SHARE 増田信吾+大坪克亘による”はしらしは”
増田信吾+大坪克亘が設計した展示スペース”はしらしは”です。現存する建物のひと部屋を展示室にしたいという企業からの依頼によりデザインされました。
以下、建築家によるテキストです。
このプロジェクトは現存する建物の一部の余った部屋を展示室にしたいというある企業からの依頼であった。実測した結果、内寸約3.4×6.1m長方形の小さな何もない部屋であった。要求に対する空間の設計は困難を極めた。現状と要求により私たちは”せまい、ひろい部屋”という矛盾した部屋が設計の目的となり、施主との話し合いの末、実験的に小さな空間の分節を行った。
私たちがイメージしたのは単純に空間に”表と裏”,”内と外”を複雑につくり込んでいくのではなく、何か時空を超えて2つのパラレルワールドが1つの小さな部屋の中に同在し、その両方を一瞬で行き来できるような状況であった。
単純な”距離感”は失われ、極端に明度の違う2つの世界は目の明暗の順応で、孤立したり共存したりと劇的に変貌する。開口から回り込む音や匂いは予想を裏切り違う場所へと送られる。
それは私たちの五感をゆさぶり感じたことないリアリティーを与えてくれ、そして新たな場所性のあり方を築ける可能性を感じさせた。
□概要
設計 増田信吾+大坪克亘
パーツ制作 ひとつぎ美工
組み立て仕上げ セルフビルド
2007年11月竣工