小滝健司+高藤万葉 / TOAStによる、茨城・つくば市のオフィス「みどりの会所」。人口増が見込まれる地域での計画。通常機能に加えて災害時等に地域の人々が集まれる場を求め、家の様な温かみと公共施設の様な大らかさを持つ存在を志向。木架構の大庇と開かれた平面構成を特徴とする建築を考案俯瞰、南側より見下ろす。 photo©中山保寛写真事務所
小滝健司+高藤万葉 / TOAStによる、茨城・つくば市のオフィス「みどりの会所」。人口増が見込まれる地域での計画。通常機能に加えて災害時等に地域の人々が集まれる場を求め、家の様な温かみと公共施設の様な大らかさを持つ存在を志向。木架構の大庇と開かれた平面構成を特徴とする建築を考案1階、エントランスから事務室側を見る。 photo©中山保寛写真事務所
小滝健司+高藤万葉 / TOAStによる、茨城・つくば市のオフィス「みどりの会所」。人口増が見込まれる地域での計画。通常機能に加えて災害時等に地域の人々が集まれる場を求め、家の様な温かみと公共施設の様な大らかさを持つ存在を志向。木架構の大庇と開かれた平面構成を特徴とする建築を考案2階、ホワイエから1階のエントランス側を見る。 photo©中山保寛写真事務所
小滝健司+高藤万葉 / TOAStが設計した、茨城・つくば市のオフィス「みどりの会所」です。
人口増が見込まれる地域での計画です。建築家は、通常機能に加えて災害時等に地域の人々が集まれる場を求め、家の様な温かみと公共施設の様な大らかさを持つ存在を志向しました。そして、木架構の大庇と開かれた平面構成を特徴とする建築を考案しました。
茨城県つくば市に建つ整形外科専門の医療機器ディーラーのオフィスである。
元々、なだらかな林の広がる「みどりの」と名付けられたこの丘陵地は、近年の大規模な区画整理事業によって、多くの宅地や事業用地が開発されてきた。まだその途上ではあるが、東京近郊の郊外において今後の人口増加が確実視される地域にこの建物は位置する。
事業用エリアと住居エリアのちょうど境界に位置し、住民が増えるであろうこの土地に新たにオフィスを据えるにあたり、クライアントは社のオフィスとしての機能を超え、外からも人が集まれるような場を求めた。
医療従事者が日常的な会合に使うことや、地域の人々が災害時も含めて集まれるような場を、どのようにオフィス機能と併存させるかがこの建物におけるテーマとなった。
医療器具の搬入搬出が繰り返されるこの建物において、倉庫と荷の積み下ろしの際の雨除けとなる大きな庇が必要とされた。
この庇を手がかりとして、建物全体を覆う柔らかな屋根によって全体を統合するイメージを構想した。
ホールやオフィスといった用途から、スパンの飛ばせる鉄骨によって柱梁のメインフレームは構成しつつ、屋根や床といった身体を覆うあるいは支える部位は木造によって構成した。木造による屋根はシンプルな切り妻屋根をベースとしながら、自然採光のためにずらし、屋根頂部より自然光の降り注ぐ明るく柔らかい印象の空間を作り出す家形となった。
木の小梁は流通材の規格を使いながら片持ちの庇を構成するため、ずらして継ぐことで、継手に金物を使わない方法を採用した。
この継ぎ手によってあたかもルーバーが重なり合うような力学的な印象を与えないものとなり、屋根から建物の前面に向かって大きく張り出している。屋根が大きく外部へと迫り出すことで、庇としての機能も果たすような建物の在り方が、寺社仏閣に代表されるような日本建築のように、多くの人を迎え入れる懐の深い外観を作り出すことを意図した。