SHARE ノイズアーキテクツによる台湾・台北市の「瑞安街のアパートメント」
photo©Kyle Yu
ノイズアーキテクツが設計した台湾・台北市の「瑞安街のアパートメント」です。
以下、建築家によるテキストです。
瑞安街のアパート—カプセル・アパートメント
台北のアパートメントのリノベーション・プロジェクト。クライアントは我々に、親密な雰囲気と開放性を併せ持つ空間を希望された。「Intimacy=親密さ」がキーワードとなった。
我々は、様々な素材でできた独自のスケール感およびテクスチャーを持つカプセル−すなわち小さな部屋、あるいは構成要素−をあちこちに配置した。
リビングルームは天井に大きなふたつのアルコーブを内包しており、それぞれの下の領域がゆるやかに「部屋」として位置づけられている。各アルコーブは深い奥行きを持ち、スムーズな曲面で囲まれており、垂直方向に空間が繋がり浮遊する感覚を生み出し、既存の建物の天井高さの低さも緩和されている。
リビング空間の主要な壁は、特殊な工法で打込まれたプレキャストコンクリートでできており、アンティークの家具を設置する部分が切り取られており、あるいは古い家具の虚像(ネガ)がキャストされている。コンクリート・パネルの粗い物質感、そして壁に沿って配置される実像/虚像(ポジ/ネガ)のアンティーク家具の鮮やかなテクスチャーにより、新しくリノベーションされたアパートメントには、繊細であり年月を重ねた落ち着いた雰囲気がもたらされている。
リビングルームに隣接して、スライディングドアと書斎として使われる小さなコンパートメントが設けられている。この部屋は、仕事および瞑想のための親密な空間として特別にデザインされており、ドアを開放すればリビングルームと繋がり、閉めれば十分な自然光は取り入れながらもプライバシーを確保できる。ドアのパターンは、内部から小さな「カプセル」の像が浮かび上がるよう、デジタルシミュレーションにより創りだされている。
子供部屋には、ランダムにボックスが挿入されたウォール・キャビネットが設けられており、それらのボックスは引き出して、収納ボックスとしても使うこともできる。小さなユニットのレイアウトにより、子供部屋に楽しい雰囲気と機能的な柔軟性をもたらしている。
■建築概要
タイトル : 瑞安街のアパートメント
竣工年:2012年
所在地:台北市(台湾)
用途:個人住宅
設計:noiz/蔡 佳萱(パートナー)、Alex Knezo、Chunwei Lee