
SHARE 【ap編集長の建築探索】vol.002 富永大毅+藤間弥恵 / TATTA「WOODSTOCK House すぎんち」

「ap編集長の建築探索」は、23年の歴史ある建築ウェブメディア「アーキテクチャーフォト」の編集長である後藤連平が、訪問した建築を紹介する連載シリーズです。論考のようなかっちりとした形式ではなく、現地で感じた雰囲気や空気感が伝わるような“ライブ感”のある文体で綴ります。読者の皆様も自身が建築を体験するように読んでいただければ幸いです。
富永大毅+藤間弥恵 / TATTA「WOODSTOCK House すぎんち」
同世代の建築家である、富永さんと藤間さんが主宰するTATTAの改修設計による御自邸「ウッドストックハウス」を拝見した。
2年ほど前に完成しているのだけれど、八王子芸術祭2025年の開催に合わせてオープンハウスが行われたので伺った。(※芸術祭の会期は終了しています)
元々お祖母さまが、住まわれていた住宅を賃貸向けに改修を進める中で、自分たちで住んだら面白いのではないか、と思い都心部から移住されたのだという。
この建築は、アーキテクチャーフォトでも作品として紹介させてもらっていたので、概略は知っていたのだけど、実際に住まわれている様子や、八王子という地域の話も含めて色々と伺えて勉強になったし、楽しかった。
以下の写真はクリックで拡大します


個人的には建物の中央にあり、耐震補強的な存在でもあり象徴的なデザインの書棚をみられてよかった。
本がない時には、もっとそれ自体のデザインがよく分かるのだけれど、本が入っているとその性質が、部屋の機能にも寄与している感じがして面白かった。
両側に本が収められるデザインなのだけれど、ワークスペース側は建築関係の本がずらっと並んでいて、その裏側には、漫画が収められている。この様子を拝見して、本棚を境界に空間の機能が切り替わる感じがした。
物をどうレイアウトさせるかで、部屋の空気感や用途を強化できるのだなと。物が入って完成するデザイン。
以下の写真はクリックで拡大します
また基本的には既存の開口部をそのまま生かしているのだけれど、部分的に、小さなFIX窓を足すことで、室内に広がりが生まれたり明るさを生み出したりしているところも絶妙にうまくて素晴らしかった。
あと、外観はあまり写真で見た記憶が無かったのだけれど、既存の外壁の色を踏襲しつつ、塗り分けることで、コストコントロールしながらも既存をアップデートする感じがあって、とても良いなと思った。
以下の写真はクリックで拡大します

最初に書いた八王子芸術祭に、TATTAも作家として参加していたで、地域にコミットしているお話もたくさん聞けて面白かった。
やっぱり、建築界隈の言語という共有した物があるので、そのような言葉を使って八王子という地域を説明してもらうと、すごく腑に落ちるし、納得感があって勉強になった。(そういう意味で、閉じていると批判されがちな建築界の言語的なものも重要な役割があるのではないだろうか)
富永さん、藤間さん、有難う御座いました!
(訪問日:2025年11月9日)
後藤連平(ごとう れんぺい)
アーキテクチャーフォト編集長
1979年、静岡県磐田市生まれ。2002年京都工芸繊維大学卒業、2004年同大学大学院修了。組織設計事務所と小規模設計事務所で実務を経験した後に、アーキテクチャーフォト株式会社を設立。22年にわたり建築情報の発信を続けており、現在は、建築と社会の関係を視覚化するWebメディア「アーキテクチャーフォト」の運営をメインに活動。著書に『建築家のためのウェブ発信講義』(学芸出版社)など。




