校
所在地:中国四川省綿竹市
実施段階: 進行中
設計期間: 2008.06-
施工期間: 2008.11-2009.05
竣工日時:2009.05(予定)
規模:地上1階
敷地面積:16,150㎡
建築面積:2,020㎡
延床面積:3,800 ㎡