SHARE 平瀬有人+平瀬アトリエによる住宅”YNH”
photo© Takeshi YAMAGISHI
平瀬有人+平瀬アトリエが設計した東京の住宅”YNH”です。
以下、建築家によるテキストです。
戦国時代に大田道灌が『砦』としていたその周辺の土地の歴史性という時間軸とどのように連続性を持つかを主眼に考えた。敷地は北西が道路で南東が隣家に近接しているため、光の取り入れ方が大きなテーマとなった。『砦』のイメージから「類推」して計画した、スコットランド「ScotishTower-House(城館)」のような三層の吹抜空間が「光の筒」のような役割を担っている。住宅の中の広場のような「光の筒」を中心に各階の居室は配され、吹抜に設けられた開口部によって居室同士を視線で繋ぐ役割を果たしている。
グリッド状に連続する「自律的」な形式の開口部をファサードに持ち、周辺の環境や眺望や内部の機能と緩やかに関連してその大きさを「他律的」に変形している。アイレベルに開口部を連続させ、枠の納まりをフレームレスに近づけることで、狭小ながらも視線が内外に抜ける圧迫感の無い空間となった。居室は別の機能にも交換可能性を持つ仕様とし、環境の微差をとらまえた「祖型」の創出を目指した。
周辺環境の持つコンテクストを考える上で、拠り所となるのは周辺の建築の形態や開口部の位置よりも、ロングスパンで変化の少ない土木スケールの道路の持つ質感や色だと考え、それらの質感から連続して生まれた『砦』のような量塊を目指した。(平瀬有人)
■建築概要
構造・規模:木造・地上3階
敷地面積:57.21 m2
建築面積:37.66 m2
床面積:36.22 m2(1F) 35.06 m2(2F) 24.84 m2(3F)
延床面積:96.12 m2
設計期間:2009.12 – 2010.07
工事期間:2010.08 – 2010.12
意匠設計監理:平瀬有人+平瀬アトリエ
構造設計監理:森部康司|昭和女子大学
照明計画協力:早川亜紀|SLDA
写真:山岸剛|Takeshi YAMAGISHI
施工:美樹建設株式会社