SHARE 西澤徹夫による「東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー リニューアル」
4階情報コーナーを見る。左手の「眺めのよい部屋(旧休憩室)」へと導くオレンジ色のカーペット。視界に入る空間が完結しないよう本棚は見切れる位置に配置。
「眺めのよい部屋」の椅子。かつて休憩室で使用していたハリー・ベルトイアのワイヤーチェアは表面塗装を剥がし、新たにクロムメッキを施した。床のオレンジ色を映す。クッションはグレーに変更。
西澤徹夫による「東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー リニューアル」の写真です。
全ての写真についているコメントは西澤によるもの。
※クレジットはすべて「東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー リニューアル」(設計:西澤徹夫建築事務所、協力:ながやまのりこ計画)。
※写真とテキストの提供は「東京藝術大学美術学部建築科|大学院美術研究科建築専攻」のウェブサイトです。
既存のガラススクリーンを20度振って再設置。ミラーフィルムによって鏡像のパノラマが室内へ入り込む。皇居が一望できる。
既存ステンレス天板にアルミ板を付け足した窓際のカウンター。様々な造作物を整理し同じ材料で制作することがリニューアル全体の方針。タモを見切りに使用。
情報コーナー。既存展示室の一部をカタログ閲覧やパソコン検索ができるスペースに変更。
ハイライトコーナーは床の塗装を黒に変更。白い展示壁はN93から95へと少し明るく、ハイライトコーナーと日本画室は深い紺色としてテーマ性を高める。
タモで額装された章解説。各部屋の冒頭に横2枚×縦3枚のパネルが繰り返され章の始まりが自然と認識される。リニューアル全体のサイン計画は服部一成さんによるもの。
3階日本画室の侵入防止ロープと足元の結界ロープ。木部分はタモ。同じデザインを展示室全体に展開。
第3室から第4室と第5室を見る。黒く反射していた既存の床は全面を薄く削り、グレーのマットな仕上げとし全体的に明るい展示空間に変更。
第7室から第6室を見る。仮設壁で隠れていた柱を部屋の中央に露出させ、室内が一望できないこと、視覚的な回遊性によって閉塞感を減らす。
写真/映像室を窓越しに見る。小さな展示室なので壁面量を減らしても視界の抜けを優先。
写真/映像室。開口を分割して「窓」らしくするすることで親密感を出す。
日本画室。ハイライトコーナーと同様に床の反射を抑えた塗装。パノラマの展示ケースに対して、自由に動かせ、方向性を持たない剣持勇のラタンスツールを採用。美術館開館当時の名作。
1階風除室のカレンダー用テーブル。長い天板を突き刺した2本の脚がブックエンドを兼ねる。脚頂部は3mm厚のアルミ板で接合。
風除室のアンケート記入台と消毒液用テーブルと協賛企業銘板。既成品であったものをタモを使って再制作。ノイズを減らし、調和を生み出す。