SHARE upsetters architectsによる神奈川・藤沢の住宅「House in Kugenuma」
photo©Yusuke Wakabayashi
upsetters architectsが設計した神奈川・藤沢の住宅「House in Kugenuma」です。
以下、建築家によるテキストです。
House in Kugenuma
神奈川県、藤沢市に建つ、夫婦と二人の子供のための住宅。
鵠沼海岸から1キロ程度離れた場所に位置する、松林であった敷地の周辺地域一帯は、防災に対しての古くからの習わしに従い、ヨウ壁によって3メートルほど高い位置にグランドレベルが設定されていた。周辺の住宅は、そうした造成計画により、前面道路からエントランスまで、急な階段によるアプローチとなっていて、周辺環境と断絶された関係性であった。(東日本大震災以後、こうした住宅に求められる危機管理と、日常生活の豊かさに繋がる周辺環境との関係とのポジティブな共存は、地震国である日本において重要なテーマの一つであると考えている。)
前面道路との3メートルというレベル差は、そのまま緩やかにつなげることは難しいため、
ヨウ壁はそのままに、グランドレベルを1.5メートル下げることで、緩やかなスロープでつなぐ計画とした。こうして生まれたレベル差は、前面道路との間に視線のズレを生み出し、開放感とプライバシーの両立を可能としている。隣地と等しい高さに設定されたヨウ壁は、敷地全体をぐるりと巻き込み内部のエントランスホールまでつながり、ヨウ壁に挟まれたアプローチは、中間領域として緩やかに建築の内部と外部をつないでいる。
日本の気候にふさわしい、漆喰の壁と木製サッシによるシンプルな外観は、ヨウ壁に沿う外壁を、それに従う形で角を丸くすることにより、コンセプトを強調しながらニュワンスのある表情を生み出している。
1階は、水廻りを除いて、間仕切りのない大空間となっており、ヨウ壁に囲まれた気持ちのいい庭に向かって大きく開いている。1階と2階に明快な境界は無く、ヨウ壁に沿ってつくられたソファ、1.5階に設けられたワークスペース、エントランスの靴箱、それぞれのボリュームを階段でつないでいる。1.5階に設けられたワークスペースは、リビング/ダイニングと程よい距離感を持ちながらもコミュニケーションが可能で、プライベート空間としての2階との、まさに中間領域として、家族のコミュニケーションを促している。
プライベートスペースである2階は、今後の家族構成によって自由に更新できるよう、ゆったりとした作りになっていて、南へ向かって連なる窓からは視界が開け、水平方向への広がりを感じる気持ちの良い空間となった。2階の床に、並べて埋め込んだガラスの小窓によって、一階と二階は光で繋がり、どこにいてもその気配をお互いに感じることができる。
■建築概要
Project name : House in Kugenuma
Completion Date : 2013.01
Type : Architecture Design
Location : Kugenuma, Kanagawa, JPN
Total floor Area : 113.95 sqm
Photo : Yusuke Wakabayashi / 若林 雄介