SHARE ノイズアーキテクツによる家具「ワイヤフレーム・ファニチャー」
photo©Kyle Yu
ノイズアーキテクツがデザインした家具「ワイヤフレーム・ファニチャー」です。
以下、この作品に関するテキストです。
ワイヤーフレーム・ファーニチャー・コレクション−実在するバーチュアリティ
ワイヤーフレーム・ファーニチャー・コレクションは、デジタルデザインによる家具やオブジェのシリーズであり、台北の北師美術館(MoNTUE)のためにデザインされた。MoNTUEは2011年に設立され、地元コミュニティーの芸術および都市の美学への認識を高めることを目的としている。ノイズ・アーキテクトのチームは、美術館のインテリアおよび展示構成だけでなく、MoNTUEの現代的な雰囲気にマッチするアヴァンギャルドな家具のデザインおよび制作を依頼された。
ワイヤフレームの構造は3mmのスティール・ロッドでできており、3Dテンプレートに合わせて曲げ加工され、溶接され、黒い塗料で仕上げられている。これらの家具は、3Dモデリング・ソフトウェアのディスプレイに示される原図のアウトラインを意図的になぞってつくられており、ヴァーチュアルな情報が現実に立ち上がる様相をつくりだしている。 この家具が実在する場所に置かれるとき、美術館の空間は「ビットスペース」に転換される。
コレクション全体は、レセプション・カウンター、カウチ・ソファ、本棚といったインテリアのアイテムから、植木鉢に植えられた「観賞植物」まで、幅広く制作されている。特に注目すべきなのは「コーヒーテーブル」である。テーブルは半分に分割され、その中間部分はリクイファイ(Liquify)されて、オブジェの非現実性が強調されている。このコレクションのすべての家具は、従来のものと同じ機能を有しているが、それらのオブジェクトの量感および物質感は剥奪され、見る人はその虚像のみを見て経験することで、現実と非現実の新しい認識について問われるのである。
MoNTUEの1階ロビーにあるニューヨークのMOMAより寄贈された19世紀のフランスの石膏彫像のそばに、この家具シリーズは置かれている。圧倒的な量感と歴史を持つオブジェクトとそれらを持たないオブジェクトが同時に置かれることで、過去と現在、そして、実在するものとデジタルなものとの対話が誘発され、美術館の現代性はさらに高められる。
ワイヤーフレーム・コレクションの一部はソウルの国際展 “Data Curation”その他の展示に貸し出されている。
■概要
タイトル:ワイヤフレーム・ファニチャー
竣工年:2011年
所在地:台北市(台湾)
カテゴリー:家具デザイン
構造/材料:スチールワイヤー
設計:noiz/ 豊田啓介(パートナー)、大野 友資、蔡 欽宇